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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第三話 ここから飛び出そう!!
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14th ACTION PLANET ESCAPE 『マジに遊ぼうぜ!』

『ステップ宇宙港管制室から受信。シャインウェーブ号無事に大気圏離脱コースに乗ったとの事!なお街を攻撃していた不審船は傭兵隊が追い払ったそうだ!』

「作戦成功!やったねロック!」

「結果オーライ?でも充分だぜ!」


 ロック達がおとりとなってリュウの目をそらしている間に船を宇宙港から出港させるというコーラルの立てた作戦は見事成功し、シャインウェーブ号は見事宇宙港から飛び立つ事に成功した。


「くそ、まさか船を逃がすだなんて。結構大胆な事しやがるじゃねえか」


 一方のリュウは最後の策もロックに破られた事と、直後に連絡の入った自分の船が傭兵達の襲撃に遭い、逃走をしている件を聞いたためかなり動揺していた。

 リュウが自分の船の乗組員たちと話をしている間、リカルがロックに話しかけてきた。


「ロック、動くなら今のうちだけどこの後どうするか考えてある?」


 リカルのこの質問に、ロックは自信をもって一言答えた。


「全く無い!」


 堂々としたその声にリカルは思わずコックピット内で前のめりに突っ伏してしまい、操縦中の戦闘機が落ちそうになってしまった。


「アンタ、何そんな事ドヤ顔で言いきってるのよ」

「しょうがねえだろ、元々オレが立てた作戦じゃないんだからそこまですぐに思いつくかよ。そう言うお前はなんかいいアイデアあるのかよ」


 プッと顔を小さく膨らませながらモニター越しに応えるロックを見て、リカルは任せてと言わんばかりに軽くウインクするとコメットランナーのコンピュータを操作し始める。


「ロック、その機体の重量はどの位?」

「あ?重さ?リープ、お前今何トン?」

『お前ら女に体重聞いてくるとか、何考えてやがるんだ!デリカシー無さ過ぎだろ!』

「いいから、答えろ」

『くうー、全装備合計で23.527トンだよ。それがどうした!』

「許容範囲は30トンまで……、ギリギリね」


 二人に聞かれ半ばやけになりながら答えたリープの声に頷きながら更にコンピュータを操作するリカル。そして計算の答えが出るとそれをすぐにランページのリープに送信した。


「今データを送ったポイントまで移動して。そこから脱出するよ」


 リープが送信されたデータをロックと二人で確認すると、そのポイントはリュウ達のチームが陣取っている空間の後ろ側になっていた。

 データを確認するとリープはすぐにランページの機体と武器の状態を確認してロックに伝える。

 それを聞いたロックは操縦桿を握り直すと正面に立ちふさがるリュウ達を見ながら、どうやって攻めようかを考え出した。


 一方のリュウは自分の船から受けている報告内容に頭を悩ませていた。

 ロック達への脅迫の材料として自分の宇宙船ラーグキャリバーにステップの町の宇宙港を襲わせたまでは良かったが、目的対象であった船は攻撃を受けているさなかから無理やり宇宙に逃げて行きこちらの裏をかき、更にステップからやって来た傭兵の逆襲に遭ってラーグキャリバーが損傷、身を隠すため船が町から離れてしまったため、船からクルーが操縦を行っていたパペット達の操縦領域の電波が弱まり動きが悪くなってきた。


 そのためリュウは船に合流しようとしたが、ロック達が黙って見逃してくれなければ行動を起こす事が難しい現状にイライラしていた。

 動かないリュウたちをみて好機と捉え、先に行動を起こしたのはロック達だった。

 リカルがエンジンの出力を上げてパワーを溜めると、推力としてそれを一気に解放、爆発的な加速力を手に入れるとリュウ達のパペットの間を通過して一気に敵陣を突破した。

 その動きに反応したリュウがリカルの動きを追って振り向くが、やはり他のパペット達の動きは悪く、リカルについていけたのはリュウ一人だけだった。


 陣形にバラつきが出来ているその隙を突く形を取ってロックも動き出すと、両肩に装備しているキャノン砲を構えると一番近くにいるパペット二機に照準を合わせ砲撃、二機のパペットの頭部に見事命中すると被弾したパペットは煙をふきながら落下、途中で爆発していった。


 背面からの攻撃に一瞬ひるむリュウ。コックピットに響く警報で我に返るとすぐに機体を上昇、弾ける様にしてその場から離れた。

 ロックは次に回避行動に入ったリュウを狙ってライフルを構えると、周囲に展開した四基のBBと同時に射撃を数回行う。

 緊急回避後の機体硬直を起こしているツヴァイに複数の光線が迫り、その身体の所々が打ち抜かれたが、損傷が軽微で済んだのは神業とも言えるリュウの絶妙な操縦テクによる回避行動のためである。


