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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第四話 頂点者達
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5th ACTION 傭兵隊と自警団(期待以上の報酬)

「本日はありがとうございました。これは約束の報酬です」


 数時間後、騒音が響く演習場の外でロックとリカルはフォロウから今回の仕事の報酬をもらっていた。


「とてもよく勉強になりましたし、追加の演習もしていただきましたらか少し多めに入れさせてもらいました」


 見ると確かに金額は初めの依頼内容よりいくらか多く入っていた。金額に異を唱えるつもりは無いし、自分達で引き上げた額でもあるので、ロック達はお礼の言葉を言うとそのまま報酬を懐に納めた。


「とにかく撃って足止めしろー!」

「よし前を抑えた!」

「機動小隊!今のうちに目標を確保しろ!」

「甘いぜお前ら!そんなくらいじゃ俺から一本取る事はまだまだよ!」


 仕事完了の挨拶を交わしている三人から少し離れた所にある模擬戦用のフィールドでは、一部の自警団員達とリープがまだ模擬戦を続けていた。

 ロック達L・D・Cと彼ら自警団の勝負の結果は、三回行って二勝一分け、ロック達の圧勝だった。


 最初の勝負は両陣営全力投入での陣地(フラッグ)取り(バトル)を行い、自警団達はロック達を見て完全に油断をしていた事もあってか、わずか4分で決着がついた。自警団側の大敗である。

 次に行われたのは相手を全て倒すルールでのサバイバルゲームで、初戦よりは善戦できたがやはり自警団達の敗北に終わった。

 そして三戦目はそれぞれのリーダーに一定量の攻撃を与える変則的なものとなり、隠れたリーダーを探すのに時間が掛ってしまったためロック達は勝つ事が出来ず、自警団達も果敢に攻めていったがロック達の戦闘力に勝ち切れず、結局引き分けとなった。


 三つの勝負で一応終わりの予定だったが、泣きの一回との事で最後に希望する自警団員対メタルパーソンのリープのみで、制限時間内にリープの守っている旗を取るというこれまた変則的なフラッグバトルがスタートした。


 いくらリープがメカでも数でかかれば勝機があると思っていたが、ボディの構造をある程度変化させる事が出来るレギオンメタルで身体を作っているリープ相手にその考えは甘かった。

 彼女は追加のメタルも使うと、なんとそのメタルで腕を生やしたのだった!元々ついている腕と合わせて合計8本の腕と、腕を生やして重くなった上半身を支えるために全体を大きくした事により、少し大きな少女が大柄な大男に変身したと、その場にいた誰もがそう錯覚を覚えた。


 今彼女は訓練用の拳銃4丁に自動小銃2丁をそれぞれの手に持ち、残り2本の腕には何も持たずに格闘戦を行っていた。

 その迫力はすさまじく、相手が撃ってきた模擬弾を模擬弾で撃ち落とし、大の男の首根っこを片手で掴むとそのまま片腕だけで持ち上げ他の団員達の中に放り投げるなど、戦術支援コンピュータとしての能力も使うとその戦闘能力は計り知れないものになっていた。


「ところでアリシア達とはどういった関係なのですか?」


 残りの仕事は完全にリープに任せ、ロック達もその演習を見物していると、後ろにいたフォロウが不意に質問してきた。質問に対して二人はどういう事かとそれぞれ顔を見合わせて考えて、一瞬の後にリカルがたまたまこの町に来て知り合ったとだけ答えた。


「そうですか。それで彼女、僕達の事を何か言ってましたか?」


 疑問を感じながらも聞かれた事に二人が答えていくと、フォロウはエイペックズ、とりわけアリシアの事についてしきりに聞いてきた。

 だからリカルは昨日、プライドが言っていた事について何となく察しがついた。


「フォロウさんってアリシアの事好きなのね」


 察しがついたら言葉が出る。リカルの悪い癖である。しかもそれが当たっているからなおさら悪い。

 手に持っていたファイルを落としそうになったフォロウは、しばらくあたりをきょろきょろと見渡すと、「内緒にしておいて下さいね」と二人に小声で囁いた。

 見かけの年によらず純情なんだなと、リカルはこれ以降この話題には触れなかった。ロックはそもそも興味が無いといった感じで、フォロウのリアクションの方に驚いていた。


 フォロウが落としてしまったペンを拾ってフォロウに返すロック。礼を言いながらフォロウはそれを受け取るが、不意にロックの首から下げているペンダントの一つ、精霊石のプレートが目にはいった。

 その瞬間ロックは、ペンダントを見ている彼の目が、珍しい物を見る興味的なものではなく、どこかで見た事がある物を思い出そうとしている思案の目をしている事に気がついた。そこでロックはペンダントを手に取ると何か知っているかと彼に訊ねてみた。


「実はこのプレートと同じような物を集めるのが僕達の旅の大目的なのです。どこかで見たとか、何か知っている事があれば教えていただけませんか?」

「これと同じものかどうかは分かりませんが、以前ここの庁舎に飾られていたのを見た事がありますね。興味があるなら見に行って見られたらいかがです?」


 ロックの説明を聞いて答えるフォロウ。こんな所で探し物の情報を手に入れるとは思っていなかったため、二人のテンションはいやがおうにも上がっていた。

 すぐにリカルが庁舎までの道を聞き、フォロウも丁寧にそれに答えていく。そして場所を教えてもらった二人はすぐにそこへと向かって走り出していった。


「あの、お仲間さんがまだ戦っている最中ですけど!」

「すみません!そいつにも場所教えて現地で合流だと伝えておいて下さいー!」


 走り去っていく二人に大きな声で訊ねるフォロウに、身体ごと振り向くとこちらも負けない声でロックが答え、クルリとシッポをひるがえすと二人はそのままかけていく。

 後に残されたフォロウは持っている書類一式を近くのベンチに置くと、まだ続いている自警団対リープの演習を見学し直す事にした。「冒険者は皆慌ただしいのだな」と呟いて……。

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