16.やることリストのつくりかた(5)
頻度設定。そして、同じことを繰り返し書かないこと。――これがきっと、やることリストの鍵になる。
これまでに書いたノートをぱらぱらとめくってみた。
毎日する家事って、書き出してみると思ったより少ないのかもしれない。
たとえば洗いもの。これは一日の中でも頻度が多くて、自炊を3回するならば3回はしなくちゃいけない。料理の回数に付随してくるものだ。でも、使ったコップを適宜洗うとか、そういう単発のものは含めないほうがいい気がする。
それから洗濯。ああ、でも、たとえば枕カバーとか、タオルケットとか、寝具類は週に1回。
そういう毎日洗わないものもある。だから、洗濯の量も回数も日によって少し変わるかもしれない。
あとは掃除だけれど――、ひと口に掃除といってもいろいろある。床の掃除は毎日したい。でも、たとえばキッチンの五徳を洗うとか、玄関掃除をするとか、そのあたりは毎日じゃなくてもいいような気がする。
どのくらいの頻度で掃除をするべきなのか調べてみたりもしたけれど、毎日している人もいれば、汚れが気になったときにという人もいる。持ち時間と衛生観念に影響される部分なのだろう。
それならば、毎日必ずする掃除と、週に1回する掃除でしっかり線引きして、スケジュールを組んでみよう。この間借りてきた本で知った、七色の家事を参考に、曜日のイメージから家事を考えて、固定してみるのはどうだろう。
確か、月曜日はツキを呼ぶ家事。火曜日は火まわりの家事。コンロを中心にキッチン掃除をしていく。水曜日は水まわり。お風呂の集中掃除はこの日が良さそうだ。
――こんなふうに書き出してみると、日々会社でしている雑務と同じように、毎日することと、週に1度することが決まってきた。
次の日は火曜日だった。仕事も休みだったので、朝食に菓子パンを食べたあと、さっそくキッチン掃除に取りかかってみる。汚れのこびりついた五徳に、曇ったシンク。見ただけでもソファに座り込みたくなる。でも、髪の毛をきゅっと結び、エプロンを身につけた。
今から、はじめる!――でも、五徳の掃除って、どうやってするのだろう?
どんな洗剤を使えばいいのかわからない。食器用の洗剤でいいのだろうか。食器用のスポンジを使うのは絶対にいやだな。新しいスポンジを出してきて、それを掃除用にしようか……。
私はスマートフォンを取り出し、「五徳 掃除」と検索した。ところが、五徳の掃除に使えそうなアイテムが家にはなく、買いに行かなければいけない。
外に出られる格好でもないので、とりあえず一旦休憩することにした。そしていつもと同じように、気がついたら夕方だった。
自分の不甲斐なさに落ち込む。でも、収穫はあった。掃除方法がわからない。必要な道具がわからない。家に置いていない。だから、やろうと思えないのだ。家事スキルというか、そもそも、それ以前の問題だった。
料理と同じなのかもしれない。適当にやっても、時間をかければできる。でも、あらかじめ下ごしらえをしておけば、早くおいしく完成するはずで。掃除にもきっと同じことが言えるのだと思う。私に足りないのは、掃除の下ごしらえだ。わからないことが多すぎる。
それならば、まずは掃除方法を調べて、ノートにまとめよう。必要な道具をリストアップして、買いに行こう。それをして、はじめてスタートラインに立てるのかもしれない。
掃除は溜め込むほど大変になります。
汚れには段階があって、こまめに掃除をしていれば、場所や汚れの種類によるとは思うけれど、乾拭きだけでもきれいになるそう。段階が進むと水拭き、さらに進むと洗剤がなければとれなくなります。さらに進むと今度は研磨剤などでこそげ落とさなければいけなくなるし、その先に待っているのはいくら掃除しても取れない汚れです。
今は、乾拭きか水拭きで落とせる汚ればかりになりました。でも、以前は、研磨剤等が必要な汚れか、取れない汚ればかりでした。やり方を調べて掃除をしても結局取れなくて愕然としたことを覚えています。