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プロローグ
プロローグ
レインは、いま目の前にいる存在が同じ人間だとは思えなかった。
黒い棺の中から起き上がってきた身体は白く小柄で、触れれば即座簡単に折れそうなほど線が細い。
裸の少女だった。自ら発光している銀色の髪は豊かで、棺の容量を余さず埋めるかのようにびっしりと溢れんばかりだ。
少女は閉じていた目をゆっくりと開いた。
瞬間、レインはあまりのことに心臓を強打されたように呼吸が一瞬だけ止まり、弾かれたように棺から飛びのいた。
それほどに美しい、心を鷲掴みにするような瞳だった。
見つめる目の前で少女はゆっくりと、口を開いた。
「……ここは……どこですか?」
楽器を鳴らすように美しい、洗練された声が少女の口から洩れた。
質問は自分に向けられてのものなのだろうか。答えるべきだとレインは思ったが、反射的に自分は少女の言葉に覆い被せるように質問を放っていた。
「キミは、誰?」
レインの質問に目をしばたたかせると、少女は見る者を蕩けさせるような微笑みを返しながら、質問を質問で返した。
「あなたが、私のマスターなんですか?」