第7話
そう言って、恭介さんはぽーっとしているあたしに右手を差し出した。
「羽生ういです・・。」
赤い顔をして、その手をとるあたしに、諏訪がぎゃんぎゃんと文句を言った。
「ほら、おまえがそうやって隙だらけだから、こんなことになったんだろうが!!」
あたしは、その声にびくりとして体をすくめたが、恭介さんはそんな怜真にぷっと噴き出した。
「怜真、せっかくお姫様に直接会えたからって、ヤキモチばっかじゃ嫌われるよ。」
お、お姫様?あたしのこと・・・ってそんなわけない。
あたしはどこをどう見ても、お姫様ってガラじゃないし。
「な、なに言ってんだよ!?俺はただ、こいつの自覚の無さが・・・」
「怜真。」
いきなり厳しくなった恭介さんの声に、諏訪ははっとしたような顔になった。
「ごめん。俺のミスだ。俺が、30分だけ、油断したから。式神つけてたから、なんかやばくなったら、すぐ行けると思って・・・・。ごめん。」
素直に謝る諏訪に、あたしはすごく驚いた。
こいつでも、こんな顔、するんだ・・・・。
「怜真、謝る相手は僕じゃないだろ。」
恭介さんにそう言われ、諏訪はあたしをちらりと見た。ふいと顔をそむけると、
「悪い。」
と一言、あたしに告げた。
態度はいいとは言えなかったけれど、とても、深刻そうな顔をしていた。
「な、なんのことですか?」
その表情が気にかかって、あたしは二人に聞いた。
「まあ、こんなところじゃ、またさっきみたいなのがうようよ湧いてきます。よかったら、うちへ来てくれませんか。結界も張っておきましたから。」
優しくあたしの背中を押し、恭介さんは神社の中へと誘った。
け、けっかい?・・・決壊?血塊?・・・・・・・結界???
はは。まさか。でも、さっきのカラス・・・・
そんなことを考えていたあたしは、あたしの背中に触れる恭介さんの手に、ぶすっとした視線を送る諏訪の様子には、まったく気付かなかった。




