8th ACTION ネコ達の語り合い
フィールドワーク用に改造してある強化靴を履いて靴ひもを強く締める。ベッドから立ち上がって、テーブルの上に置いておいたベルトを腰に巻く。
両手を組んで、腕とシッポを大きく上に伸ばしてから、ハンガーに掛けてあるロングコートに袖を通すと、丈を短く詰めて裾を絞り、ジャケット状にしてから、ロックは部屋のドアを開けた。
部屋の外に出た彼は真っ直ぐ、船の後部に当たる部分にある格納庫に向かって歩いて行った。
この船の格納庫は標準サイズの戦闘機やパペットを合計20機収納でき、戦闘中でも一度に計7機の整備をコンピュータ制御で行う事が出来る、高いRW運用能力を持っている格納庫である。
船の性能調査を行って確認出来た事を頭の中で復唱しながら、ロックは格納庫に止めておいたチェイサーに向かおうとした。
しかし、入ってすぐの所にある工作室の窓から明かりが付いているのを見かけると、まだ朝も早いのに誰かいるのかと気になって、ロックは部屋のドアを開けて中に入ってみた。
部屋の中には手で扱う大きさのものや、コンピュータ制御で作業を行う大型機など、たくさんの工作機械が設置されており、さながら小さな工場の様になっている。部屋の真ん中には大きな作業用のテーブルが置かれていて、そこにテーブルに突っ伏して眠っているリカルとリープの姿があった。
どうして二人がこんな所で寝ているのか疑問に思ったが、時間も無かったため、ずり落ちてリカルの背中に乗っている空色のジャケットを手に取ると、彼女の肩に掛け直してから部屋を出ていく。
そのまま走って止めておいたチェイサーに飛び乗ると、ロックは起動キーを差し込んでエンジンを回し初めた。
機械が動く大きな動作音が遠くから聞こえてきて、リカルは目を覚ました。
テーブルから顔を上げて辺りを見渡し音のする場所を探していると、格納庫の方から聞こえてきた事に気がつく。
リカルが後ろを振り返り工作室の窓から格納庫の方を見ると、工作室から離れた所に止まっているロックのチェイサーに彼が乗り込んでいる姿が見えた。
チェイサーのアクセルを一際大きく吹かせてから前進を始めると、ロックは小さな搬入口から船の外に出ていった。
リカルは外に出ていくロックを追いかける様に工作室を出て格納庫に来ると、一瞬間をおいてから、高いエンジン音が遠ざかっていくのを聞いた。そしてその音が聞こえなくなるまでその場に立ったままでいた。
「行ってらっしゃい」
エンジン音が完全に聞こえなくなってから、リカルはロックの出ていった方向を見ながら声を出す。
その直後、少し大きめの欠伸を一つすると、彼女は格納庫の壁に寄り掛かって瞼を閉じて、再び夢の中へとまどろんでいった。
ここステップは商業都市である。商業都市であるため、この町の中心部は一般の人家よりも商店や会社などが多く、そのため平日には朝だと言うのにたくさんの人達が町のあちこちを駆け抜けていた。
特にメインストリートとなる大通りにはその手の建物が多く集中しており、そのため人や乗り物の交通量はハンパないほどになっている。
しかしそれも一本裏道に入ってしまえば全く別の出来事の様に感じてしまうほど静かになる。
現在ロックが走っているこの道が正にそうであり、中小の商社や普通の民家しかないこの通りには大通りほどの人の流れも活気も無い。
冒険者達のギルドオフィスはこの通りに建っており、その隣には主に冒険者達を相手にしている修理工場がある。
元々オフィスのある土地も含めてこの通りの一角はガレージの主人が所有していた土地だったが、町にギルドオフィスを作る時にギルド関係の修理を一手に引き受けさせる事を条件で土地を提供すると話が出た。
