14th ACTION PLANET ESCAPE (仄暗い地下の中)
『……以上がこれからの行動だ。当然攻撃が来る事は予測されるが、それらはこちらで対処するので避難区画に被害が出る様な事はしない。そちらは避難している人達を混乱させないように気をつけてくれ』
指令室の自警団長からの指示を受けると、宇宙港近くにいた人達が避難しているシェルター内の責任者である作業員と自警団員は了解と返事を返して通信を切った。
しかし狙われているからいっそ安全なドックから飛び出して宇宙に上がろうとする船の船員たちに呆れたが、それ以上にその提案を受け入れた上層部の無茶っぷりにはそれ以上に呆れ、出来れば反論をしたかったがすでに行動に移っていると言われてしまった時、彼らはトラブルに慣れていない一般人をまとめる事なんて出来る訳ないだろと怒鳴りつけたい気持ちで一杯になっていた。
とにかく決定した以上はその方針で行くため、彼らは部下を集めてミーティングを始めた。
その姿を遠くから見て、姉と一緒にここに避難してきたプラムは、隣に座っている姉のパーラに視線を移した。
彼女は頭の耳を横に倒した状態で顔を抱えた膝に埋めながら小さな溜息をついていた。
「大丈夫、お姉ちゃん?」
「ん、ええ大丈夫。周りの雰囲気が少し重くて、それに当てられただけだから」
プラムからの問いかけにパーラは膝に付けていた顔を持ち上げて大丈夫と返事をする。
けだるそうな口調でいまいち声に精彩さが無かったが、瞳には強い光が宿っており、気力はまだ衰えていない事を表していた。
姉の無事な姿を確認して一安心すると、プラムは小声で更にパーラに話しかけてきた。
「お姉ちゃん、町、大丈夫なのかな?」
「何とも言えないわね。表の状況がどうなっているのかさっぱり分からないから攻撃がどこまで広がるか分からないし。ここのみんなだって今はただの避難としか考えていないけど、理由を知ったらパニックになるかも」
小声で聞いてきたプラムに、パーラは彼女の声よりも更に小さな声で現状からみた自分の考えを言って聞かせた。
状況を把握している人は少ないから、人前で宇宙港が攻撃された事は言わない様にエトに釘を刺されていたので、話の後半は更に小さな声となった。
話終わってからプラムの方を見ると、彼女は耳を後ろに寝かせて難しい顔をしてこちらを見ていた。
しかしその目はどこか遠くを見ている様な、パーラに対して焦点の合っていない感じがあった。
それを見て、妹もこの状況に不安になっていると思ったパーラは、手の平に包んでいた、エトから預かった指輪をギュッと強く握ると、つとめて明るい声を出してプラムに声をかけた。
「大丈夫よ、お父さんもエトちゃんも、みんなで解決しようと一生懸命ガンバっているんだから、すぐにここから出れるって」
耳とシッポをピン、と立てて元気な所をアピールしながらそう言うパーラ。
驚いて一瞬身体を跳ね上げたプラムが声の元を確認すると、姉に向かってにっこりと笑顔を向けてシッポを立てた。
(そうよ、信じているんだから大丈夫。だから無事でいてね、父さん、エトちゃん)
不安を抱えながらも大切な人達を信じて祈るパーラ。
(あーあ、結局ここに籠る事になるのか。せっかく船が飛び立つ瞬間を間近で見る事が出来ると思っていたのに。こうなったらお父ちゃんが早く仕事を終わらせてくれる事を祈るしかないか)
一方のプラムは町が戦火に包まれるかも知れない状況にもかかわらず考えている事は相変わらずと言った状態で、薄闇が広がるシェルターの中を見つめながら自分のシッポの先端をいじっていた。