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神風の遺産  作者: みすたぁM
9/17

プラントに向かって

Side篠原


地下最下層で偶然にも橋の修復に使えそうな丸太とロープを発見し、大型エレベーターの修理が完了したのでそれで一気に地上まで運んだ。


普通の橋にしてしまうとゾンビが入り込んでくるためどうするか話し合ったところ校長先生から


「跳ね橋にしてはどうだろうか?」


という意見が挙がり、これは名案だということでさっそく組み立てに取り掛かった。


教師に作業員、それと避難民に大工が何人かいたので彼らの力を借りて作業は順調に進んでいる。


このままいけばあと少しで完成し、食糧の確保に移れるんだが私の心は穏やかとは言い難い。


その原因は何かというと




「ねぇみらいちゃん、そろそろ離れてくれないかな?」


「やだ!お兄ちゃんと一緒にいる!!」


木にくっついたカブトムシのように意地でも片桐から離れようとしないみらいだ。


片桐と付き合い初めてまだ日が浅く、子供相手に嫉妬する私も正直どうかと思う。


それにみらいは両親を亡くしている事を片桐から聞いたので、片桐に甘えることで感情を落ち着かせているんだろう。一種の精神安定剤のような役割になっているんだ。


なのでここは暖かく見守ることが最適なんだろうが、さっきから心の中で渦巻いてるモヤモヤとした感情はいったい何だ?


まるで夫の関心を娘に取られてしまった妻のような………






「って誰が妻だぁぁぁぁ!!!」


私はいったい何を考えているんだ!?


いや、あそこに私が混ざればまさにその通りに……ってそうじゃない!!


でも悪い気はしな……あーもう頭が混乱してきた!!


「篠原?」


「うひゃあ!?」


「どうしたんだいきなり変なこと叫んで?しかも顔が真っ赤だぞ、大丈夫か?それよりもみらいを何とかするのを手伝ってくれ。」


背後からいきなり片桐に声をかけられて私は思考が停止してしまった。


「お~い片桐、例の物が完成したぞ~ってどうした?」


誰かが片桐を呼ぶ声が聞こえたが、私が気づいて行動を始めたのはそれからしばらく経ってからのことだった。


















Side片桐


「再度、作戦を確認しよう。」


地下工廠前に設置された仮設テント内で俺たちはテーブルの上に広げられた地図に視線を集中させている。


「目標は吹雪山総合食料プラント、ここから徒歩30分ほどの地点にある。そこまでたどり着く手段なんだが。」


俺が持っていた赤ペンで食料プラントと書かれている場所を囲み、道筋を描いた。


「まず学校を出て右折し大通りに到達。その辺りには確かレンタカー会社があったはずだからそこで動ける車、できれば音を抑えられるハイブリッドカーがいいな。それを確保してプラントまでの足にする。ここまで何か質問はありますか?」


俺が道筋を示し終わると三田から


「そこまで行くためはかなりの数のゾンビに遭遇する可能性があるが、まさかいちいち倒しながら進むわけじゃないよな?」


「そんなリスクが大きく時間がかかる真似はしない。こんなこともあろうかと」


俺は地面に置いていたあるものを机の上に置いた。


それは何かというと






「何だこれ?」


「でかいラジコンヘリ?」


見た目はかなり大型(乳幼児程度ならたぶん吊り上げられるくらい)のラジコンヘリだが詳しい人が見れば旧式の軍用ヘリコプター、「UH-1イロコイ」を模したものだと解るが実物なら兵装が吊るされている部分には小さなスピーカーがあり、しかも機内にはなんかよくわからない機械と配線がこれでもかと言わんばかりに詰め込まれている。


「機械工学部とラジコン同好会に知り合いが居てな、頭下げて作ってもらったんだ。名付けて{キルゴアくん1号}だ!!」


ジャジャーン!という効果音が入りそうだが、あまりウケがよろしくなかったので軽く咳払いをして「キルゴアくん1号」に視線を向ける。


「作戦は簡単だ。キルゴアくん1号に搭載された小型スピーカーから大音量の音楽を鳴らして奴らを遠くに引き離してその隙にプラントまで一緒に進む。最大で1時間は飛ばせられるし遠くまで電波が届くように改造したらしい。テストはしてないからぶっつけ本番だ。だからと言って一体とも遭遇せずにたどり着くなんてことはないだろうから武装して行くぞ。」


「ネーミングセンスは考え物だが作戦としては申し分ない。これで行こう。」


校長が頷いたのを合図にして俺たちはすぐさま出発の準備に取り掛かった。














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