ちょうど建設場所を探していた方にとっても悪い条件では無かったので、オフィスはこの場所に建てられた。
レインに呼び出されたロックは、ガレージの中に入っていき、隅の方にチェイサーを止めると奥の方に歩き出した。
奥にはこのガレージの主人と作業員、ロックを呼びだしたレインと数人の傭兵が待っていた。
彼らのもとに近づいて、ロックが一つ頭を大きく下げて挨拶をすると、それまで黙っていたレインが口を開いた。
「時間ぴったり。ちゃんと起きてこれたようだな、ルーフォ」
「若いですから。レインさんの方こそ、二日酔いになってて来ていないかと思った」
少しばかし嫌味の入ったレインの言葉に返答しながら、ロックも憎まれ口をレインにぶつけた。
その言葉に一瞬渋い表情を浮かべたレインだったが、口元をにいっとわずかに歪めると、低い声で小さく短い笑い声を出す。
そのレインにつられて、ロックも腰に手を当てながら同じような笑い方をする。
初めは小さな声だったが、そのうちどちらからともなく大きな声になっていき、ついには二人で大声で笑いあった。
しかしそれも短い間で、声を出して笑っていた二人はおもむろに腰に下げていた剣の柄に手を伸ばすと、そのまま一気に刀身を抜き出した。
ロックは発振機から粒子波動刀を閃かせ、レインは無数の歯車が組み合わさって作られている剣、ギア・ブレードを手に正眼の構えを取った。
「分かっていると思うが、師匠としてお前に与える俺の最後の試験だ。何でもいいから俺から一本取ってみな!」
レインとロックの一騎打ち、それがロックがレインに呼び出された用件の内容であった。
レインの課題に頷くと、ロックは粒子刀を発振機の上下から発生させ、彼が得意としている二刀一刃の型を作り出す。
一方レインは構えていたギア・ブレードを鞘に戻すと、柄の部分についているボタンを押しながら刀身を鞘から引き抜いた。
この鞘の内側には無数の突起が付いており、鞘から抜かれた刀身の歯車はその突起に当たって回転、高速で回転する歯車はそれ自体がエネルギーを帯びて鋭い切れ味を持つ刃になる。
ガジェットソードと言う、この鞘と剣はLost以前の先史文明の遺産として、修復された物、または量産されたレプリカがこの世界に出回っている。
それぞれ剣を構えたまま、二人とも動く事無く時間が過ぎていく。
攻撃をするための間合いに入るには、相手の間合いに踏み込んでいく事になる。不用意に踏み込めば相手からの攻撃を受ける事は確実なので、相手に近づくための隙を探すと言う、無音の戦いが繰り広げられているのだ。
互いに相手を睨みながら、時間は三十分を経過した。
時々、フェイントのために少し動いてみる事があるが、どちらかが一歩前に動けば相手は一歩後ろに下がる、右に動けば左に動くと、常に一定の距離を取り合っていた。
元々相手の手の内をあらかた知っている二人にとっては相手に合わせて後から行動した方が有利になるため、出来るだけ先に動きたくは無い。
相手の動作を探りながら時間だけが過ぎていく状況の中、初めにロックが動き出した。
レインが一歩踏み込んできた時、ロックはその足の動きに合わせて一歩前進して間合いを詰めると、そのまま身体のバネを使い低い姿勢で一気に飛び込み、あっという間にレインの間合いの中に入っていった。
しかしロックの動きを見ていたレインはその動きに慌てる事も無く、剣を片手で持ち直すと半歩身体を後ろに下げながら、ロックめがけて突きを放った。
目の前に迫ってくる剣の切っ先を瞬時に見極めると、ロックは粒子刀を軽く振るって剣の軌道を反らして攻撃を避け、レインが身体のバランスを崩した隙を突いて彼の後ろに回り込んだ。
