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追憶の電脳世界〜エタニティ・ドリーム・ワールド〜  作者: 夢達磨
第一章 人工大陸アーティダル ウガルンダ編

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第13話 二つの決着


「「うわぁぁ!!」」


 紅葉さんたちの悲鳴が聞こえた。ザーハックさんのフィナーレスキルの衝撃と爆炎。彼らは直撃したようだ。

 

 僕とルナさんはその爆発の被害を受ける。


 剣を突き刺して、盾にしていたが、僕たちは激しい爆風で、吹き飛ばされてしまった。


 気がつくと、僕はルナさんに覆い被さるように倒れていた。


「いててぇ、すみません、大丈夫ですか? ……はっ! すみません! すぐ退きます!」


 初めて女の子の上に倒れた恥ずかしさと申し訳なさのあまり後退る。


 何かふわりと柔らかい感触を顔に感じた。


「わ、わたくしは大丈夫ですわ。……トワ様は見かけによらず大胆なお方ですね」


「だ、大胆だなんて! そんなつもりじゃ……すみませんでしたぁ!」


「うふふ、冗談ですわ。お互い怪我がなくて良かったです」


 良かった、冗談だった。僕は砂埃を払いながら戦況を確認する。


 攻撃を受けた紅葉さんと向井さんはその場にはいなかった。


 ザーハックさんのフィナーレスキルでHPが0になって退場したのだろう。


 ザーハックさんの勝ちで決着がついたようだ。だが、槍を突き刺したまま、膝をついている。


 フィナーレスキルは、基本的に一日に一度しか使用できない。


 この世界だと、一度使用すると、体力をかなり消費し、疲労感が襲ってくるらしい。


 ゲームの世界だと、プレイヤーが疲れる事はなく、気にしたことはなかった。


 反対側では、ヒロさんとグーファーさんがダルバルさんとグリーナさんと戦闘をしていた。


 ヒロさんはウィザードで後衛を担当し、グーファーさんのサポートをしているようだ。


 相手もグリーナさんがダルバルさんのサポートをしている。似たようなフォーメーションだ。


「グーファーさん! 援護するから、先に後ろの束縛変態マンを狙おー! 拳の人はそのあとで」


「分かりました! 頼みます」


「へ?、、変態って俺の事か!? 俺は変態じゃないぞぉ!?」


 否定するグリーナさんに対しヒロさんが反論する。


「そんなことないもん! 私をバインドして、いやらしい目で見てたもん! 鼻の下伸びてたよ!」


「そ、、そんな目で見てないわい! 決してそんな目で見てたわけじゃないからな! たまたまいいアングルだっただけだ! 勘違いするなよ!」


 顔を引きつりながらダルバルさんが、


「そんな目で見てたのか、いやぁ、さすがに仲間の俺でも引くわぁ。

 そのために、『紫魂しこんつえ』を交換したのか」


「いや! 違う! チームバランスを考えたら、必要だと思っただけだ! 信じてくれ!」


「いや、助かってはいるんだぜ? だが、自分の欲のために女性を縛るのはな……」


「ち、、違う、、違うんだぁぁ」

 

 グリーナさんの声はだんだんと小さくなっていく。すると、ヒロさんが。


「変態さんは許さないよぉ! 『トゥインクルめくスター』!」


 無数の星が二人を襲う。


「うわあっーーーーっ!!!」

「ぐわあっーーーーっ!!!」


「避けきれん!」


 ヒロさんが放った【トゥインクルめくスター】が二人を巻き込み爆発する。


 煙が晴れると、グリーナさんの後ろに回り込んでいた、グーファーさんが剣を横から振るう。


「うおぉぉ! くらえぇぇーー!!!」


 グーファーさんの放った攻撃は見事に命中した。


「くっ、、反応出来なかった。やるなぁ、楽しくなってきたぜ!」


 いい試合をしている。ヒロさんたちも問題なさそうだ。

 

 そんな事を思っていると。急に岩が崩れ雪崩が起こったような音がした!


 ふと、前を見ると何かがものすごいスピードで、こちらに近づいてくる。


「……危ない!」


 ルナさんの声で僕は慌てて前を確認する。ルナさんは手を広げて僕の前に立っているのが見えた。

 

 近づいてきているのは橘さんだ。


 斧を構えこちらに近づき、ルナさんを対象に振り下ろす。


 僕はルナさんの前に出て剣でガードする。武器同士がぶつかり、甲高い音とともに火花が散る。


「ほぉ。これを防ぎますか、いい反応速度です。私の攻撃で姿勢を崩さないとは、、小柄なのにやりますね。それに、よく鍛えられてますね」


「それはどうもです。急ですね。ザーハックさんが疲弊するのを待っていたんですか?」


 橘さんはニヤリとし、


「やはり、頭もキレるみたいですね。実に興味深い。

 やはり、すごいね。それに、僕と君は似た者同士のようだ。

 ザーハックさんかヒロさん、どちらかが戦闘不能になるのを待っていたんだけどね。

 だが、ヒロさん側も勝負が決まりそうだったからね。先手を打たせてもらったよ」


 鍔迫り合いながら。


「なるほど、それで、僕と似た者同士ってのはどういう意味ですか?」


「思考力や戦い方だよ。自分でも分かっているだろ? 何を躊躇ちゅうちょ)しているかは知らないが、君の実力はそんなもんじゃないはずだ。本気でやりあおう」


 察しがいいのか、ただの感か、とても戦いにくい相手だ。

 

 橘さんは連続して斧を振り回す。それを僕は攻撃に合わせてガードする。


 (……反撃が出来ない、、いや、したくないんだろう。攻撃をしようと思うと、昔の嫌な記憶が蘇ってくる)


「どうした? 剣に力が入ってないぞ。僕の思い違いだったかな? それだったら非常に残念だ。そろそろ終わりにしよう」


 橘さんは距離を取り、


「【グランドウェーブ】」


 冷静な声でそう呟くと、橘さんを中心に地面の波が発生する。


 その地面の波が僕たちを襲う。このスキルはかなり厄介だ。


 その厄介な理由は【グランドウェーブ】は攻撃スキルや補助スキルの派生先が多いのだ。

 

「ルナさん! 僕から離れてください!」


「ーー離れたいのですが、地面がクネクネしてうまく動けませんわ」


「土よ固まれ」


 僕は片足が、ルナさんは両足が固まって身動きができない。


「しまった!」


「申し訳ありません! 動けません」


「君には期待していたのですが、今はやる気がないみたいですね。非常に残念ですが終わりにしましょう」


 次の瞬間、橘さんは斧でフェアリーを躊躇なく一刀両断する。


 そしてフェアリーは光の粒となって消え去った……。


 そして、試合終了のアナウンスが会場全体に響き渡る。


 そう。僕たちは、、いや、僕は僕自身の心の弱さに敗北したのだった。


 周りの人は挨拶や労いの言葉をかけているのだろう。


 でも、僕は自分自身の不甲斐なさと悔しさで目の前が真っ暗になり、何も聞こえなかった。

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