「ここまでフォーメーションを崩されちゃ、戦線維持なんて出来ねえ。悔しいがこっちの負けだな。でも、どうせ負けでも一泡吹かせて見せる」


 空中で体勢を直しながらリュウはコックピットのコンソールを操作すると、リフターユニットに収納されていた細身のガトリング砲とロケット砲が現れ、背中のコンテナの蓋が開くと中に詰まっていた小型のミサイルが顔をのぞかせた。


 指揮官用に武装の追加がされているLL(リーダーリフター)ユニット、リュウは装備していたユニットの武装を解放すると、ロックのランページにガトリングで攻撃を開始した。

 リカルと合流しようと移動をしていたロックが飛来する弾丸に気付くとその場で回避行動、攻撃を避けながらライフルで応戦を始めた。


「おらおら!落ちろ、落ちろ!くたばれや!!」

「……全くいやだね、感情に任せて殺るだの落とすだの。そんなのオレの趣味じゃねえし」


 オープン回線で流れてくるリュウの雄叫びを聞きながら、段々と気持ちが冷めていったロックは冷ややかな口調でリュウに言葉を返していた。

 その言葉は執拗にロックを攻撃していたリュウにもなんとか届き、リュウは思わず何?と聞き返していた。


「ケンカにしろRUにしろ、もっと楽しんでやるもんだろ?生きるの死ぬのなんて結果に過ぎない。本気で人を殺したいとか思い出したら人生終わり、楽しい事は遊びなんだから、遊ぶ時はもっと真剣(マジ)になって遊ぼうぜ!」


 ツヴァイが撃つレーザーとガトリングの弾をまるで踊りを踊っている様な足さばきで、空間を広く使いながら避けるランページ。

 軸足を使ってボディを翻すと同時に数基のBBを切り離し、遠心力を使って遠くに飛ばし、ロックがライフルを撃つタイミングに連動してツヴァイの死角から攻撃を行う。

 四方八方から飛んでくるビームだが、リュウも負けじと回避行動をとりつつランページを狙って手持ちの火器に加えて背中に背負っているミサイルも使って応戦する。


 短い時間の間だが戦っている本人達には長く感じる撃ち合い、ツヴァイが撃って来たロケット弾をランページがライフルで破壊したその瞬間、戦っている最中に少しずつ展開されていたランページの十六基のBB全てが突然何もない空間にビームを一点集中で発射した。

 発射された十六発のビームは全ての弾がある一点でぶつかり合うよう計算されて撃ち出されたものであり、ビームが命中した空間はエネルギーの衝突による激しい発光と電磁場の乱れが生じ、ツヴァイのカメラとレーダーの機能を一時的に停止させてしまった。


「うわっ!くっそセコい真似をしやがって!」


 視界を奪われたリュウはロックに悪態をつきながら、周囲の状況が確認できないためその場で止まりながら手当たり次第に持っている銃火器を撃ちまくった。

 数十秒してカメラのモニターが復活すると、その目の前に飛び込んできたのは一直線にツヴァイ目がけて飛び込んでこようとしてくるランページの姿だった。


 リュウは機体の体勢を直そうと操縦桿を握ったが、ロックはその一瞬の隙を使って突進するとツヴァイの懐に潜り込み、右手に隠し持っていたBBでロケット砲の砲口を攻撃、ロケット砲を粉々に吹き飛ばした。

 ロケット砲の爆発でバランスを崩した所をツヴァイをランページが左手で掴むと、右腕部のPRSを展開してからツヴァイの顔面を殴り飛ばす。更に脚部のPRSも展開するとツヴァイを突き離し、足の裏で思いっきり蹴飛ばした。


「あばよウサギ!どっかで会ったら、また遊んでやるぜ!」

「逃がすかよ!くそ、動け、動けよ。まだいけるだろうが!」


 ランページの重さとPRSの粒子が反発作用を引き起こす事で生み出された力はツヴァイを大きく吹き飛ばす。

 リュウが何とか機体を立て直そうと操縦桿にしがみつくが、PRSの粒子干渉の影響でエネルギーバランスが乱れたため機械に異常が発生し、何も出来ずに飛んでいった。

 そしてツヴァイとの距離を取った事を確認したロックは、機体を反転させるとすぐにその場から飛び出した。


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