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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第三話 ここから飛び出そう!!
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1st ACTION 結成!L・D・C! (デジタリアン)

「商業都市ステップ到着まで後三十分、各乗組員は部署規定に従い接舷準備を行ってください。繰り返します……」


 ロックがブリッジからアナウンスを流すと、船内の各所を撮影しているカメラの映像を映している正面のサブモニター内のクルー達の動きが活発になって来た。

 今後の予定としては、宇宙への打ち上げ前に船を宇宙での活動が出来るように改修してから、宇宙船の打ち上げ用滑走路を使って宇宙に飛び出す事になっている。


「とりあえず予定はこんな所で、出発は明日、作業の具合によるけど遅くても夕方までには衛星軌道上に出る様にしたいですね」

「分かりました。宇宙に出てからのルートはオーナーに確認しておきます」

「んー、ようやく陸地に着いたよ。皆、御苦労さま」


 着陸とその後の打ち合わせをしていたロックとコーラルが声のした方を振り向くと、腕を大きく天井に伸ばしながら入り口をくぐってくるリカルの姿があった。

 彼女はブリッジクルーに挨拶をしながら自分の席に着くと、右前に座っているロックに声をかける。

 ところが彼はうんと一言だけ頷くと前を向いて自分の方を見てくれない。何だろうと思ったリカルがコーラルに小声で聞いてみると、先程の食堂の一件を話してくれた。


「なーに、やっと気付いたの?そんなに鈍いなんて、まるで子供ね」


 コーラルから話を聞いたリカルにそう言われると、ロックはうるさいとだけ声を出すと左手でリカルを払うようなしぐさをして話を止めるよう要求してくる。

 その反応が可愛いなとニヤニヤした顔で彼を見ながら、リカルもこれ以上からかう気はないので、この話はここで終了となった。


「と、こんな事話している場合じゃないのよね。みんなゴメン、このタイミングで悪いけど紹介したいメンバーがいるの」


 そう前置きをしてから、リカルは自分の席のコンソールのパネルを操作し始め、自分の部屋に置いてあるコンピュータからあるデータをブリッジに転送してきた。

 サブモニターの一つに映し出されたのは、フワフワした大きなシッポを持つ犬族をモチーフにした二人の女性型と一人の男性型、合わせて三人のアバター達だった。


「これが新しいメンバーですか?」

「そうよ。髪の長い長毛の毛並みの方がアミ、眼鏡にショートヘアの女の子の方がシェール、そして白地に黒ブチの毛並みでアタシと同じ年格好している男がロウ。随分前からプログラム組んでいた、自律型のコンピュータヒューマン達よ」

「へえ、デジタリアンか。良く出来ているな」


 感心している口調のロックの声を合図に、ブリッジのクルー達も口々に、モニターに映っている三人の感想を上げていった。

 モルコース星系に存在している人類の種族はおよそ百種類と言われており、その中の種族として珍しいとされているのが、身体が機械や金属で作られている無機生命体である。

 彼らは、身体のほかに心と言うべき物として、自分の意思で物事を考えて行動する事の出来るAI(人工頭脳)を持っている。

 そうした自律型のAIを総合して電子人デジタリアンと呼び、自分の身体を持っている人達を機械人メタルパーソンと呼ぶ。

 そしてAIである彼らは同族同士での繁殖以外に、他の人間達がプログラムを組み上げる事で誕生するのが特徴である。


「ところで彼らはもう起動するの?」


 乗組員の一人がリカルに問いかけると、彼女は小さくアハハと笑うながらあごの下を指でポリポリと掻き始めた。


「実はまだ完成していないの。今日中には動かせる様にするつもりではいるんだけどね」

「それじゃ今は顔見せって事か。見た目はまあ好きになれそうだからいいけど、こいつらにはなにさせるんだ?」


「アミにはブリッジ全般の補佐、シェールは艦内生活の管理、ロウは船や備品のメカ関係全体の整備。と

りあえず必要最低限のサポーターとして三人、後は彼らが運用するためのボディを作ったり、系統の細分化を行うために新しい仲間を増やしたり、まあそっちは追々やっていくわよ」


 自分の作ったデジタリアンの説明をするリカルとそれを聞いているロックとコーラル。

 しばらくの間彼らの話し声がブリッジを独占していたが、乗組員の一人が唐突に三人に向かって口を開いた。


「船長、ステップの管制塔から通信入りました。代表者に取り次いでほしいと連絡来てます」


 連絡を受けたリカルは自分の頭に付けているインカム・メットからピンコードを引き出すとデスクについている端子にそれを差し込み、端子の隣のボタンを押した。

 するとステップの管制官の声がインカムから聞こえてきたので、彼女はその声にこたえながら会話をしていく。


「はい、それではあなたの名前と船名、フルネームでお願いします」

「リーンカーラ・フィズ・カルディクリート・インクラウン。職業はハンター。船名は……」


 そこまで言ってから彼女は一度ロックの方に視線を移した。

 自分を見ていた彼と目が合うと、ロックは小さく頷いてきたので、リカルも頷き返すと管制官に話を続けた。


「船名はシャインウェーブ号、700メートル級、機動戦闘艦」

「了解。では冒険者さんのチーム名もお願いします」

「チーム名?チーム名は……」


 チーム名を聞かれて少し言葉を詰まらせるリカル。

 ロックの方を見ると、彼はその両目をらんらんと見開き、力強く何度も頷いていた。

 それを見てリカルは小さく溜息をついてみたが、そんな事で考えを変える相手ではない事を知っているため、観念したかのようにインカムのマイク部分に手をかけた。


「……チーム名はL・D・C、躍動する夢追い人達(リヴリードリームチェイサーズ)!」


 やけっぱちな感じになりながら名乗りを上げると、リカルは勘弁してほしいと言った顔でロックを見たが、彼は全く気にせずに正面の窓から外を見ていた。

 それを見たリカルは片手で握りこぶしを作りながら、まだまだ続く入港手続きのため管制官との会話を続けていった。

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