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The ORPHAN 異伝 『千年の夢幻』  作者: 現王園レイ
◆TRADITION 4◆ 紫紺の玉座
65/82

65   遠き血、遠き魂

 ――惑星グーヤーで、貴女に呼ばれてから――。

 ルイーザを真正面に見据えて、なにも考えるところ無く、自然と足が前に進み出た。

 アルダの眼には、ユーアンが権威ある皇帝の着衣を纏い、まるで玉座へと歩んでいるように映る。

「還っていらっしゃいました……。哀れな黄金の瞳(ヒブラ)の元に…」彼女のかすれた声に、一同が頷いた。

 かつてあった帝政共同体の皇帝たちは、あのようにして皇位継承を知らしめたことだろう。そしてユーデリウスの意志を受けたのだと、高らかに宣言したのだ。

 だが、この孤高の皇帝は、何を(しら)すというのだろう。

 なおも歩を止めることなく、皇帝は向かう。迷いは感じられない。その先に、ルイーザの近くにあるコンソール・デッキが彼を待つ。

 階段を上がって今一度、哀しい女神と対面をした。

 言葉はない。

 それなのに――彼女と交わしているような感覚――。

(再会は、果たされましたね…黄金の瞳(ヒブラ)ルイーザ…)

 “……かつて、〈緋い大帝(グランド・カーブ)〉と呼ばれる者が在りました。わたくしは太祖ユーデリウスの、かねてからの願いでその者を守護し、導きました。彼女は終わりの名に血を残すでしょう……母の手を離れ、眠りにつく幼児(おさなご)は呼ばれるのです………”

 

 ――「ユーデロイト」は、ユーデリウスの意志を継ぐもの、皇位継承者の証

 ――「グレス」は、母からの唯贈り物、永久(とわ)なる至高の息吹

 ――「ユーアン」は、あなたと言う人…汝在る者

 ――「ウティス」は、何者でもない者

 

(存じております。私は、私であって私ではない者……『在る者にしてたれにも非ず』――名はいただいております……しかし黄金の瞳(ヒブラ)の承認を得ねば、私は太祖が開かれた鍵門に拒まれてしまいましょう――)

 “ああ!鍵門!――わたくしは………わたくしの名を呼ばれたのは……懐かしい…その響き……”

(ユーアンは、参りました)

 “…ユーアン……その名は…遥か遠き時間の彼方から定められていた、高貴な名―――ギャラクシアンにすら託されず、ユーデリウス御自身により語られるものです………わたくしの呪縛を解くために……わたくしの祈りの内に、夢を観る者よ―――お待ち申し上げました…”

(――貴女の力及ぶなれば、見せて欲しいのです。輝かしき御世を。太祖の魂を。我が母の優しさを)

 この宇宙で随一の、希代の巫女は微笑んでユーアンを見つめた。

 “良いですとも。ユーデリウスが血を受けた、寂しき孤児(みなしご)よ……”

 そこから先は、ルイーザの声を聴いたか、定かではない。

 そっと、コンソールの上に指を滑らせた。

 名を――

 名を云うがよい――

 

 誰の名を?

 

 (ブロッド)の名を――

 

 初めの名には初めの名……

 〈ユーデリウス〉

 

 先なる刻印は、

 〈レヴィンス〉

 

 後なる刻印は、

 〈カロルシア〉

 

 終わりの名には終わりの名……

 〈ユーアン〉

 

 還るのです――

 遠く貴き血の流れよ、遠く分かたれた魂よ――

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