第107話 蹴散らせ!モンスターラッシュ!
プレイシスに滞在してから一週間ほどが経った。
お店を開店するために、たくさんの魔物を狩ったり、素材を集めたりした。
僕たちはギルド会館から特別フィールドに立っていた。ハニポンはめんどくさいからとあっちの世界に残っている。今日から三日間でギルド対抗イベント、モンスターラッシュが始まる。
ルールは簡単。モンスターラッシュは特別なフィールドに行き、次々現れるモンスターを討伐するだけのイベント。
複数あるエリアの中から、毎回ランダムで5種類が選ばれる。
今回は草原、火山、雪山、沼地、街の5種類のようだ。
モンスターを倒す度に討伐ポイントが入り、合計討伐ポイントを一番稼いだギルドが優勝となる。もちろん、個人別の討伐ポイント達成報酬もある。
小型モンスターは1ポイントから5ポイント、中型モンスターは6ポイントから10ポイント、ボスクラスは30ポイントを超える。
そして、それぞれのエリアにはヌシモンスターという強力なモンスターが存在する。それらを倒すと100ポイント以上もらえる。
ヌシモンスターは5つのエリアのヌシモンスターを全部倒すことでリセットがかかるが、周回する度にそれらのモンスターのレベルは上昇していく。
僕はヒロさんとは違い、ギルド系のイベントはあんまり参加してこなかった。だからあんまり自信はない。
攻略としてはボスやヌシモンスターを多く、早く回すことが鍵となるはずだ。
僕たちのギルドとしての目標は、ランキングは気にしないが、個人ポイントを100ポイント集めることだ。
個人ポイントは最低100ポイント集めないと、一部の報酬が貰えない。この数字が最低のボーダーライン。
僕はみんなに作戦を話す。
「今回のイベントは、トドメをさした人にポイントが入るようになっているので、僕やリーフィスさん、ルナさんを優先して、先にノルマを達成します」
そう、火力の低い僕たちを介護してもらう。早くポイントを達成して、お店を開店する準備をするのだ。ゼロさんに待ってもらっているので早めに終わらせたい。
「はーい!」
「分かった」
「はいっす!」
各々の返事を待ち、僕は作戦名を発表した。
「名付けて! みんな仲良し100ポイント作戦です!」
「「「……」」」
あれ? 聞こえなかったかな?
僕は少し声のボリュームを上げて再び言う。
「みんな仲良し! 100ポイント作戦です!」
みんなは俯き静けさが漂う。そして、ヒロさんが口を開く。
「聞こえてるけど、ネーミングセンスがないから、みんなツッコミにくいんだと思うよー」
「な、なんだってー!?」
ヒロさんの言葉にみんなは笑い出し場は和んだ。
そっかぁ、センスなかったかぁ。分かりやすくていいと思ったんだけどなぁ。難しいや。
モンスターラッシュがスタートすると同時に、僕たちのギルドしかいない広大なフィールドに、たくさんのモンスターが出現した。
「よし! 蹴散らしましょう!」
「「「おぉー!!!」」」
僕たちはまず、草原のヌシモンスターを探すべく、草原の中心地へと向かう。その道中の小型モンスターを討伐する。
歩いていると、中型クラスのバッタ型モンスター、音ノ様バッタがいた。
音ノ様バッタは現実のトノサマバッタのようなモンスター。全長2メートル近くで触覚はツノに、お尻はモスキート音を発生させるために大きく発達している。
とっても縄張り意識が高く、敵が縄張りに近づくと、そのお尻から相手に合わせたモスキート音を発生させ撃退する。
攻撃方法は高くジャンプして押し潰す攻撃や爆音で衝撃波を発生させ攻撃するが、耐久がないので、爆音攻撃をやりすぎると、破れてしまい音攻撃が使えなくなる。
音ノ様バッタは僕たちを視認するとすぐさま、攻撃体勢をとり、強烈なモスキート音を出して攻撃する。
「うわぁ! うるさーーい!」
「いやですわぁぁ」
僕たちのギルドは年齢は若いのでモスキート音での攻撃はささる。
ヒロさんやルナさんの悲鳴が上がる。頭がガンガンする痛みだ。
「何をやってるんだ? お腹でも痛いのか?」
モスキート音の影響を受けてないザーハックさんはみんなの反応を見てそう言いだした。
「ザーハックさんこの雑音が聞こえないなら早くあれをどうにかしてよー!」
ヒロさんの早口な言葉に首を傾げながら、ザーハックさんは音ノ様バッタに攻撃を仕掛けた。
「分かった。噛み砕け! 『燼滅紅牙』!」
「キィィィィッ!!!」
音ノ様バッタは顔面を噛み砕かれた。奇声を上げながら、バタバタ暴れ、数秒後に絶命。粒子となって空に消えた。
あー嫌な音だった。耳がキンキンするー。本当に助かった。
「ザーハックさん、ありがとうございました」
「あぁ。構わんが何をしていたんだ?」
「あのバッタがモスキート音と言って、17キロヘルツ前後の高周波音を出していたんです。
蚊の羽音のような不快な音がガンガン聞こえちゃうんですよ」
僕の後に続き、ヒロさんは涙目になりながら言った。
「この音は歳をとると聞こえなくなるの!」
その言葉にザーハックさんはショックを受けたのか少し退き言った。
「聞こえなかった俺はおじさんってことか!?」
「じゃあ俺もおじさんですね。ははっ」
グーファーさんは言いながら笑っていた。
僕たちは草原エリアのさらに奥へ進んだ。




