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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第二話  DIVING TO THE ADVENTURE
20/123

7th ACTION 『助けるのが恩返しだ』

 ロックの作った道に沿って、コーラル達三人は親玉である大ガニガーディアンのもとへと走っていく。


 途中で襲いかかってくる子ガニは、途中までロックの援護を受けながらそれぞれが分担しながら倒していき、細い道がカニでもう一度埋まらないうちに脱出しようと、三人とも必死になっていた。

 そうしてやっと子ガニの群れを抜け切ったが、大ガニを近くで見る事が出来る距離まで来ると、今度は大ガニからの洗礼を受ける。

 腕を突き出しハサミを大きく開くと、ハサミの付け根に装備されている機銃で狙いをつけて三人に向かって撃ちだした。

 固まって行動していた三人はそれぞれに別れると銃弾を避けながら大ガニに対して攻撃態勢をとる。

 カニもそれを黙って見てはおらず、壊れたキャタピラの代わりに身体をゆすりながら腕を動かすと三人を追尾しながら機銃を掃射し続ける。

 しかし足回りを壊されたしまった事で上手く動く事の出来ないカニは、身体が小さくて小回りのきくコーラル達にとっては対して脅威となる様な相手ではなかった。


「よし二人とも、このまま死角にまわりこんで一斉に攻撃をするよ」

「了解です。しかしどんな奴にしても、動く事が出来なきゃデクの坊だな。やーい、悔しかったら動いてみな!」


 動く事の出来ないカニにジャナンは大きな声で野次を飛ばす。

 するとその言葉を聞いていたかのようにカニはその目をぎょろりとジャナンに向けると、その巨体を数回ぶるぶるとふるわせた。

 するとカニの脇腹の辺りからニョキニョキと足が生えてきた。

 脇腹の左右から四本ずつ、計八本の足が生えてくると、カニはその足をしっかりと地面に下ろして自分の身体を持ち上げ歩き出した。


「……マジで?」

「ジャナのバカ!余計な事言うから変な事になっちゃったじゃない!」

「な、そんな事俺に言うなよ、そこまで知らねえやい!」


 ミリーにバカにされてジャナンはついムキになって反論したが、それもカニによって中断させられてしまった。

 自由に動ける様になった事で体の向きを変える事が出来る様になったカニは、ジャナンに狙いを定めるとハサミを振り下ろして彼を攻撃した。

 ハサミの一撃を後ろに飛んで避けるジャナン。コーラルとミリーはカニがジャナンに気を取られている内にカニの体に攻撃を与える。

 しかし攻撃を受ければカニも黙ってはおらず、ちょこまかと動き回ってはハサミを振り回し機銃を撃ちまくりで三人を寄せ付けない様にしていた。


「くっ、動けるようになると途端に手ごわくなってきましたね」

「うざいったら冗談じゃねえ。これでどうだ」


 ジャナンは腰にくくりつけていた手榴弾を引きぬくと、掛け声と共にカニに向かって放り投げる。

 投げた手榴弾はジャナンの狙い通りカニの目の前で爆発、いきなり目の前で衝撃を受けたカニは混乱を起こしてふらつく。

 更に二個、脇腹に目がけて手榴弾を投げ込むと、爆発の衝撃でカニの装甲に傷が生じた。カニの動きが止まった所を狙って三人は襲いかかると、カニを囲んで攻撃を開始した。

 ショックで機能を一時停止させていたカニが目を覚ますと、自分が色々な方向から攻撃を受けているのを知った。

 攻撃してきている人間を追い払うために先程生み出した小型機を呼び寄せようとしたが、小型機達は人間の仲間達の手によって次々と破壊されていく。

 何とかしなければならない。そう考えるとカニはコンピュータを駆使して現状を確認、最適な戦闘方法を探し始めた。


「向こうの方はもう終わりそうね」

「だから言ったろ、大丈夫だって」

「こっちももう終るわね。片付いたらどうするの」

「あっちに加勢する事も無いだろ。遠巻きに見させてもらうわ」


 そう言いながらロックは足元に寄ってくる子ガニを粒子刀で突きさしながらコーラル達の様子を見ていた。リカルはその事ですこし不満があったようだが、終わりそうな戦いにわざわざ飛び込むのもお節介に思ったので特に何も言わなかった。

