8th ACTION 長い一瞬(リープの一瞬)
リカルがファイルを見つけたとき、彼女は何事も無くデータ内に侵入出来たと思っていた。しかし実は彼女の知らない所で警報に引っ掛かっていた。
その内容は不正な手段でガーディアン関連のファイルが開かれた時は秘密保持のためガーディアン達が管制室を攻撃するというものだった。
防衛隊による重要施設への攻撃など一般的には考えもつかない事だがそれがかえって相手の裏を突く事になるため以外と効果がある。
それに重要データの流出を考えればデータごと相手を倒すという考えも一理ある。
そんな理由でこの遺跡を作った古代の製作者達がプログラムした通り、リカルが侵入した事で慣らされた警報はガーディアン達に伝達された。
上層にいるスナイパー装備のガーディアンの一体がその警報を受けたとき、彼はリープから少し遠くの場所にいた。
管制室の方を見ると部屋の入り口を占拠している人物が仲間と交戦状態に入っているのを目撃。これらの事から異常事態と判断すると、彼は持っていた狙撃銃を侵入者に向けて構えた。
管制室に攻撃が当たる事を考慮して普段はこの様な攻撃は行われないが、非常事態警告が発令している今は管制室ごと標的となっている。
スコープと目のセンサーを直結すると、狙撃銃をゆっくり動かし管制室前で戦っている人間に狙いを定める。そのまま攻撃の機会を伺っていると、その人間は通信で誰かと何かを話し出す。
そのため他への注意が削がれた人間に隙が出来た事を見抜くと、ガーディアンはまるで日常の作業を行うかの様に、何の乱れも無く銃のトリガーを引いた。
撃ち出した弾丸は真っ直ぐに伸び、狙い通りに頭部を撃ち抜く。その時の銃弾の勢いが強かった様で、撃たれた人間は撃ち抜いた頭から横に吹き飛び、頭から壁に激突。
その人間は壁にもたれかけるようにずり落ち、ピクリとも動かなくなった。
眼前の障害を排除したガーディアンは続いて管制室で起きている異常を止めるため、再び銃を構え管制室に狙いを定めた。
銃のモードを切り替えると自らのエネルギーを銃に注入していく。この狙撃銃は実弾とエネルギー弾の撃ち分けが出来る特殊モデルで、管制室の壁を撃ち抜き中にいる侵入者たちを攻撃するためにモードを切り替えた。
接続した回路からエネルギーが供給されていき、後数秒でチャージが完了する様になった所で、ガーディアンは再度トリガーに指を掛けた。
「そいつは撃たせねえぞぉーー!!」
急に叫び声が聞こえたかと思うと銃を構えていた手に衝撃が走り、ガーディアンは謝ってトリガーを引いてしまった。
圧縮エネルギーによるビームブリッドは銃から発射され、明後日の方向に飛んでいってしまった。
突然の事に驚いたガーディアンがセンサー接続を解除して通常モードで前を見ると、先程から空中を飛んでいたメタルパーソンが自分の眼前に腕を伸ばし、そして彼はそのまま目をメタルパーソン、リープに抉り取られてしまったのだった。
空中で戦っていたリープがロックの異常を気付いた時には、彼はすでに倒されていた。
驚いて辺りを見渡すと一体のガーディアンが狙撃銃を構えて再度ロックを狙っているのが見えた。実際の所は管制室を狙っていたのだが、遠目に見るとそこまで判別出来ない。
そのためリープは全速力でガーディアンに近づくと狙撃を妨害し、そのままの勢いでガーディアンも攻撃した。
目を抉られたガーディアンは目からオイルを流していたが、まだ動く事が出来た為、リープから少し距離を取ってまた銃を構える。しかし損傷のせいで動きに精彩さの無いガーディアンでは相手になるはずもなく、リープはいつの間にか左手に構えていた拳銃で残りの目も撃ち抜くと、一気に近づいてガーディアンの身体を掴み、そのまま通路から下に投げ落とした。
空中からリープが管制室の方を見ると、リカルが倒れていたロック引っ張って管制室の中へ入っていくのが見えた。
リープも管制室の前までやってくると通信チャンネルをリカルのインカムに合わせ、今度は彼女がロックの代わりに扉の前に立って防衛の役目に入った。