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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第四話 頂点者達
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5th ACTION 傭兵隊と自警団『何もしてない大人が』

 特にその後は何もなく翌日。

 ロックとリカルは、ヒマだから連れて行けと半ば強引についてきたリープと共にアリシアから教えられた場所へと向かった。そこにはこの仕事の依頼者がすでに待っていた。


 依頼者はキリカシティの自警団、仕事の内容は戦闘演習とのことで、待ち合わせ場所には演習用とはいえきっちり武装している団員達がたむろしていた。

 そんな彼らからの視線を受けながら、比較的軽装なロック達はここの自警団のリーダーを探して歩いて回り、ようやく見つける事が出来た。


 自警団の幹部の一人というふうに聞いていたので三人とも屈強な身体を持つ戦闘系な人物の想像をしていたが、リーダーはロック達と同じか少し上くらいの歳の様であり、身体の線は細く、周辺に置かれている装備は現在使用しているノートパソコンの他にはセンサーやスキャナーなどの電子装備で武器が無い、戦闘員系では無く指揮官系の人物だった。


「失礼ですが、ギルドに依頼をしてきたフォロゥさんでよろしいですか?」


 チームのリーダーとしてリカルが挨拶をすると、名前を呼ばれた少年は「少し待って下さい」と言いながらパソコンのキーボードを目まぐるしく叩く。それが一段落するとパソコンを閉じて顔を上げて三人の事を見上げた。

 すると青年は傍から見てても分かるほどに表情を変えて、若干ゆっくりとした口調で声を返してきた。


「第8自警団団長のフォロウです、よろしくお願いします。あなた達は見ない顔だけど、エイペックズの新入りの方?」

「いえ、私たちは流れのハンターです。エイペックズからこの仕事を譲ってもらいました」


 リカルが経緯を説明すると、フォロウはそうとだけ言葉を出すと気持ち落ち込んだ様になった。どうしたのかとリカルが聞こうとした時、別の方から荒めの声が聞こえてきた。


「大方逃げたんだろ。だからあいつらにこんな事頼むのはやめておけと言ったんだ」

「そうですよ。演習なら他の自警団とも出来るのですから、わざわざ金を払ってまで冒険者共を演習相手として雇う事もないというのに」


 声の主を辿ってみると、傲慢さがいやでも分かる様な言葉と態度を出している二人のトリ族がこちらの方を見ながら話をしていたらしい。

 エイペックズのアリシア達といい彼らといい、目の前のフォロウもツバメ系のトリ族らしいのでこの町はトリ族の町なのだろう。


(何と言うか、あからさまな奴が出てきたな)

(あんまり関わり合いたくないタイプなやつだな)


 突然の二人組についてロックとリープがひそひそと話をしている時に、リカルは彼らを正面から見ていた。


「何だか知らないけど、そういう陰口叩くのは嫌いだね」


 次いで反論の声を上げると、彼女はロック達が止める間もなく団員に詰め寄っていく。

 あまりにいきなりな事だったので、二人組達も驚いてリカルに対して構えを取る。そんな場の空気など一切気にせずリカルは話し続けた。


「好き好んでハンターになろうなんて子供はほんの一握りで、大多数はやむを得ない事情でならざるを得ないって事分かってて言ってるの!?どんな理由か知らないけど、何もしてない大人が好きに言っていい事じゃないでしょ!」


 リカルの言葉が終わると、それまで固まっていた二人組も落ち着きを取り戻したのか、リカルの顔を見ると小さく息をもらして先程と変わらぬ態度で話し始めた。


「盗みやたかりをしていた連中が遺跡荒らしやその護衛をし始めたって事だろ。こちらにとっちゃあいつらは何も変わっていないって事だよ。人の物に手を出さなくなっただけマシになったけどな」


(何と言うか、あからさまだな)

(ああもハッキリ言い切れるってのも嫌なタイプだな)


「子供が働けない社会にしておいて!アンタ達が偉いって言うつもりなら自分達で暮らしていけない子供たちを救って見せろよ!」

「助けがいがある位可愛げのある奴ならな!少なくとも冒険者や盗人を助ける義理も責任も持ってないね!」

「リカル!もういいだろ、そこまでにしておけ!」

「君達も、外から来たハンターさん達にこれ以上迷惑をかけるな」


 あまりにも話が進まない上にエキサイトしてきたので、ロックとフォロウがすぐ間に入ってこの議論はとりあえず終了した。お互いに気持ちが収まっていないのか、睨み続けている視線の間に割って入るロックとフォロウ。


「部下達が失礼をいたしまして申し訳ございません」

「こちらこそ口が過ぎました」


 お互いがそれぞれ頭を下げあったのでこの件はとりあえずここまでとなった。

 そしてこれ以上空気が悪くなるのも良くないので、すぐにでも演習を始めようと、ロック達はフォロウから演習内容とそのルールを確認して、それぞれの陣地へと位置について行った。

 スタートの合図と共に、両チームの演習戦闘が始まったのだ。

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