15th ACTION 成るべくして(二人の出会い)
「リープと一緒にやってきたからそんな事じゃないかと思ったけど、そのまんまだったな」
リカルとアリシア、二人の会話を見ながらロックがぽつりと言葉をこぼす。
市街での戦闘の後ロックを船までおぶってきたリープは、そのままリカルの頼みでギルドオフィスに向かっていた。CAとの戦闘やロックの負傷などのゴタゴタのせいで目的である同行者の確認と募集の取り消しがまだ済んでいないからだった。
リカルの頼みを引き受けたリープがオフィスにやってくると、そこにはすでに先客がいた。アリシアである。
彼女はオフィスの掲示板端末を操作しながらディスプレイに現れる文字の列とにらめっこをしていた。さっき別れたばかりなのによくまあ精力的に行動しているなと変に感心しながらリープは職員のいるカウンターへ足を向ける。
「L・D・Cリーダーの代理で来た。同行者募集の受付を解除したいので処理を頼む」
カウンターに座っていた職員から来場目的を尋ねられたので、リープはチームの認識コードを見せてから目的を告げた。そのやり取りが偶然耳に入ってきて驚いたアリシアは、普段の彼女からは考えられないような素っ頓狂な声を張り上げ、その声に驚いた二人の元へ猛然と近づいていった。
「あっ、あの、リーンカーラさんのハンターチームの関係者の方ですか?」
「お、おう。そうだけど?」
リープとギルド職員の間に割って入るとリープに向かって質問をするアリシア。彼女の勢いに少し戸惑いながらもリープはアリシアの質問に答えた。
その返答を聞くや否や、アリシアはリープの手を取ると勢いをかけて大きく上下にブンブンと振り出した。
「お願いします!リーンカーラさんのいる所へ連れて行ってください!会ってお話ししたいのです!!」
「ちょっと待て、ちょっとは落ち着け!会いたいってんなら会わせない事も無いけど、まずそっちが会いたがっている理由を教えておくれよ。リンちゃん、会ってはくれるがあんまり長話するほど暇じゃないぞ?」
リープに理由を尋ねられた時、最初アリシアはそれを口にするのをためらっていた。それは彼女にやましいところがあるからではなく、関係者とはいえリープに話していいものか迷いがあったためである。
リープも彼女の様子を見ていて、自分が値踏みをされている事に気が付くとどうにも気分が良くなかったが、このままだんまりを続けられてこの場に足止めされるわけにもいかなかったので、頭を軽く振ると仕方が無いとばかりに腰に両手を当てて胸を軽く反らすと改めてアリシアの顔を上から軽く見下ろした。
「しょうがねえなぁ。来なよ、案内してやっから。ただし揉め事だけは持ってくるなよ」
リープの言葉を聞くと、アリシアは嬉しさと気まずさの混ざった表情をしながらリープに対して頭を下げた。
礼儀は正しいのに人の事を値踏みするとか何気に失礼な事をするあたり、この子も冒険者なんだなとリープは思い、年端もいかない子供がこんな事していかないと生きていけないこんな時代はやってられないなと彼女は表情に表すことはせずに、目の前の少女を見ながら嫌な気持ちを隠していった。