第41話 復興とドリアードの加護
次の日。
「そっち持ってくれー」
「オーライオーライ!」
「そのコンクリートはこっちに持ってきてくれー!」
などの声や、機械がだす騒音が聞こえる。何か作業をしているのだろうか? 僕は目を開け体を起こす。
見渡すと、床にはペルシャ絨毯かな? 赤を基調とした、吸い込まれるようなそのデザインは高級感を感じた。
天井には高級感溢れる二段式のシャンデリアがあった。
「ここは? あれ? 僕は何を?」
すると、突然ドアの方から、ドアをノックする音が聞こえた。
僕は、はーい、と返事をすると、ノックをした人物がドアを開け姿を現す。
「失礼します。トワ様。お目覚めになられたのですね。良かったです。お体は大丈夫ですか?
お食事のご用意ができております。私は外に待機していますので、準備ができ次第ご案内いたします」
その言葉だけ言い残しドアを閉めた。その姿に僕は、
「メイドだ……。本物のメイドだ。すごい。生で初めてみた。夢じゃないよな」
そう。メイドだったのである。綺麗な鏡のように透き通った美しい銀髪ポニーテール。キリッとした黒目に整った顔立ち。
オムライス頼んだらケチャップでリクエストした文字を書いてくれるかな?
半分くらいの冗談はさておき、少し昨日のことを思い出す。
ドミニデスを倒し、アーティダル王国を取り戻したんだったな。今はその復興作業中ってわけか……。時間を見ると、お昼の13時を回っていた。
僕、遅刻じゃん……。
急いでドアを開けると、目の前に先程のメイドさんが立っていた。
「遅れてすみません。僕、復興のお手伝いに行きたいのですが」
「ありがとうございます。ですが、当王国は皆様の努力のおかげで順調に進んでおります。
人数もかなりいらっしゃいますので。私は国王のトロン様にトワ様を連れてくるよう、申し付けられていますので」
順調に進んでいるのであればいいのだけど、僕だけ参加してないみたいで罪悪感がある。
今は言う通りにしようと思い、そのメイドさんについていくこと、数分。
僕は、王室に着いた。
メイドさんは扉をノックして扉を開けてくれた。
扉の先には、玉座まで続くテーブルがずらりと並べられており、全てのテーブルには、真っ白なテーブルクロスが包んでいる。
どこを見ても高級感溢れる銅像や装飾品。これが王族の暮らしかと感心する。
すると、テーブルの席に着いていたトロン国王がこちらに近づいてきて話しかけてきた。
トロン王は、髪はショートの茶髪で少し、ふくよかな体型の人で、とっても優しくていい方だ。
「やあ。トワ君。昨日はお疲れ様。我が国を取り戻してくれて本当にありがとう。
君たちには感謝してもしきれないよ。何か欲しいものはあるかい? 私たちに用意できるものならなんでも用意してあげるよ」
「トロン国王。ご丁寧にありがとうございます。いえ、元を辿れば僕たちプレイヤーが悪いので。
こちら側がご迷惑をおかけしました。なので、特にいらないですよ」
「いやいや、そういうわけにはいかない。国民のみんなも喜んでいたし、恩知らずの国王と見られたくないからね」
「そうですか。そういうことなら少し考えさせてください。あの、僕も復興のお手伝いに行きたいのですが……」
「食事の準備をしてあるから先に食べていきなさい。力仕事には栄養は大事だ。他の仲間の方も食べていったからね」
少し考えていると、ぐぅぅぅ。っとお腹が鳴ってしまった。
「ーーでは、お言葉に甘えていただきますね」
トロン国王と二人きりの食事。最初は緊張はしたが、徐々に慣れてきた。
ジークさんやルナさんの子どもの頃の話を聞いたりして楽しかった。
食事を終え、感謝の言葉を述べると、僕は被害が大きかった中庭の方へ向かった。
中庭に着くと、壊れていた花壇なども元通りになっており、黒ずんでいた花たちも綺麗に咲いていた。
花壇に見惚れていると、
