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神風の遺産  作者: みすたぁM
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これからの方針

Side片桐


「とにかく、亀山は無事なんだな?」


なんとか校内でのゾンビとの戦闘は終了し俺達は横山と衣笠、それと2人と合流した篠原と中庭の地下工廠入口付近で亀山の事を聞いた。


「極度の精神疲労で倒れただけで一晩寝かせれば回復するそうだ。今は仮設の救護テントにみらいと一緒にいる。それと」


しばらく言葉を詰まらせた後彼女は俺に涙目で、でも満面の笑みで抱き付いてきた。


「本当に、無事でよかった!心配したんだぞ、急にいなくなった挙句にあんな危険なことして!」


彼女は俺の体を強く抱きしめる。




俺は顔を赤くしながらもすまないと謝りながら軽く抱き返す。




だけど篠原がすぐに顔を真っ赤にして慌てて俺から離れ、心なしか少し上目づかいで呟くようにして謝ってきた。



何だろう、さっきまでの命がけの戦いとは正反対なこの甘酸っぱい雰囲気は。






「なんだよ俺らにはなんもなしかよ。その推定Fカップは飾りか?」


「横山ぁ!そこを動くなぁぁ!!」


違う意味で顔を真っ赤にした俺はさっきまで使ってた三八式(約4kg)で横山に殴り掛かろうとするが、三田と熊野の2人掛かりで取り押さえられた。


おい横山、何で俺すら知らなかった事をお前が知ってるんだ!


まだキスもしたことないのに何故だ!!吐け、今すぐ吐くんだ!!


人の彼女に堂々とセクハラしたことを後悔させてやる!


「わかったから落ち着け、そのライフル振り回すのは止めろ!」


「横山はこっちでシメるから暴れるな!」


「あっ、片桐君たちここにいたんですか!?」


こんな茶番じみたことをしていると背後から声が聞こえたので俺たちは揃って振り向くと、走り回ったのか息を切らせている茶髪のロングヘアの若い女性がいた。


「織琴先生、どうしたんですかそんなに急いで?」


俺たちのクラスの担任である新人英語教師、織琴おりことアリア先生が呼吸を整えると


「あなたたちを探し回ってたんです!!教室から出るなと言われたのにも関わらずどこかに行って、探しに行った亀山君たちもいなくなったから私が探しに行ったのに変なゾンビみたいなのに追い掛け回されるし、ほんと何なのよあれ!?」


追い掛け回されたって


そんな鬼ごっこ感覚で逃げ切ったのかこの先生は


「ってそんなことよりも、校長先生がお呼びなのですぐに会議室に来てください。」


俺たち戦闘経験者にとってはそんなことで済ましていいものではないんだが、とりあえず俺たちは武器を工廠前にあった木箱の中に銃と余った弾を仕舞って会議室に向かった。


















「君たちは何をしたのかわかってるんですか!?」


無事な教師全員が集まる会議室で俺たちはいきなり説教された。


避難民を救ったことを褒めてくれるとは思ってないし、緊急時とは言え勝手に銃を使用したんだから怒られても文句は言えない。


まあ怒る理由がそれならいい。


「君たちは人間を殺したんですよ!!しかも日本人の汚点である侵略戦争時代の負の遺産で!!この意味が解らないわけないでしょう!これは明確な殺人事件です!!警察が来るまで大人しくしてなさい!!」


ほんとに何を言ってるんだこいつは。


あんな皮膚が所々腐れ落ちて無差別に人間を襲って喰う生き物をははたして人間と呼べるのだろうか。


おまけに俺たちは殺人鬼扱い。旧日本軍時代の物を負の遺産呼ばわり。


なるほど、こいつは街中で「戦争賛美だー軍靴の足音がー」とか叫んで集団でデモみたいなことするような人間か。


俺は政治の事なんて何一つわからないから何とも言えないが、こいつの話は聞く価値が無いことははっきりとわかる。


適当に聞き流すか。


「そのくらいでいいだろうすが君。理事長不在の今、我々が勝手に彼らをどうこうする権限は無い。」


「しかし校長!」


俺達の正面に座る強面の男性、栗林くりばやし 忠勝ただかつ。今年で還暦を迎える本校の校長であり、現時点の最高責任者が言葉を遮った。


「第一さっきから警察に電話しても応答なし、理事長からも音沙汰なし。自衛隊もおそらく来ないだろう。彼らは自治体からの要請がなければ何もできんからな。とにかく、一先ずは生徒が無事だった事を素直に喜ぶべきだろう。」


「ですが彼らは殺人を」


「くどい!彼らをわざわざ呼んだのはこれからどうするべきかを話し合うためだ。くだらん裁判ごっこに付き合わせるためではない。この件は一旦保留だ。」


唾を飛ばしながら騒いでた教頭は渋々着席し校長は改めて俺たちに視線を向け、目を一直線に見て軽く息を吸うと一段と低い声で


「単刀直入に聞こう。」












「あれは本当に人間なのか?」


「無差別に襲い掛かるだけでなくその肉を貪る化け物を、私は人間とは認めません。」


俺ははっきりと断言し、校長がしばらく目を閉じて考え込むと


「わかった。ではこれから我々はどうするべきか、意見があれば聞かせてくれないだろうか。」


「校長!?」


また教頭が騒ぐが校長が睨み返して力ずくで黙らせた。


「大人が大人数で集まって固い頭を絞っても名案が浮かばなかったんだ。そもそも私は校長である以前に一人の教師だ、教師が生徒に意見を求めて何が悪い。それに私は彼ら、というより横山君と衣笠君と一緒にいたからな。彼らの柔軟な発想は尊重すべきだとは思わないかね?」


「そうだったの?」


俺は隣にいた衣笠に小声で話しかけた。


「ああ、校長に簡単な説明もした。男性教師に指示飛ばした後私物っぽいゴルフバットでゾンビ殴り倒してた。」


織琴先生もそうだが校長、あんたら元自衛官か何かですか?


そんなことよりもさっきから教頭が憎らしそうに俺達のことをにらんでくる。


ドヤ顔して心の中でざまあみろとでも言っておこう。


「意見ですが、すぐにでも取り掛からなくてはいけないことが3つあります。まずは」


俺はここに来るまでに頭の中で考えた事を会議室にいる人間に話し、概ね賛同を得たので会議は終了。俺たちは校長の協力のもとそれらを始めるために会議室を後にした。



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