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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第四話 頂点者達
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10th ACTION コンバット・アーマー 『エクセラ!』

 リープとCAとの戦いは、一進一退といった様相のままで続いていた。

 CAは武器を装備しておらず、リープは街中で重火器を振り回さないよう気を付けているため、お互いに武器を使わず格闘のみの近接戦闘で戦っている。

 そのせいでどちらも決定的な攻撃を行うに至っておらず、二人とも金属の身体にたくさんの小さな傷を付け合う事しか出来ずにいる。


「リープ、組み付け!!」


 不意にロックの声が通信機からリカルの耳センサーに届いた。

 その意味を理解しているのか、それともただの反射行動なのか、とにかくリープはロックに言われた通りCAに体当たりをぶちかまし、そのまま抱きつくように身体を動かすと、CAの腕部を掴み取り後ろ手で動きを封じ込めた。

 拘束を解こうともがくCAにすかさず走りこんできたロックが、手にした粒子波動刀を振り上げると上から一刀のもとで切り裂いた。


 物質の分子結合に干渉をして存在するすべてを斬る粒子波動刀。左肩から斜めに斬られ、CAのコンピュータが甲高い機械音を無秩序に上げる。

 さながら悲鳴の様に聞こえる音だがそれも一瞬しか出すことが出来なかった。

 ロックに切り裂かれた傷口に、ロックの後ろにいたリカルがレールガンを三発、傷口に合わせて器用に撃ち込むと、今度はロックがすかさず腕を突き出し、そこから雷の魔法を発生させた。

 ロックの放った青白い魔法の雷は着弾したレールガンの弾丸に避雷し、そのままCAの内部を駆け巡ると彼の電子回路や動力炉に大ダメージを与えていく。


 青白い光がCAの身体から消えた時、CAは全身からスパークを放ちながら痙攣を起こし、そのまま機能を停止させていった。

 一体目のCAを倒した三人はアイ・コンタクトでお互いの状況を確認し、次のCAをターゲットに定めて行動を開始しようとした。しかし残りのCAを見たロックは、動き出そうとした二人に止まるよう声をかけると、二人の代わりに前に飛び出した。


「CAの足止めと囮をやってくれ。被害が思ったより出ているから一気に勝負付ける!」


 そう叫ぶとロックはCAの機動力と合わせて相手CAに高速で近づいていく。

 ロックの指示を聞いた二人はどうやってそれをこなすか一瞬考え、とりあえず周りにこれ以上の被害が出ないよう気を付けながら二体のCAに飛び道具での射撃を行ってみた。

 走るロックから注意をそらすために場所を移動しながらCAの足元を狙ってみたり、CAに直接弾を当てたりすることで二体ともの注意をリカルたちに引き付けることに成功はした。


 この後をどうするのかリカルはロックに確認しようと彼の方を見て、その瞬間リカルは彼がとった行動に思わず手が止まってしまった。

 壁側に近づいていたロックは壁に足をかけるとそのまま壁を垂直に駆け上がりだした。ネコ族の身体能力の高さをCAの増幅機構で強化するとこのような事も出来る。

 シッポでバランスを取りながら駆け上っていき、かなりの高さまで来たところで、ロックは足を思い切り踏み切ると壁から離れるように大きくジャンプ。

 粒子波動刀を両手に構えると、刀身をきらめかせながら急降下。CAの首の付け根に深々と刀身を突き立てた。

 落下による勢いを付けての一撃はCAの胸部にあるエンジンに刺さり、CAの身体を不規則に震えさせている。


 CAにダメージを与えたところでロックは発振器の機能をオフにして刀身を無くす。

 つっかえを消すとそのまま発振器を持った腕を上段に構え直し再び刀身を発生、そのままCAを頭から真っ二つに切り裂いた。

 頭を割られ、切り口から胴体が分かれて崩れ落ち、駆動音が完全に聞こえなくなるとCAは完全に機能を停止した。


 二体目の沈黙を確認すると、ロックはすぐに残りの一体に目を向ける。

 最後のCAはロックの目論み通りにリカル達を目指して走っており、こちらの方には気付いていなかった。あまり賢くないAIに色々な思いを込めながら、ロックは粒子刀を構えると、早口でイグニッションスペルを唱えだし、CAに向かって走り出した。


「エクセラ!」


 最後にロックが力強くドライブスペルを唱えると、彼は自分の周囲の風の流れが変わったことを確認する。

 次の瞬間彼の身体は三十メートルほど離れていたCAとの距離を一瞬で詰め、CAの真横、ロック自身の間合いにまで飛び込んでいた。


 走っていたCAは突然動体センサーに現れた反応に驚き、走るのを止めて横を向いたが、それだけの時間があればロックがCAに勝つには十分だった。

 駆け抜きざまに粒子刀を横に振るうと、刀はCAの腹部を斬り、そのまま胴体を斬り裂いてCAを上半身と下半身に切り分けた。

 切り口からずり落ち、地面へと落下する上半身。下半身は立ち尽くしたままピクリとも動かず、上半身はなんとか起き上がろうと腕を動かして虚空をつかもうともがいている。

 そんな物言わぬ存在に軽く手をかざしたのち、ロックは粒子刀を頭上で一回転させてから振り下ろすと、CAのエンジンがある胸部に刀身を突き立てた。


 刀身を引き抜くと機械油が少量、傷口から勢いよく飛び出した。それに合わせてCAの身体も大きくビクン、と跳ね上がり、そのまま力なく地面にその身を横たえた。

 こうして三人はすべてのCAを倒すことに成功した。粒子刀を仕舞ったロックはリカル達と合流、そのまま離れていたところからこちらの戦いを見ていた町長たちの所へ行こうとしたその時、突然爆発音にも似た大きな音が後ろから聞こえてきた!

 驚いた三人が後ろを振り返ると、庁舎の正面玄関からCAがゾロゾロと出てきた。

 一機が二機、二機が三機と次々現れるCA達に町長達は恐怖の目でその光景を見守り、ロック達は増えるCAにうんざりした視線を送っていた。そうこうしているうちに表に出てきたCAは合計七体。第二戦目の開幕である。

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