「トワ様、目を覚まされたのですね。昨日はお疲れ様でした。気絶していて何もできずに申し訳ありません。
そして、アーティダル王国をお救い頂きありがとうございました。この御恩は一生忘れませんわ」
話しかけてきたのはルナさんだった。隣にはルルード王国のお姫様のリーフィスさんもいた。
「ルナさんも大変でしたね。お疲れ様です。僕は大したことはしてませんよ。みんなが一緒に戦ってくれたおかげです」
すると次は、リーフィスさんが、
「最後の一撃、かっこよかったですよ。トワさんの作戦が上手くいったようで良かったです」
「ありがとうございます。リーフィスさんの回復スキル助かりました。
あれがなかったら僕は負けてました。ですので、みんなで掴んだ勝利だと思います」
「うふふ。トワ様は相変わらず謙虚な方ですね。それでトワ様は何を見てらっしゃるのですか?」
「お花の様子を見にきました。焦げてしまってたので……。供養をしてあげたいなと思いましてね。
でも、綺麗になっているようなのっ新しい花に変えたんだなって思ってたところです」
「そうなんですね。ここにあったお花は私も思い入れがありますので、リーフィス様の力で元通りにしてもらいました」
「リーフィスさんの力?」
リーフィスさんは少し語ってくれた。
「私には、生まれつき『ドリアードの加護』という力があります。その力でお花は元気になりました」
「加護ですか? 恩寵とは違うんですか?」
「申し訳ありませんが恩寵に関しては、私は存じ上げませんね。
言い伝えですが、加護はこの世に生を受ける時、前世に精霊様と関係した者が生まれ変わる時、精霊様から祝福として贈られる力のことらしいです。
その力が発動するのは、人によってそれぞれらしいです」
僕が知っている加護とは違うようだ。僕が知っている加護はパッシブスキル名の一つにしか過ぎなかったのだが。
恩寵と加護は全く別のものなのか? どう違うんだろう?
でも、リーフィスさんは生まれつきと言っていたし……。
そもそも、精霊様って誰!? それに、ドミニデスの話だと恩寵は男に貰ったって。
祝福されし加護と悪魔付きの恩寵って感じなのかな? まあさすがに考え過ぎか。
その言い伝えが本当なら、リーフィスさんは何者かの転生者って事になるんだけど……。
「そうなんですね。精霊様から頂いた力。神秘を感じますね。そのドリアードの加護ってのはどういった能力なのですか?」
「お見せした方が早いかもしれませんね。ではいきますね」
リーフィスさんは花の種を取り出し、土の中に埋める。
祈るポーズを取ると、リーフィスさんから優しい色をした緑のオーラが表れる。
どういった原理かは分からないけど、祈った手から一滴の一雫を垂らした。
すると、土の中からニョキニョキっと音を立てながら、綺麗な一輪のアマリリスが咲いたのだ。
「えっ!? 今、種を入れたばかりなのに!? もう咲いた!」
「綺麗でしょ? 私のドリアードの加護は、お花や木の成長を早めることもできるんです。
焼けたお花たちもこの力で元に戻すことができるんですよ。まあ寿命とかには効果はありませんが」
「凄い力ですね。それでこの花たちを直して頂けたんですね。ありがとうございます」
「いえ。お花たちの声を聞き綺麗に咲かせる。そしてみんなに喜んでもらう。これが私の使命だと思いますので」
リーフィスさんは心から優しい人なんだなと思う。僕は興味本位で聞いてみる。
「素敵な使命ですね。ところでお花たちの声も聞こえるんですか?」
「はい。分かりますよ」
おぉ! やっぱり! ゲームやアニメでこのような能力を持つ人は自然の声が分かるっていうしな。
「今咲いたこのアマリリスはなんて言ってますか?」
リーフィスさんは咲いたばかりのアマリリスを見つめながら笑顔で、
「眠たいって言ってますね」
本当に!?
第三章【ギルド結闘編】開幕です\(//∇//)\