 しかし二人が目を離して別の子ガニ達を相手にしている時、コーラル達が戦っている方向から大きな声が聞こえたかと思うと、事態は一転していた。

 コーラル達に襲われたカニは思考を完了させると早速行動を開始した。

 身体を低く構えてから両腕を地面に勢いよく叩きつけるとその巨体を空高く弾き飛ばした。

 あっとコーラルが大きな声を出したが、そのとき既にカニは大きく跳ねてコーラル達から離れていき、ロック達の頭上を越えていった。

 先程までいた大ガニが急に消えたため辺りを探していた二人は、上を見上げると巨体が宙を飛んでいる光景を、半ば感嘆の思いで眺めていた。

 カニが天井すれすれの辺りを飛んで行くのをその場で見ていたロック達は、カニが何かをばらまいているのを目にすると、次の瞬間それに苦労する羽目になった。

 カニは新しい子ガニを産み出すと空中から地面に向かってまき始めた。

 生まれた子ガニ達は次々に地面に落ちていくと、先程生み出された子ガニと戦っていたロック達の頭上に降ってきた。


「いたたた、またカニかよ!」

「わわわっ、ちょちょっとアブな、もうカニはいいわよ!」


 降ってきた子ガニを避けようと右往左往としている二人をしり目にカニは地面に着地すると、すぐに向きを変えて五人の方を向く。

 子ガニ達に襲われた二人は自分達にまとわりつく子ガニを振りほどくと、そのまま背中合わせになって子ガニ達と戦い始めた。

 カニに逃げられたコーラル達はそれを追いかけるために、危険を承知で新たに生み出された子ガニの群れの中を突っ切っていく。

 しかし大ガニの行動もそれで終わりではなく、腕を地面について身体を低く構えると背中に構えていた二門の大砲を向けていた。


「ロック、リンさん、危ない」


 一番最初にカニの行動に気付いたのはロック達に駆けよっていたコーラルだった。

 その声に子ガニ達と戦っていたリカルがコーラルの指をさす方を見るのと、大ガニが構えていた大砲から二人めがけて弾を発射したのはほぼ同時の出来事だった。


「ロック!」


 悲鳴交じりのリカルの声が聞こえたかと思うと、ロックは彼女の前に飛び出した。

 その直後、飛んできた弾はロックに直撃した。


「ああっ、遅かった!」

「坊主たち、大丈夫か!?」


 ロック達の立っていた所は、大量の土けむりが巻き上がり彼らの姿を隠していた。あれほどの大型の大砲の直撃を受けた二人の安否を心配する三人。その時ただ巻き上がっていただけの煙に流れが出来たかと思うと、土けむりは一瞬のうちにふきとばされ、その中からはロックとリカルの二人の姿が現れた。

 ロックの粒子波動刀は刀身を作り出す以外に、そのエネルギーを丸型に張り巡らせる事で盾を作り出すこともできる。

 あの時自分の前に飛び出したリカルの前に更に飛び出たロックは剣を盾に変えると、その盾でカニの砲弾を受け止め、直撃を防いでいた。


「リカル、無事か!?」

「う、うん、何とか。ロックは大丈夫?」

「ああ。身体が動くなら手を貸してくれ!」


 カニからの攻撃を切り抜けたロックは、盾を閉じるとすぐに左腕のAPRを構えてカニに狙いを定め、長距離の狙撃用に設定したプラズマ弾を背中の大砲の砲口に向けて正確に撃ち出す。