剣を弾かれ右にバランスを崩されたレインは、すぐに振り向いてロックを追いかける様な事はせずに、前に数歩駆けこんでから身体を捻ってロックに振り返った。
瞬間、レインの目には、今まで自分のいた所に横からなぎ払うロックの斬撃が見えた。ジッと何かがかすめた音が聞こえ、毛が数本散乱しているのをレインは見た。
避けたつもりだったが、彼のシッポの先に剣の切っ先が当たり、シッポの毛が刈り取られてしまっていたのを見て、レインは少し冷や汗を流した。
無理に振り返れば攻撃を受け止められない、だからレインはあえて距離を取ったのだった。
もちろんロックもそれを知っていた。そのためレインに攻撃を避けられた瞬間にはレインの方に駆けだして左斜めからの袈裟切りの動作に移っていた。
体勢を直したレインも剣を構え直すと正面から切り込んで行った。
二本の剣の刃がぶつかり火花が飛び散る。ぶつかり合う剣の衝撃が二人の剣を弾き飛ばし、飛ばされた剣を握り直しては再び相手に向かっていく。
攻撃の方法も上から振り下ろす、横から払い込むなど多彩な剣の動きに加え、相手の剣を受け止めた後身体を使って相手を押し込んだり、空いている手や足を使って打撃を与えたりと、格闘を織り交ぜながらの多種多様な物となっていた。
「しばらく見ないうちに、結構やる様になって来たな。まあもっとも、この位出来てくれないとこっちも教えた甲斐が無いってもんだけどな」
二人が剣を交えてツバ競り合いを行っている時、突然レインがロックに話しかけてきた。
二人とも休むことなく激しい動きをしたにもかかわらず、彼らの呼吸は上がる事無くまだまだ平然としていた。
特にロックより歳が上のレインがバテていないため、彼の言葉に見える余裕はかなりのものだった。
「いや残念ですよ、もっと早く勝負がつくかと思っていましたから。これじゃ帰ってもう一度眠る時間もありゃしない」
「そんな簡単に倒せると思っていたのか?だったら甘いな。どうして俺が今日、この剣を使っていると思う?お前の剣に対抗できるからだ」
言葉を言い終えると同時にレインは強引に剣を振るって組み合いの状態から抜け出すと、その勢いを使ってロックに連続攻撃を仕掛ける。
片手や両手、色々と持ち直しながら繰り出される様々な方向からの攻撃に、さすがのロックもどんどん追い詰められていく。
しかし、レインが突きを出そうと剣を後ろに引いた時、その瞬間を突いてロックはレインの剣を持っていない方の手の方向に真横に飛んでその攻撃をかわすと、そのままバックステップでレインと距離を取って彼の攻撃を終了させた。
「避けてばかりか。まあ、決定打が無い以上そうなるな」
ゆらりと身体を動かすと、レインは身体を低く構え、片手で剣を持つとそれを腰の近くで構え出した。
「粒子波動刀の特徴にして弱点は、実際に物を切っていない事だ。粒子波動エネルギーの触れた物質は、エネルギーの干渉によってその分子構造を崩壊させられ壊れていく。その干渉が高速で行われていくから、見た目には剣が物を斬っている様に見える。ここで問題なのは、エネルギー系の運動している分子は干渉しにくいと言う事。粒子波動刀はエネルギー物質にも干渉できるが、エネルギーは分子の運動によって性質が変わるため、そのエネルギーに効率よく干渉でき無くては斬れないと言う事だ。このガジェットソードは、刀身のギアのかみ合わせを変える事で運動エネルギーの速度を変えてその性質、つまり刀身の属性を変える事が出来る。何でも斬れるその剣でも、常に変化する粒子と属性は簡単に斬れないぞ」
構えながら、ゆっくりと移動してくるレイン。
彼から目を離す事無く距離を取ろうと後ずさるロック。
