1-09 天才
「連れてきたぞ」
相も変わらず憂鬱そうな顔をしながら、少年こと夕は我が部室へやってきた。続けて、あの何かに追われていた少女も入ってくる。
うーん、見るには普通そうに見えるが、彼が連れてきたのだ、何かあるに違いない。
「え、えと。私の名前は……言葉 コバトです。一年生で組は……」
「それはいい。早く教えろ」
礼儀正しく自己紹介をしている少女に対して冷たく当たっている夕は、いつもの夕である。まるで彼の親友である馬鹿君と接しているように、彼は他に興味はないのだ。
あるのは死神の仕事に関与する事項のみ。
「すまないね。彼はこんな人柄なんだ」
一応フォローを入れておくと、しょんぼりしていた少女の顔が少しだけ晴れた気がした。
「自己紹介には自己紹介で返さないとね。私の名前は天川 空。この部活の部長をやっているよ」
「えと……失礼ですが、あなたも死神ですか?」
自己紹介を終えるとおずおずと、少女はそう聞いてきた。それに対し、夕はぴくんと肩を一瞬震わせたが、全然関係ないと判断したのか、また憂鬱そうに顔を俯かせた。
「いや、私は人間だよ。少し頭がいいだけのね」
「頭が、いい?」
「学年一位だそうだ」
私のその言葉に少女は反応してそうつぶやくと、夕が憂鬱そうな視線をこちらに向けながらそう答えていた。うーん、やっぱりいつも通りに見えていつも通りじゃないなー。夕は答えを返すのは珍しい方だ。
「い、一位っ!?」
「そんなに驚くことでもないさ」
勉学と言うのは何とかなるものだ。
だから、一位であるのはあまり興味が湧かない。憂鬱君と同じ言い方だが。
「こいつはお前のその能力を説明できる頭を持っている。力を貸してやれ、空」
「はいはい。まぁ、そうだろうと思ったよ」
彼のことだ。このような事態になるのは想定済みだったさ。
私はため息を一度つき、少女を置いてある椅子の上に座るように催促した。
頭がいい人って、基本常識が欠如していることが多く書かれていますが、たぶんそれって二つの要因があると思うんですよね
一つは昔の偉人にそのような人がいたこと。アインシュタインでしたっけ? 確か、彼は天才的な頭脳は持っていましたが一般的が数学が苦手だったとか
もう一つはギャップですね。頭がいい=全て理解している、という一般的な考えとのギャップを生むためですね
まぁ、総じて言えば、後に天才と呼ばれる人たちは、最初は変なことを言っていると思われます。ですが、それが常識となった時に、彼らは天才と呼ばれるのです。
ある意味、常識を作っている人たちなのですね