第106話 ギルド対抗イベント
トーナメントの第一試合……『皇帝なる隼』だったような?
「えー! トーナメントの第一試合ってどことた戦ったっけー? もう覚えてなーい! トワ君覚えてる?」
ヒロさんが頭を抱えながらこっちを見つめてくる。僕も顎に手を当てながら答える。
「皇帝なる隼でしたっけ?」
「そうそう。それが俺が立ち上げたギルドさ。トワ君のギルドにコテンパンにやられたって、サブマスのクライザーに聞いたよ」
「んー。言われてもピンとこないなぁ」
「そんな、コテンパンにした覚えはありませんが……。道鷹さんは参加してなかったんですか?」
「俺はここでアネモガートを探していたからな。城にくるかと周りをウロウロしていたんだが、警備が凄すぎて入れなかったけど」
さすがはエタドリ最強の男だ。一人でアネモガートに挑もうとは。でもこの感じだと、会ってはないんだろうな。
そっかぁ、本戦の時はいなかったのか。それでベスト8……。道鷹さんがいたらやばかっただろうな。
レベルも40で、メインだけしか分からないけど装備もしっかりしている。
僕では到底太刀打ちできないな。強くならなきゃ!
「じゃあ、今度はエタドリ最強プレイヤーの鷹君がいる時に倒さなきゃね!」
「そうですね。頑張って攻略してみせます!」
「ほう。俺を超えるか。それは楽しみだな。俺もエタドリ最強を維持したまま君たちと戦いたい」
最強というワードに反応したのか、今まで黙り込んでいたジークさんがついに口を開く。
「ホークロードさん。初めまして、自分はジークと申します。トワさんたちのギルドに所属をさせて頂いております」
「ジーク……? あぁ! あなたが、アーティダル王国の王子なのですね。お話は伺っております」
道鷹さんはジークさんのことを知っている様だった。まあ橘さんから聞いててもおかしくはないけど。
「誰からなんと?」
「翔ですよ。俺の弟です。からかい甲斐があると言ってました」
「あのインチキメガネぇぇ!!」
「うちの弟がとんだご無礼を。申し訳ありません」
謝罪の言葉にジークさんは、首を横に振って言った。
「いや、ホークロードさんが悪いわけではないので。お気になさらず」
ジークさんは感情の起伏が激しくて忙しい人だなぁ。
やっぱり道鷹さん相変わらず聖人だなぁ。強さと優しさを持った人だ。
「ジーク王子。私に何か用でしょうか?」
「そうですね。お暇がある時で構いません。俺と模擬戦をして頂きたいのですが」
ジークさんは道鷹さんに練習試合を求めた。まあ、なんとなくこうなるってのは予想はできていたけど。
「僕も手合わせ願いたいのは山々なのですが、これからギルドメンバーと合流して、作戦会議がありますので……今回はすみません」
「そうですか。急な申し出すみませんでした」
「ですが、いつか時間を見つけますので、その時に是非」
「ご検討頂きありがとうございます。お待ちしております」
ジークさんは頭を下げると再び僕たちの後ろに回る。
「ねぇねぇ。作戦会議って何の会議するのー?」
「お知らせを見てないのか? 来週にギルド対抗イベントがあるんだ。それの作戦会議と最近城周りが騒がしいからな。それの調査をしようと思う」
城周りの動きは、来たばかりだから何も気付かなかった。何かあったのかな?
ギルド対抗イベント。文字通り、ギルド同士で競い合うイベントだ。
戦闘系ギルドが活躍できる戦闘イベントや、戦闘系以外のギルドが活躍できる特殊イベントがある。
戦闘イベントはキル数を競ったり、相手のクリスタルを破壊したり、次々出現するモンスターを討伐するものもある。
特殊イベントは特定のアイテムを採取をしたり、特定のアイテムを作成したりなどがある。まあ、特殊イベントはつまらないということで、やらない人が多い。
どちらも共通していることは、イベント限定のフィールドでおこない、勝ち点やポイントを獲得して勝敗を決めたりすることだ。
今回は、次々に出現するモンスターを討伐して、獲得ポイントを競う『モンスターラッシュ』だ。
僕はこのイベントは好きな分類になる。ギルドの人数が多い方が有利に思えるが、そこはバランス調整がされる。
上位になれば報酬もかなりいいので楽しみだ。
ヒロさんはいつのまにか注文していた、クリームパスタを食べながら言った。
「モグモグ。そっかぁ、もうイベントかぁ。本戦が終わったから気を抜いてたよ」
「休めるときに休むといい。長々と話をして申し訳ない。俺はこれで失礼するよ。トワ君たちにこれを」
道鷹さんはそう言うと、複数のカードを渡してくれた。
「話が盛り上がって渡すのが遅れたが、俺からのお礼とお詫びだ。良かったら使ってくれ」
「では、ありがたく頂戴しますね。ありがとうございます」
それを受け取った後、道鷹さんとフレンド登録をして、ギルド会館を出て行った。僕たちもそれに続くように外に出て、今日の所は解散した。