 後ろにいたリカルも魔道銃を構えると、ロックの横から飛び出して彼が狙った大砲と反対の大砲めがけて水晶の魔法を発動、そのまま水晶弾を撃ちこんだ。

 二発目を撃ち込むために大砲を構えていたカニは、それを避ける事も出来ずにまともに攻撃を受けた。


 砲口に飛び込んだ二種類の弾丸は大砲の弾丸を貫き、砕かれた弾丸が爆発を引き起こし大砲の砲身とカニの背中の上部分が吹き飛んだ。

 背中から炎と煙を吹き出しながらよろけるカニを見ながら、コーラルはロックの隣にやってくるとそのまま彼の横を駆け抜けようとしていった。


「兄さん達、最後のプレゼントだ。受け取れ」


 APRの弾丸エネルギーをフルチャージしたロックは、コーラルに叫ぶとAPRを正面に構えた。


「ターゲットロック!アップルレーザー、シュート!!」


 吠えると同時にトリガーを引くと、ロックの左腕から極太のレーザーが発射された。

 APRに溜めたエネルギーを一度に全て撃ち出した攻撃は、射線軸上にいる子ガニ達を消し飛ばしながら大ガニめがけて真っ直ぐに飛んでいく。

 そして大ガニに届こうとしたまさにその時、突然カニの前に壁の様なものが現れレーザーを受け止めた。

 大ガニは攻撃を受ける直前、自分の近くにいた子ガニを集めてスクラムを組ませると壁を作りだし、その壁でロックが放ったレーザーを止めたのだった。

 壁に使われた子ガニ達は全てレーザー攻撃で消滅したが大ガニにダメージは無く、更に大ガニは補充とばかりに新しい子ガニを産み出していた。

 カニの行動を見たコーラル達は一瞬躊躇したが、それでもロックが作ってくれた一瞬のチャンスを無駄にしないためにも彼らは再び走り出した。

 その時子ガニを出し終えた大ガニの目がきらりと光ると、大ガニと子ガニが連携してコーラル達に襲いかかって来た。


「コーラル兄さん!くそ、アジな真似をしてくれんじゃん!」

「まだ戦えたなんて。ロック、後ろ!」

「なっ!うぐぇっ!」


 リカルの声にロックは後ろを振り返ると、子ガニのハサミがロックめがけて飛んできた。

 とっさに身を翻したが避けきることが出来なかったロックは、ハサミの一撃を背中に受けてしまった。


 幸いな事に装備していた金属繊維製のハーフジャケットとSボードのおかげで大きな傷にはならなかったが、背中に受けた衝撃のため、たたらを踏んでよろけてしまった。

 何とか体勢を立て直した事で倒れる事は無かったが、彼が振り向くとそこにはたくさんの子ガニ達がハサミを動かしながら、真っ赤な目を更に赤くしながら二人のまわりを取り囲んでいた。

 背中合わせに密着するロックとリカル。

 その二人めがけ、先程とは打って変わった勢いで襲いかかる子ガニ達。

 飛びかかってくる子ガニ達を二人は拳術で追い払うが、数の多さに次第に押されていく。

 十数匹のカニが一斉に飛びかかってきた時、ロックは腰に収めていたロッドに手をかけると魔力をロッドに込め、頭の中にイメージした魔法を発動させた。


「集い疾れ雷描の爪!サンダーストーム!」


 ロックの声と共に解き放たれた魔力は何本もの稲妻になって彼らの周囲に降り注ぎ、二人を襲おうとした子ガニ達を一掃。更にすぐ次の呪文を詠唱し始めると、別の魔法を発動させた。


「風の刃の盾吹き上がれ!レイザータービュランス!」


 起動(ドライブ)呪文(スペル)を叫ぶと同時にロック達のまわりに生み出された乱気流の魔法は、飛びかかってくるカニや地面にいるカニが飛ばしてくるハサミをはじき飛ばしていった。

 はじかれた彼らの体やハサミには無数の鋭い切り傷がついており、この気流の威力を物語っていた。

 乱気流の結界を張ったロックは次の手を考えていた。

 しかし子ガニはそんなロックに付き合おうとする気は無いらしく、ロックを攻撃できないと知ると見張りに二十匹ほどを残し、残りは全て大ガニと戦っているコーラル達を目指して進んでいった。