自分の武器の弱点を指摘され、不利になったのは明らかなのだが、彼はそんなことすら楽しむための材料にしているのか、目をらんらんと輝かせながらヒマワリ色のシッポを左右にゆっくりとくねらせ出していた。
「だったら試してみますか。次の一撃で、僕がその剣を斬る事が出来るかどうか」
その一言は、レインの目を一瞬丸くさせるのに充分だった。
少し揺さぶりをかけてやろうと思って語った講釈はまるで通用せず、それどころかロックは、その言葉を自分を挑発するための材料にしてきた。
ハッタリかどうかを見定めてみようかと思ってみたが、ロックの表情は先程と変わらない、好奇心いっぱい、悪戯心いっぱいといった、人を喰った様な笑顔をしていてその心情は読めなかった。
「大したハッタリだな。いいぜ、乗ってやるよ!ルーフォの身体に新しいキズがつくか、大枚はたいて卸した新品叩き折って俺の懐に大打撃与えるか、二つに一つの一発勝負だ!」
「さすが師匠、乗ってくれるね。その位やってくれなきゃ面白く無い!」
鋭く言い放つとロックも自分の剣を構え直し、後ろに下がるのを止めるとレインを正面から睨みつけた。
その状態で二人とも、初めの時の様にじりじりと動きながら、相手の出方を伺いつつ攻撃のチャンスを待っていた。
二人の戦いを見物しに来ていた傭兵達やガレージのメカニックも、二人の次の一撃で勝負を決めると覚悟した気迫に呑まれて、通常では感じえれない緊張を感じていた。
傭兵の一人がビンのジュースを飲んだ後、隣に立っていた同僚の傭兵に声をかけようと彼を肘でつついた時、二人の戦いに見とれていた彼はそれに驚いて身体を反応させてしまい、腕に抱えていたジャンクを床に落としてしまった。
物凄い大きな音を立てながら床に散乱するジャンク。
その音を合図に、レインが弾ける様に駆けだした。
ネコ族の脚力であっという間にトップスピードに乗ると、彼は一気にロックの目の前に飛び出した。
それに対してロックは、レインが駆けだしたのを見ると粒子波動刀の出力を変更した。
すると桜色をしていたエネルギーの刀身が徐々に明るくなり色も変わりだし、数秒後には夏の空の様な、抜ける様な青色に変わっていた。
「うおおーっ!!」
腹の底からガレージ中に響き渡る声を発しながら、レインはロックに必殺の突きを繰り出す。
「これがこいつの本気だ、喰らえ!!」
レインめがけて床を蹴りだし勢いよく駆けだし、両手に持った粒子刀を頭上にかざすと、ロックは彼の剣めがけて渾身の一撃を振り下ろした。
ガジェットソードの切っ先と粒子波動刀の刃が激突。
ぶつかった部分がフラッシュの様な閃光を放ち、ガレージ内を一瞬まぶしく照らし出す。
突然の光に目が眩み、周りのギャラリー達は光から目を背け出した。
その光が収まるとほぼ同時にギン、という金属音が聞こえてきて、一瞬間をおいてから今度はガラガラとたくさんの何かが床に落ちていく音がガレージに響きだした。
ようやく視力が戻ってきたギャラリーの人達がロックとレインに目を向けると、そこには振り下ろした粒子刀をガレージの床に突き刺したまま止まっているロックと、ギアがばらばらに吹き飛び柄だけになってしまった剣を握りしめ、今起きた事が信じられないといった表情で立っているレインの姿がそこにあった。
しばらく二人ともそのままの姿勢で止まっていたが、二人が同時に大きく息を吐き出すと再び動き出し、それぞれ自分の剣をしまいだした。
その後レインは床に散らばったギアの欠片を集め出し、彼の剣を折ったロックも自分から欠片拾いを手伝い始めた。
「あーあ、まさか本当にぶった斬られるとは思わなかった。ルーフォ、お前一体何をしたんだ?」
「別に。特別な事とか特殊な技とか、そんなものは全然ありませんよ」
散らばった破片を集めて腕に抱えながら立ちあがると、レインはそうロックに訊ねて来た。
