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The ORPHAN 異伝 『千年の夢幻』  作者: 現王園レイ
◆TRADITION 5◆ “あなたと云う人”(ユーアン)
78/82

78   始めと終わりの輪廻(わ)を繋ぐ者

「……還るのか…」

 “全てからの解放…自由……我々はそれに従う者…”

「〈大消失(グレート・ミッシング)〉は、そうだと言うのか」

 “その通り”

「どこへ……?」

 “人は、宇宙の果てを超えるとも云う……”

「制限を受けやすく造られた魂もか……?」

 “……―――”

 刻は告げられた。

『最終権限に寄って、ユーデリウスの名は削除されました――警告します。動力炉のリミッターが解除されます。警告します。エネルギーの暴走は制御できません………―――――』

『リミッター解除』

 

 鍵門を開放せよ。

 

鍵門開放(ゲート・オープン)

 重力が無くなるような感覚がする。

「何処へ行くんだ………」

 シャ・メインは、再び尋ねた。

 “我々は……を…超えて――”

 そこまでだったと思う。

 しかし、シャ・メインは知った。

(これで……良かったのだと――アルダ)

 彼の意識がアルダに言う。

 彼女は、傍にいた。

(……お眠りなさい――)

 

 

 

 破壊される身でありながら、奇跡が起きたかのように美しく白銀に輝く星は、その一角から巨大な光の柱を顕した。

「何事だ!」

「何が見えている?」

「異常事態です! リアクターのエネルギーが、あの方向に、きゅ、吸収されてます!」

「吸収とは違う? 何がだ!」

「リモート・コントロールを外せ!」

「出来ません! 制御不能に陥ってます!」

「ええい! モニターを切替えんか!」

 艦隊の混乱をよそに、静寂の中をただ光の柱だけが存在を誇示していた。

「………かッ…確認をしろっ!」

「何をでありますか?」

「知るか! とにかくナンだあれは!」

 命令されたオペレーターは、遂行しなかった。

 

 

 

 

 我は最先(いやさき)なり、最後(いやはて)なり、

 始めと終わりの輪廻()を繋ぐ者、

 しかして(めぐ)れるものならば其に非ず。

 

 どうか、二度とあなたから離されませんように――――

 どうか、二度とこの暗黒淵(やみわだ)に、

 孤児(みなしご)となりませんように――――

 

 

 少年は、刻を超えて母に逢った。

(母さま――――!)

 お帰り。母は言った。

 

(やっぱり、独りはイヤなんだ……ここは寂しい………)

 

 母は微笑した。

 もう一度、眠るのよ………

 眠って、目を覚ましたら、もう寂しくは無いのですから………

 

(…ホントに…?もう、いいんだね……それで……)

 光が、少年を呑み込んだ。

 

 ――ねぇ、あの人も眠りたいって、ボクを呼ぶんだ…――

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