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第88話 フーカの独白とゴンザレス太郎

こんな絶望的状況においても落ち着いて話を聞いているゴンザレス太郎。

彼ならばもしかしたら…

誰もがそう考え視線を送ったときに立ち上がったのはフーカであった。


「皆さん、聞いてほしい話があります。」


そして、フーカは遂に自分のユニークスキル『転生タイムリープ』を話した。

その効果は死んだら生まれた瞬間から記憶を持ったままやり直す。

つまり…


「ここでその話をすると言うことはこの戦いは負けると言うことだな」


ギルドの人間にシェルターの見張りを代わって貰い戻ってきていたデニムのその言葉にフーカは首を横に振る。


「私が経験した今までの世界では私は次の3月31日までに必ず死にました。理由は様々ですがその中に鬼の大群に町ごと滅ぼされた事があります。」

「待ってくれフーカ!君が死ぬ理由は色々あるのか?!」


ゴンザレス太郎はただ死ぬとだけ聞いていたので驚いていた。

その言葉に縦に頷くフーカ。

事実フーカが繰り返した世界でフーカは様々な理由で必ず3月31日には死んでいた。

そして、今回の鬼騒動も紐解けばフーカが体験した歴史にあったのだ。


「ただ一つ、私が繰り返した歴史にゴンザレス太郎は居ませんでした。」


そう、ゴンザレス太郎が居ることで歴史は既に大きく変化していた。

事実、この鬼騒動もヤバイがSランク冒険者の昇格試験を受けなければ発生しなかった。

そのヤバイも魔物襲撃の件がなければここまで強くなれず昇格試験を受けることはなかった。

そして、過去にフーカが体験した世界で同じように別の理由で鬼騒動が発生した時もゴンザレス太郎が倒した魔物の幹部が生きていた為これ程早く魔物の国が滅びることはなかった。


「ゴンザレス太郎…いえタツヤ、お願い助けて」


フーカのオッドアイがゴンザレス太郎を見つめる。

ゴンザレス太郎は笑顔で答える。


「約束だからな、フーカは俺が守る」


そして全員の方を向いて頭を下げる。


「俺一人では限界があります。ですが皆さんの協力があればきっと…」


サラ以外の全員が安堵し各々好き勝手に「任せろ!」「便りにしてるわよ!」と事態を楽観視している雰囲気に包まれサラは怒りを露にした。


「ふざけないで!魔王の町が半月と持たずに壊滅したのよ!そんなやつらを相手にこの人数でどうにか出来るわけないでしょ?!」


サラの叫びにゴンザレス太郎は聞き返す。


「一つだけ聞かせてくれ、魔王子アーサーのユニークスキルはどんな攻撃でも完全に防げるんだよね?」

「えぇ、そうよ。発動すれば死ぬまで絶対どんな攻撃でも防げるって聞いてるわ」

「町ごと消滅するような攻撃でも?」

「…まさかあなた…」


ゴンザレス太郎のまるで新しい玩具を見つけたみたいな笑顔に内心ドキドキが止まらないサラはゴンザレス太郎ならもしかしたらと考え協力を約束するのであった。

中々会話が難しい…

一気に書けたら楽なんだけど合間合間に少しずつ書いてたらなんか変になったかも…

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