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F/A フリーダム/アドベンチャー  作者: 流都
第四話 頂点者達
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エピローグ 旅立つと決めたから(引越準備)

 翌日、エイペックズのメンバーたちはシャインウェーブ号の停泊地点に、各々必要な物を持って全員集結した。


 やってきたメンバーは年少の子供が多く、彼らの大半は住んでいた所を離れることに不安や戸惑いを持っていた。

 年長者たちも昨日アリシアから説明を受け来るべき時が来た事を知ったが、突然の事に少なからず動揺はしていた。生まれた土地を離れて、ほとんど面識のない冒険者と一緒に旅をすることになるのだから楽観的にものを見ることはどうしても出来ない。

 しかし事態が動き出してしまった以上他の選択肢などもう存在していないし、全員の面倒を一応見てくれるとも聞いたので、とりあえずアリシアを信じてこの場にやってきたのだった。


 やってきた彼らをロックは笑顔で出迎えた。相変わらず腕はギプスで固定されたままだが、自分のケガより新しくやってくる仲間や小さい子たちを不安なく出迎える事が大事だと分かっているので笑顔を崩すことは無かった。


 ロックはいつも、小さい子共相手には少し格好つけとも取られるような言動を取っている。それは彼がオーシャンガレージの村長だった時から行ってきている事だった。大人のいない村で子供たちを安心させるためには、多少自分に無理があっても彼らの前ではいつでも笑って格好よくいる事が必要だったからだ。


 ロックの気遣いが効いたのか、初めは警戒をしていた彼らもロックの態度を見て少しは気を許して接してくるようになった。特に年少組の子供たちは自分たちから積極的にロック達に会話をするようになり、町を離れる事への不安をいくらか和らげることが出来たようだ。


 やってきた全員の私物は一か所に集められ、数名のメンバーたちでそれを見張っている。ロックは今荷物番をしている彼らを見張りながら彼らの仕事用の装備をシャインウェーブ号に積み込む作業を遠目に見ている。

 こちらはリープの指揮の元、コーラルの部下とエイペックズのメンバーが協力しての作業となっている。何せ思った以上に装備が多いのだ。


 彼らは戦闘活動を行う実働部隊の人数が四十人と、少年たちの集まりの割に規模の大きい傭兵チームなので装備の数が多いが、その装備の運搬や整備を行うための乗り物や機材もあるとの事で、それらの搬入も一緒にしている。そんな彼らが所有しているもので一際大きい分類の道具をプライドたちが運んできた。


 遠目に見ているロックにも正体がわかるそれは、エイペックズが所有している戦闘機だった。現在船内に格納されていくのが三機目、翼の先端に付いている識別帯の色からロック達を助けるためにプライドを乗せてやってきた機体のようだ。

 整備性を重視しているらしく全て同じ機体で統一しており、所々に見受けられる細かく違う部分は外付けの部品による物らしい。


 これから格納されようとしている四機目の機体を見ながら、ロックによる機体の分析は一応終了した。

 人海戦術だけでなく、戦闘機による航空戦力の向上はリカルにとっても喜ばしい事だろう。そう思いながらロックはこの星に初めてやってきた時のリカルを思い出した。

 あの時は後ろ向きでぐちぐちとウザかったので、これで同じ事態にはなりにくくなるだろうと思うとロックは無意識のうちに苦笑気味の、ネコ特有の目を細めたような少し意地の悪い感じの顔をしていた。


 一緒にいたエイペックズのメンバーがその表情を少し気味悪く見ていたが、ロックはそれに気づかずに船の方を見ていた。そのロックの表情が更に変わったのは、シャインウェーブ号に五機目の機体が運ばれてきた時だった。

 それは前の四機とは明らかに別物の機体で、遠目に見てもかなりの高性能な、そして扱いの難しそうなベテラン用の機体だと見て取った。


「ねえ、あの一番最後に積み込まれる戦闘機は誰が乗ってるの?」


 そうロックが近くにいたエイペックズのメンバーに訊ねたのは興味本位からだった。ロック自身はパペットに乗っているが彼もエクストリーマーの端くれ、乗ろうと思えば戦闘機を操縦することも出来る。だからあんな高い技量を要求されるような機体を扱える人物を知りたかったのだ。


「あの飛行機の事?あれはね、プライド兄ちゃんが時々お仕事で乗っていくの。ボク達エクス兄ちゃんの

お手伝いで飛行機触るけどお仕事で使うからって乗ったことは無いのー!」


 そう答えたのはロックに少し懐いてくれた八歳くらいの子供だった。話に出てきたエクスと言うのはアリシアやプライドの弟でメカニックをしており、エイペックズで使用しているマシン関係のメンテナンスの責任者である。

 実はアリシアと初めて出会った時、リカルは彼と話をしていたらしい。しかしロックにとって今確認したかったのはファイターのパイロットだったので、後半の方はあんまり頭の中に入っていなかった。

 自分の知らないマシンを乗りこなすことのできる人間、純粋に興味が湧いて来るし仲間になればこれほど頼りになる相手もいない。


 だからロックはプライドの名前を聞いた時は驚きもしたが納得も出来た。彼がエクストリーマーだということは聞いていたし白兵戦でもかなりの実力を持っている事が分かったので、性能の高そうな機体も扱いこなせそうだと思ったからだ。


 ロックが改めて搬入されている戦闘機を眺めていた時、突然インカムに通信が入ってきた。設定されている着信音(アラーム)はリカルからの連絡であることを告げている。インカムを通話モードにして彼女からの通信に応じるロック。端末の向こうの彼女はいつもよりいくばくか落ち着いた感じの口調で話しかけてくる。


「あ、っと、繋がった。ヤッホーロック、こっちの方が終わったから来てもらってもいいかしら?」

「ん?オレがそっちに顔出す予定はあったっけか?まあ行くのはいいけど、こっちは誰が見ておくんだ?」

「ミリーさんに頼んだよ。そろそろそっちに着くと思うから、引継ぎしてアタシの部屋に来てね」


 そういって、自分の用事を済ませると彼女は通信を切り上げた。肝心の用件が聞けてなかったが大体予想は出来ていたので特に気にすることはなく、数分後ミリーがやってきた時にはすぐに引継ぎを済ませてリカルの部屋へと歩き出していた。

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