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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第三話 ここから飛び出そう!!
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12th ACTION ランページ・キャット 『お呼びとあらば即参上!』

 リカルとリュウ達の間に突然割って入ってきたのは、色の濃淡でアクセントを変えている緑に、機体を塗り分けるために引かれている白いラインでペイントされている、頭部パーツにネコの耳状のセンサーとヒゲ型の通信アンテナを装備しているパペットだった。

 パペットは右腕を横に出してコメットランナーをかばうと、左腕を伸ばしてツヴァイに向かってライフルを構え出した。


「またRWかよ、今度は一体どこのどいつだ!」


 正体不明機に邪魔をされた事にいら立ったリュウがオープンチャンネルで通信を送ると、突然現れた機体のパイロットから、彼に対する呆れが取れる声で答えが返ってきた。


「どいつも何も、自分で招待状を送りつけておきながら呼んだ相手の事を忘れるのかよ」

「何ぃ?それじゃお前、ロックか!」


 ツヴァイの指でロックの乗って来たパペットを指さすリュウ。呼ばれたロックが自分の右腕を動かして親指で自分を指さすと、ロックの動きを真似てパペットも右腕を動かし自分の事を指さした。


「その通り!ロック・ラジファスト、呼ばれて飛び出て……」

「よっしゃあ!くたばれやこのネコ野郎!!」


 ロックの言葉が全て終わる前にリュウはパペットを動かすと、ロックに向けて射撃を開始し始めた。

 いきなりの攻撃に驚いたロックがとっさに避ける事を考えると、ロックとリンクしているランページは、そのロックの反応を即座に読み取って、ロックが考えている通りにレーザーを避けていく。

 それを見たリュウは動きに変化を付けてきたり射撃の間隔や速度を変えるなどしてロックを攻め込むが、不意打ちから立ち直ったロックの操縦するパペットは、まるで人の様ななめらかな動きをしてリュウの攻撃を全て避けきっていた。


「あのウサギ、こっちが喋り終わるまで待てねえのかよ」

『待てなかったんじゃねえの、ロックの事ばかり考えていたからとかで』

「……お呼びとあらば即参上!の方がよかったか?」

『そこが問題じゃねえだろ、うん』


 機体を操縦しながら意味の無い会話をしているロックとリープ。リュウの攻撃を避けながら、ロックも手にしているライフルを構えると、リュウの攻撃の合間を突く様に射撃を行った。

 反撃の度合いは少ないものの、リュウの立ち位置を先読みしているのか的確に彼のツヴァイを捉えており、その結果リュウは攻撃の手を緩めて回避行動を行う回数が増えてきた。


「やべえな頭が押されてきている。おいクリア!もういっぺんお前の銃であのパペットの動きを止めてくれ!」

「すまないが無理だ」


 リーダーの劣勢を見るやクリムゾンはクリアにロックの狙撃を頼んだが、彼から帰って来たのは拒否のメッセージだった。

 言葉の意味の理解のため一瞬間を置いていたクリムゾンが声を出そうとした時、クリアの通信機から轟音が聞こえてきた。


「さっきの戦闘機のパイロットにこの場所が見つかった、現在戦闘中だ。振り切れたら自力で脱出する。リーダーはそっちに任せる」


 伝える事だけ伝えて一方的に通信を切ったクリアは、両手で拳銃を構えると眼前のリカルに向かって発砲した。


 ロックがやってきた時、リカルは一度機体ごと戦場から離脱すると、先程狙撃された場所を割り出して、戦場から少し離れた場所にあるこの岩山にやって来た。

 読み通りそこにはフードを目深にかぶった迷彩マントをかぶった人がおり、近くには狙撃用のライフルが銃座に固定されていた。


 空弾銃を構えたリカルが物陰から飛び出したとき、いつの間にリカルの動きを察知していたのか、クリアはリカルを見ながら拳銃を構え、すかさず発砲してきた。

 飛び出したリカルは突然のカウンターに一瞬パニックになったが、飛び出した時のリカルの勢いが強かったため、弾丸は彼女の右腕をかすめて後ろに飛んでいった。

 続けて二発目、三発目の攻撃を受けた時はリカルも冷静さを取り戻しており、すぐに岩陰に隠れると右手で腰の後ろのナイフを引き抜き、岩陰から再び飛び出してクリアめがけて突進していった。


 それぞれ相手に発砲しては、クリアは弾を避けながら間合いを取ろうとしてリカルから離れ、リカルは弾をナイフではじき飛ばしながら間合いを詰めようとしてクリアに近づいていく。

 一旦近づくとリカルはナイフと格闘でクリアを攻め込むが、クリアはリカルの攻撃全てを受け流したり避けたりすると、また間合いを取って距離を開けていった。


「私相手にここまで出来るか。正直驚くよ、冒険者」

「こっちも驚きだよ、どんな狙撃者(スナイパー)にやられたかと思ったら、まさか量産ボディのメタルパーソンだったなんてね」


 リカルの構えた銃の先にいるのは、背丈がリカルの胸辺りまでしか無い、ジャンク屋や機械パーツ屋などで売られているおもちゃのブロックの様な量産品を組み合わせて作られたメタルパーソンだった。

 自分に手傷を負わせた相手に関わらず不敵な笑いを向けるリカルに、クリアも礼とばかりに一瞬可愛い笑顔をリカルに向けた。

 しかし文字通りの一瞬の後は、先程の様に無愛想な顔をして鋭い目つきでリカルを睨みつけた。


「まあ相手がだれであれ手は抜かないけどね。アンタらには懸賞金がかかった、捕まえさせてもらうよ」

「つまる所はそれが目的か。しかし、アレらを相手にそれが出来るかな?」


 クリアの言葉に眉を動かすと、リカルは彼が自分とは別の方を見ている事に気がついた。

 続いて聞こえてきた、空を切り裂くようなジェット音にハッと表情を変えると、次の瞬間リカルの頭上を数機のパペットが飛び越えていった。

 パペットの放つ衝撃波から身を守るため身体を屈めるリカル。パペットが全機通り過ぎて行ったあとリカルが身体を起こすと、先程まで戦っていたクリアもすでに目の前から消えていた。


「逃げられたか。このタイミングで仲間を呼ぶだなんて」


 まんまと逃げられた事を悔しがるリカルだが、先程のパペット達が飛んでいった方向を思い出すとさっと顔色を変えていた。


「あんな数一人でさばけないわよ、ロックが危ないじゃない!」


 言うが早いがリカルはその場から駆けだし、自分の戦闘機の置いてある場所まで全速力で向かっていった。

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