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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第四話 頂点者達
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1st ACTION 宇宙を駆ける冒険者達[そらをかけるこどもたち](危機一髪)

 専用の機関でエネルギーの生成、圧縮を行った陽電子を一度に撃ちだす。

 この時同時に同属性のエネルギーで砲身を包み込むことで強度を高め、これによって通常の武器より高出力のエネルギーを高い変換率で放射。

 その結果として戦闘艦の装甲や防御機構を一撃で撃ち抜く。それがプラズマストームである。純粋な戦闘艦であるシャインウェーブ号の防御能力がいかに高いものだとしても直撃を受ければ最悪撃沈させられる事もある。


 プラズマストーム搭載機に狙いをつけられたシャインウェーブ号はなんとかそれから逃げようと試みる。しかし敵の動きのほうが早く、船が動きを見せたその直後、戦闘機から強力なエネルギーの塊が放たれロックたち目掛けて飛んできた。

 PRSによる推進に切り替えたシャインウェーブ号は左に舵をとって砲撃を避けようとする。しかしそれでも回避は不可能なため、推力用のPRS粒子を砲撃の来る船体上部に散布した。


 PRSの機能で質量を持った粒子はそれそのものが壁の役割を果たす。

 しかしいくら防御能力があるとしても元々は移動のためのシステムを流用した物なので力はたいして強く無い。

 船体全部を覆うエネルギーバリアの補助として散布されたPRS粒子はPS(プラズマストーム)を受け止めそのエネルギーを拡散させたが、数秒後には出力に負け、大きな穴を開けて貫かれる。

 そしてその直後、今度は船体に展開されていたバリアが電子の嵐から船を守るためその間に立ちはだかった。火花を散らしてPSを受け止めるバリア。それでも若干威力が落ちたとはいえ、最強クラスの武装の前には歯が立たず、徐々に火花が弱くなっていく。


(ブースト)(ビット)全部展開!着弾地点でフォーメーション、バリアネットを作れ!」


 その時その瞬間をねらっていたのか、ロックがランページのビットをPSの着弾地点まで飛ばして陣形を組ませた。

 球状のB・Bは直接攻撃に対する防御力が高く、更にレーザー砲のエネルギーを使ってバリアを作る事が出来る。複数のビットのバリアを繋げれば広範囲にわたる防御フィールドを作る事も出来る。

 B・Bの配置が完了したのとシャインウェーブ号のバリアが壊れたのはほぼ同時のタイミングだった。エネルギーバリアががんばったおかげでかなり威力は落ちたが、それでもB・Bで受け止めるには強すぎるため、すぐに限界が来ていた。


『ロック、ビットも5秒と持たないぜ!』

「分かってる!タイミングを見てエネルギーを散らすぞ!」


 遠くでロックがビットを操る。ビットの限界を感じた時、ロックは全ビットのエネルギーでPSを攻撃。

 威力が弱まった所に受けたこの攻撃はさすがに効いたのか、PSはエネルギーを四散させてビットの網の中から消え去った。

 しかし飛び散ったエネルギーの中にはそのままシャインウェーブ号を撃ち抜いた物もあり、全くの無傷で切り抜ける事は出来なかった。


「被害状況は?」

「上部甲板に多数の着弾確認、着弾点の損害は全て軽微」


 弾けたPSの欠片をもろに浴びて船体が大きく揺れたが、直撃が無かった事が不幸中の幸いと思うとリカルはすぐに応戦を指示した。

 主砲を撃ち、体勢を立て直しきれていない戦闘機を確認すると、シャインウェーブはここぞとばかりに反撃を開始、船体の各所に設置されているレーザー砲台と、両翼に装備されている歪曲式ビーム砲が戦闘機めがけて一斉に襲いかかる。

 初めは上手い具合に避けていた戦闘機も、シャインウェーブの攻撃が激しくなってくるとそれも苦しくなってきた。その動きの隙をついてロックがビットで別の方向から攻撃を加えたため戦闘機は被弾、動きが悪くなった所を一斉攻撃され、ついに撃墜された。


「最後の機体の撃破を確認。戦闘機の小隊を撃破しました。現在付近に他の機影は確認されていません」

「オッケー。ロウ、この子の調子はどう?」

『致命傷は無いけどあちこちやられてる。修理しないと船足が遅くなるぜぇ』


 リカルに聞かれて船の状況を答えている少年も、アミと同じくデジタリアンである。船の管理、修理の全責任者であり、自身も船内の作業用機を使って直接修理を行う事が出来る。