それに対してロックは、やはり剣の破片を拾ってから立ちあがると、特別な事は無いとあっさりとした口調でレインに答えていた。
そっけない態度を取られたレインは、そんな事無いだろともう一度ロックに訊ねてみると、彼は抱えていた剣のジャンクをレインに渡してから、ピッと人差し指を立ててみた。
「一つだけ。昨日こいつのコアユニットに、本体ユニットを組み込んで本来のパワーが出せる様にした。どんなに粒子の質を変えられても、それ以上の出力でもって高速攻撃を行えばどんな物質も斬る事が出来る」
そう言うとロックは、先程しまった粒子刀の発振機を取り出してレインに見せてみる。
片手ですっぽり隠せるほどの大きさだった発振機は、今は両手で持ってもまだあまるほどの長さがあり、直径も大きくなって全体的に頑丈なイメージを持たせる物になっていた。
それは昨日、ロックが神殿に行って取って来た、あの金属筒だった。
「甘く見ましたね?」
そう言ったロックの顔は少し目を細めながら口元を小さく開けるとしてやったりと言わんばかりの顔でレインに笑いかけた。
レインはそれを見て頭をかくと、全くだと苦笑いをロックに返した。
「やっと用事が終わったようだな。そのクズ鉄はみといてやるからあっちに置いときな」
聞こえてきたしわがれの声に二人が振り向くと、ガレージの主人がスパナで肩を軽く叩きながらやっと終わったといった様な表情で二人を迎えた。
ガレージの主人は、レインが抱えていた剣の破片を指さしてから空いている机を指差した。
言われた所に二人が破片を置くと、ガレージの主人が二人に飲み物のペットボトルを渡してきた。
ロックはボトルを受け取るとフタを開けて中身を飲みだした。同じくボトルを受け取ったレインは、手に取ると同時にガレージの主人に頭を下げた。
「どうもありがとうございました。こんな事街中で出来る所はここくらいしか無いですから」
「悪かったなじっちゃん、朝から仕事の邪魔しちゃって」
ロックも後ろから主人に謝ると、彼は長いマズルを指でなぞりながら声を返してきた。
「いいってことよ。その分ウチに仕事回してくれりゃな」
な、といった顔でレインを見ると、彼はアハハと乾いた声で笑い声を出してから、手にしたボトルの中身をあおる様に一気に飲みだした。
しかし主人の言葉に動揺していたためむせてしまい、口の中の飲み物ごと盛大に吹き出してしまっていた。
「アハハハ!ちょ、何やってんですかレインさん、慌てすぎですよ!」
レインの突然の異変を見ていたロックは、テンションがまだ下がりきっていないのも相まって大声でレインの事を笑い出した。
その場にいた他の傭兵達もロックにつられて笑い出し、ガレージの職員に背中をさすられていたレインも、落ち着いてきてから耳を横に寝かせて照れ笑いをしていた。
しかしそんな和やかな時間は、突然の闖入者の手によって破られてしまった。
『やい、ロックとか言うネコ野郎!聞こえているか!!』
突然響いてきた大きな声。敵対心むき出しの怒鳴り声でケンカ腰の態度に、その場にいた全員が驚いてその場に凍りついてしまった。
「な、何だ今の声?」
「公共放送用のスピーカーから聞こえてきたぞ!?」
まだ状況が飲み込めていないが、それでも確認のために動き出した冒険者達の動きの速さは流石であった。
「この声、昨日のリュウとかって奴の声だ!」
「昨日お前に絡んできた、ウサギのアイツか!」
声の主を思いだしたロックが叫ぶと、レインも昨日の事を思い出してロックに声をかけていた。
昨日の出来事から行って穏便に事が済むとは思っていない二人は、この声の主が何を言い出すのか、半ば緊張と、半ば期待を持ってその先の言葉を待っていた。