 それを見たロックは何とか彼らの注意をこちらに引きつけようとしたが、下手をすれば返り討ちを受けるこの状況下では思うように身動きが取れなかった。


「このままじゃコーラルさん達が!何とかしねえと、一体どうしたらいいんだ!」

「だからアンタが最初にあのカニを斬っておけばよかったのよ!それを頑固にあの人に任せるって、一体何が有るのよ。あの人とアンタに何かあるっての!」

「あの人はオレ達の村の恩人だ!!」


 遠まわしにロックのせいでこうなった事を大声で叫ぶリカルに、ロックも負けじと大声で返す。

 そのあまりに突然の事にリカルは気が削がれ、目を開いて彼の方を見た。


「あの人、本当は強いし素質もある。シャチなんだからオレより戦えて当たり前だ!でも生来から気が優しくて争う事を嫌っていたからそういう部分を見られがちで、あの人の本質を知っている人が少ない。オレ達の村が大変な時になった時、色んなところから援助を受けたが、あの人は個人的にもオレ達を援助してくれた。その時の恩があるから、それを返すための機会を探していた。あの人が困っているなら、それを助けるのが恩返しだ!」


 不利な状況になっている自分を奮い立たせようと、ロックは声にいつも以上の力を入れて話をしていた。

 そんな彼の後ろ姿をリカルはじっと見ていた。

 その表情は見えなかったが、慌てたように良く動くネコ耳とシッポを見て、自分が見てきた彼の中で多分一番苦い顔をしているであろうという事は容易に想像できた。

 リカルは軽く息を吐き出すと、目の前でゆっくりと周りを見渡している少年の背中に声をかけた。


「どうも勘違いしてたわね。ロック、アンタは良いオトコね」

「あ?ニャんだよ、こんな時に急に?」


 今までのやりとりからどうしてリカルがそんなことを言ってきたのか、全く意図の読めないロックは、後ろを振り返る事はしなかったが疑問詞たっぷりの台詞で彼女にたずね返した。


「アタシの師匠が言ってた事があってね。こんな世界で、人から受けた恩を忘れずに返そうとする奴は良いオトコなんだって。あの人たちの支援にはアタシが行くから、合図をしたらこの魔法を解除して」


 話をしながらリカルは、左腕につけていた腕輪に自分の手をのせる。


「セットアップ、アーマー!」


 腕輪の擬態解除呪文を唱えると、彼女の左腕できらりと冷たい輝きを放っていたもう一つの腕輪が突然まばゆい光を放ち始めた。

 光は彼女の腕を伝うとそのまま彼女の全身を包んでいき、彼女が一つの光の塊になった次の瞬間、その光は内側から、まるでガラスが砕けて飛び散ったかのように彼女から離れていった。

 光の中から現れたリカルは、ジャケット姿から一変、身体にCAコンバットアーマーをまとっていた。

 それは全身を包む特殊金属製で、水の波を表した白と水色の肩当てに背中には推進用の4門のバーニア、右腕には彼女のSスティックがついており、左腕には小さいながらも威力に優れた電磁砲レールガンを装備している。

 砲身内部を電磁石化させ弾丸の速度を上昇させる事によって威力を高めるこの武器は、リカルのカスタムによって魔法を撃ち出す事も出来るようになっている。


「ロック、準備出来たよ。魔法を解いて」

「リカル、お前……」

「言ったでしょまかせてって。良いオンナの条件は、良いオトコに尽くすことだって師匠も言っていたしね」


 そう言って明るく笑うと、ロックに軽くウインクを飛ばした。頼むと一言短く答えると、ロックは風の結界を解いた。

 結界が無くなった瞬間、周りに待機していた子ガニ達が一斉に二人に攻撃してきた。

 二人はそろって一点を突破すると、ロックは振り返って子ガニ達を蹴散らしていき、リカルは背中のバーニアを吹かせると大ガニめがけて突撃、子ガニに行く手を遮られている三人の上を飛びこしてカニにスティックの強烈な一撃を見舞ってやった。