 ロウからの報告を受けると、リカルはコーラルにここを頼むと一言言うとブリッジから飛び出していった。船の通路を早足で移動しながら頭のインカムを操作し、チャンネルを合わせるとそれぞれの部署に指示を送り始める。


「ロウはとりあえずこの子の穴を塞いで。動けるようになったら移動しながら修理を続行」

「格納庫、これからアタシも出ます。マニュアルに従って機体の発進準備をお願い」

「手が空いた人は警戒態勢に入って船がこれ以上壊されないように対空監視を行って下さい」


 一通りの事を伝え終えると、リカルはそのまま格納庫目指して移動を続ける。と、通信を切って十秒としないうちに今度は通信を受信してインカムから受信音が流れてくる。


「誰?何?」

『ロックだ!お前直接出るのか?』


 インカムから聞こえるロックの声。その声を聞いて一呼吸置いてからリカルは移動しながら彼との会話を続ける。


「この子今の攻撃でダメージ受けて、修理しないと満足に動けないの。だからここから動かせないなら反対にこっちから相手の母船を攻撃して時間稼ぎするわ」

『でも今こっちを襲ってきた連中みたいに返り討ちにされたらどうするんだ?この機体でも流石にお前の戦闘機に着いていけないしよ』

「どの道ロックはここで留守番、第二波攻撃が来た時パペットにはこの子を守ってもらうんだから。アタシも最悪牽制だけしたら逃げてくるわ。でもこれで航行スケジュールは大きくずれてしまったけれどね」


 最後の言葉をリカルが苦々しく呟くと同時に彼女は扉を開いて格納庫の中に入っていく。

 連絡を受けた整備班は何とかかんとかといった体裁ながらもリカルの戦闘機を発進できるようにしていた。

 整備員達にお礼の言葉をかけるとリカルは颯爽と戦闘機に乗り込み、出撃準備を行う。アイドリング状態の機体システムを順次立ち上げて行く間に、機体はリカルごとカタパルトまで移動させられる。


 今度のカタパルトは船体の側面に付けられている物で、小型の射出ブロックが船体側面からせり出す形となっている。艦載機を発進させる際に攻撃を受けないようにと常にゲートが開きっぱなしにされていない安全面と船内面積を効率よく使用するための省スペースを確立しているカタパルトである。

 カタパルトに戦闘機が固定されリカルも出撃準備が整うと、管制ブースとの短い会話のやり取りを終わらせ全ての準備が完了した。


「一番カタパルト発進シーケンス完了。出撃して下さい」

「AllRight!ファイターパイロット・リーンカーラ!エントリーRW、コメットライナー!ライド・オン・コンバット!」

 アイドリングモードから機体に火を入れ、徐々に推進力を高めていく。

 密閉されたカタパルトブロックが横にスライドしていき、コメットライナーを宇宙空間にひっぱりだす。船の前方に発進するには慣性の問題もあるため一定の加速力が必要になるがこのカタパルトは滑走路が無く、代わりに力場が働いておりカタパルトに乗っている機体を射出する事で加速力を得るしくみになっている。

 カタパルトに設置されているシグナルが点滅していき、出撃を合図する色になった瞬間カタパルトから機体が一気に前に押し出される。激しいGに耐えながらも船体から離陸したリカルは、次の瞬間流れる様な手さばきで機体の操作を行い、最大速度で敵性勢力がいる空域まで飛んでいった。


『大丈夫か、アイツ一人で行かせて』

「今更そんな事言ったって、もう追いつけねえよ」


 飛びさるリカルを見ながらリープはロックに問いかける。何かを言うにしても、彼女に対して何もしなかったロックは自分の言葉に説得力を出す事が出来ないと分かっていたので、無責任ともとれる言葉でそれに返事をした


「ブリッジ、ランページはこれより哨戒行動に入る。そちらもリーダーからの指示通りに各員を動かして下さい」


 それだけ言うとロックは船の周りを飛び始めた。この間、リカルが帰ってくるまでに予想されていた第二次攻撃は無かったが、船の損壊状況が思った以上に大きかったため結果修理にはかなりの時間が掛り、時間のロスが大きくついてくる結果となった。


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