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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第四話 頂点者達
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3rd ACTION A.P.X-S(舞台は整った)

 キリカシティの郊外には、多目的で使用できる大型の競技場が建っている。

 施設の立地関係からキリカシティが管理を行っているが、競技場の運営はキリカシティを含めた近隣の町や村が共同で行っている。


 そのためこの競技場では、様々な町村が主催で催し物を行う事がある。その中でも運営を行っている全ての町村が主催となって行うイベントが年に一回、ちょうど今の時期に行われている。

 それはRSによるグランプリで、速さや技巧(テクニック)、RSを使った力比べやマシンの整備技術を競う物まで様々なジャンルの競技が行われるのだ。


 その会場のひとつでは、このイベントのメインイベントでもあるレースが行われようとしていた。

 メインを張っているだけあり、ここのレースはイベント初日から選抜の予選レースが行われ、そのまま上位の成績を出したチームが決勝レースに進む事が出来るという、イベント期間一杯をかけたものになっている。

 イベント会場に設営されたコースと、ピットゾーンに並んでいる各チームのピットブースには、初日の予選から勝ち抜いてきてこの決勝までやって来たチームのメンバー達が、これから始まるレースの最終調整に入っていた。その中のチームに一つ、変わったチームが混ざっていた。


 チームの大半は子供、それも十代前半位の少年少女たちである。

 大人はほんの二、三人ほどしかおらず、彼らにしても周りの子供たちから比べれば大人といった位の、年上の少年達だった。

 レースの準備をしている子供達の中心にいる少年は、インカムの通話チャンネルを変えながら複数の人間と会話を行い、周りにいる子供たちに細かく指示を飛ばしていた。

 一通りの事を行うと、少年は近くで作業をしていたイヌ族の少年を呼んだ。


「姉貴からの連絡はまだかい?」

「まだ来てないよ。他の人達もなんもいってきていないし」


 少年の報告を聞いて頷くと彼はその子を作業に戻らせた。そして先程から席に着いて座りっぱなしだった彼はゆっくり立ち上がると軽い柔軟体操で強張っていた身体をほぐしていき、最後にツバサを大きく横に開いた。


 モルコース太陽系に住む種族のほとんどは、祖先となった生き物の特徴を色濃く持っており、その特徴が最も活かせる仕事や生き方をしている住人も少なくは無い。

 イヌ族が嗅覚の鋭さや持久力の高さを、ネコ族がどこでも行動できる高いバランス感覚など、そのような能力を活かして冒険者となっている者もいる。

 その中でもトリ族は、鳥の手とも言える翼にそのまま指が付いた様な変わった進化の体系を辿ってきた種族である。

 身体に対して翼が小さくなっているので、その翼を使って飛ぶ事は出来ないが、代わりに彼等は空気の流れ、すなわち風を読む能力に優れている。そしてそれを活かしてRUの乗り手になる者達もかなり存在する。


 この少年もRUのライドが得意である。特に何かが上手いという訳ではなく、RU全般で非凡な才能を発揮してきている。エクストリーマーなのだ。

 深い青色をしている少し長めの髪は頭の上でツンツンと鋭くとがらせ、色とりどりの羽根を頭の左側一か所でまとめたヘアバンドで形が崩れないようにしている。

 髪と同じ色をしている毛並みは、少し大きくてダボついたフライトジャケットとすり傷や小さなやぶれが目立つジーパンでしまいこんでいる。


 彼の柔軟体操が終わった所で、レース開始十分前を伝えるアナウンスが流れてきた。まだ準備が出来ていない事に少年が苦い表情を浮かべると、同時に後ろの方から歓声が聞こえてきた。

 何事かと思ったが、それに心当たりのある少年は振り返る事無く一歩足を前に進ませた。

 ゆっくりとした足取りでピットから外に向かって歩き、レース場に足を踏み入れた時には隣に息を切らせながら駆けこんできた別の少年の姿があった。


「プライドお待たせ!やっとボードが来たよ!」


 近くに来た少年の声におう、とだけ答えると、トリ族の少年プライドは差し出されたSボードを受け取り颯爽とピットスペースから飛び出した。


 目指すはスタートライン、栄光のゴールへの第一歩となる道。

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