 着地したリカルは三人の道を阻むカニを倒して道を作ると三人と合流。

 そのまま四人で大ガニを攻撃し始め、ロックは子ガニの群れの外側から手持ちの武器を駆使して大ガニと子ガニ達を攻撃していった。

 子ガニの数を減らしながら大ガニを削っていくロック、それぞれの武器で大ガニを追いたてるコーラル達三人、電磁砲を大ガニに撃ちこみながら四人に襲いかかってくる子ガニを追い払うリカルと、それぞれ自分の状況で役割を決めながら戦っていた。

 しかしいくら手傷を負わせているとはいえ個の戦力と数の戦力、そのどちらも不利な彼らは次第に押されていった。


「きゃっ」

「ミリー、無事か!」


 疲れのために集中力が途切れ、レーザーブレードの一撃を避けられたミリーは、背後から数匹の子ガニによる攻撃を受けてしまった。

 致命傷には至らなかったがアーマーの継ぎ目に受けた攻撃は彼女の身体にそれなりの深さの傷を作り、満足に動くには難しい状態にしてしまった。

 傷を受けた彼女の側にジャナンがつくとカニ達に警戒を取り、リカルは大ガニの気を引くために魔法や電磁砲で集中して攻撃を行う。

 しかし後ろからやってきた子ガニを倒すために身体の向きを変えた時、大ガニがそのハサミを大きく振りかざし、彼女めがけて横にハサミをふるった。

 子ガニを倒したリカルがそれに気付いた時、防御する事も出来ずに横からその攻撃を受けてしまい、彼女の身体は低く宙を飛んで子ガニの群れの近くに落っこちた。


「リカル!みんな!」


 一人遠距離から戦闘に参加していたロックは、仲間が攻撃を受けた光景を見て叫んだ。

 大ガニに倒されたリカルの側に子ガニ達が寄ってきたが、寸前の所でコーラルが彼女を助けに入り、カニ達を倒していく。

 しかしそのため二人ずつ二組に離れる事になってしまい、さらに彼らを子ガニが取り囲む事によってそれぞれ孤立する結果となってしまった。

 すぐに助けに行きたいロックではあるが、先程の攻撃でSボードは機能を停止させてしまい背中の痛みもまだ上手く取れていないため動きが鈍い。

 この状態で自分が入っていっても助ける事が出来ないと判断したロックは、自分の考えが甘かったことも同時に認識していた。

 いざとなればコーラルの前に飛び出して彼を守ろうとしていたが、現実はそれすらままならない状況となっており、黙って見ているしか無い自分の技量レベルの低さにやきもきしていた。


(せめて飛び込んでいけるだけの力があれば)


 効果が薄いと知りつつもAPRと魔法で仲間を助けるために大ガニとその周囲を攻撃しながらロックは思案を巡らせる。

 だかどれをとっても効果が表れる様なものではないとすると彼は一層焦り出した。

 囲まれたみんなに攻撃が始まる。

 倒れていた二人も何とか立ち上がったようだがそれでもあまり変わらない。


(畜生、こんな時に何も出来ないなんて……)


 何もできない自分のふがいなさがだんだんと自分に対する怒りに変わっていく。

 その自分の目の前に子ガニが飛びついてきた時、彼は鋭くロッドを振ってカニを地面に叩きつけると同時に叫んでいた。


「何が冒険者だ。オレのバカヤロー!!」


 その瞬間、まるでロックの声に呼応するかのように、彼が首から下げていた小さな水晶のペンダントが光ったかと思うと、その光が彼の身体を包みこんでしまった。

 全身を包み込んだ光がひときわ強く輝いたかと思うとその光はたくさんの粒となって弾けとび、そして光から現れたロックの姿は先程のリカルの様に、CAを身に付けていた。

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