第36話 シズク、ゴンザレス太郎の家に行く
無事にギルドに帰還した2人は職員に出された書類に依頼完了のサインをして返却し3人は成功報酬の銀貨30枚を受けとる。
そうして一同はその場で解散となった。
流石に約丸一日徹夜でダンジョンに潜ったのだから仮眠をとったとはいえ各々の疲労はかなり溜まっており、ゴンザレス太郎も自宅に戻るやお母さんの小言を聞きながらそのまま眠るのだった。
「こんにちわおばさん、ゴン太君居ますか?」
日が沈み始めたその日の夕方、ゴンザレス太郎の家を訪れたのはシズクであった。
シズクは学校でアイアン達から昨日冒険者ギルドでフーカと一緒に居たと聞いて更には二人揃って学校を休んでいたのを不審に思い家を訪れたのだ。
シズク自身はゴン太の事を友人としか見ていないのだがゴン太が自分に気があるのは知っていた。
だがそれがフーカに奪われたかもしれないと考えて気になって伺ったのだ。
「あらシズクちゃん久し振りだねぇ~ゴンザレス太郎なら今朝帰ってきてそのままずっと寝てるんだよ、そろそろ夕飯だし起こしてやってくれないかい?」
「あっはい、分かりました。失礼しま~す」
シズクはゴン太の自宅に約1年振りに入った。
学校に行き始めた頃は何度かアイアンやホネオと4人でゴン太の家で遊んだのだが気付けば男女を意識するようになりそういう事も直ぐになくなった。
なのでシズクは変に緊張していた。
「ゴン太君?起きてる?」
ゴンザレス太郎の部屋をノックするが返事がないのでゆっくりとドアを開ける。
ゴンザレス太郎は布団で寝ていた。
だらしなく涎を垂らしアホ面を晒していた。
「フーカちゃんもなんでこんなのが良いのかしら?」
それは教室でフーカがゴンザレス太郎の事を「ダーリン」と呼んでいたのを聞いていたから出た言葉だった。
あの言葉で二人は交際を開始したのだとあの場にいた全員が考えていた。
そんなゴンザレス太郎の頬を指で摘まみシズクは愚痴る。
「あんた私の事が好きなんじゃなかったの…」
とても7歳とは思えないおませさんである。
ゴンザレス太郎は前世の記憶があるしフーカはやり直した分だけ長生きしているので考え方が大人でもおかしくはないのだがシズクは正真正銘見も心も7歳である。
「う…ううんんん…フーカ…近いよ…」
頬を摘まんでいるゴン太から発せられたフーカの名前にイラッときたシズクはゴン太のおでこを平手で叩いた!
「いい加減におきろー!」
パチーンと良い音と共にゴンザレス太郎は飛び起きた。
まだダンジョン内で魔物に襲われ続けていた時の感覚が残っており魔物の攻撃が来たのかと反応したのだ。
だがステータスは全く上げておらず神力にレベルを注ぎ込んでいたゴンザレス太郎の動きは遅くシズクは逆に反応できなかった。
これが素早く飛び起きたら能力全強化のユニークスキルを持つシズクは反応して避けるなり反撃するなりしていたのだろうがゆっくりなため逆に反応できなかったのだ。
「アイタッ」
頬を摘まんでいたその手を殴るように払い除けられシズクは痛みを感じた。
寝ているゴンザレス太郎の頬を摘まんでいたのが悪いのだがそれに先程までのイラつきも加算され見事なビンタがゴンザレス太郎の左頬に炸裂し綺麗な紅葉を咲かせる。
そして、いきなり他人を叩いてしまった自分が怖くなりシズクは近くにあった犬っぽい魔物のぬいぐるみを抱き締め部屋を飛び出して家に帰るのだった。
この作品を書きながら次に書こうと思ってる作品の構成が出来上がりつつある…
知人に話したら多分その話は誰も書いてないから早く書けと言われました。
仕事しながら5本連載は流石に無理だわ(笑)




