Ｇ、ブチ撒けてまう。
いよいよ航空参謀としてＧが暗躍を始めます。
オッス。
オレはＧだぜ。
所でどうしてＧと呼んでるか分かるかい？
この世の全女性が大嫌いなＧと言う黒光りするアレを連想させるからだよ。
その位、現実のＧは大嫌いなんだーーい。
まぁ、それは置いて置いて・・・。
霞ヶ浦の練習機過程を終えたオレと柴田、淵田は共に戦闘機要員として横須賀に来てた。
時は昭和三年、まだまだ複葉機全盛は続いてた。
下士官なら佐伯とか大村なんだろうが、この頃は横須賀で戦闘機過程を練習させてたのだ。
（実際の歴史とは全然違います。）
何故、パールハーバー攻撃隊の指揮官となる淵田が戦闘機要員に居るかって？
口説いたからだよ。
未来は絶対に戦闘機が海軍のトップに来るからとね。
そのためにも有望な指揮官は近くに居て貰わないと・・。
「Ｇ田、いよいよオレ達も指揮官としての道を歩くんだな。」
「淵田、オレ達は指揮官としてでは無く、参謀として戦闘機隊を指揮するのが目標だ。
ヘタクソなオレ達が空を飛んでも飛行機を壊して減らすだけだろうが。」
「ワハハハ。違い無い。
オレ達の仕事は下士官パイロットをいかに育てるか？だな。」
「ウン。それと戦闘機の開発だ。
とにかく一日でも早く参謀への道を見つけ、海軍航空隊を育てよう。」
「Ｇ田、高野司令がオレ達を呼んでるぞ・・。」
「お前、司令に何かしたか？」
「イヤ・・。そもそも司令とは縁も所縁も無いぞ。」
高野司令とは別世界では山本五十六となったアノ人の事だ。
この世界では養子に入らず、高野のままらしい。
日本海海戦でも負傷しなかったらしく、指も五本揃っています。ハイ。
「Ｇ田中尉、以下二名、入ります。」
「ウム、入れ・・・。」
「「「失礼しまぁぁぁす。」」」
「初めて会うが、私が横須賀航空隊司令、高野五十六だ。
Ｇ田くん、柴田くん、淵田くん。まあ座りたまえ。」
司令の指示により、オレ達は椅子に座らせてもらった。
「時にＧ田クン。キミは霞ヶ浦では中々の好成績を収めてたらしいな。」
「いえ、助教の指導が素晴らしかっただけですよ。
彼等の指導でココまで来れました。」
「フム・・。時に君達とは会うのは実は二度目なのだよ。」
「と、言いますと？」
「君達とは遠洋航海でも同じ艦に乗ってたのだ。私は。」
「そうでしたか・・。」
「まっ、茶飲み話に付き合わせるために君達を呼んだのでは無いから安心したまえ。」
「ハイ。了解しました。」
「あの航海の時、そこに居る柴田クンとキミは面白い話をしてたね？」
ヤバ・・。聞かれてたか・・。
「は、ハイ。」
「未来は戦闘機が中心となるともね。」
「ハイ。その通りです。
現代の戦闘機を見てたら信じられないとは思いますが、馬力さえ上がれば、
殆どの航空戦闘は戦闘機だけで行える時代が来ると私は確信しています。」
どうせ併行世界だ。
思った事をブチ撒けてしまえぇぇぇ。
「どうしてそう思うのだ？」
「所で高野司令、貴方は山本家に養子の話が来た事は無かったですか？」
「何故・・。その事を他人のキミが？？？」
高野は動揺してた。
今まで突っ込まれて慌てた彼から我が家の事情を逆に質問されたから。。
「柴田、淵田、今から途方も無い話をするが発狂してるとは思わないでくれ。」
「お前の話を信じない訳が無いだろう。例え月が落ちて来るとか言われても、
オレはお前を信じる。」
「オレもだ、Ｇ田。」
「ありがとう。柴田、淵田。高野司令、これからの話は内密でお願いします。」
「フム・・。良いだろう。それにしてもキミ達は仲が良いのだね。
同期と言えば競争相手でもあるだろうに。」
「未来の海軍航空隊の要となるのが我々三人ですから。
仲違いするのは勿体無い事です。」
「そりゃまた大きく出たモンだね。どうしてそう思うのだ？」
「司令、絶対に信じられないとは思うでしょうが
、私は約八十年後の未来から生まれ変わった男です。
名は田中実と言います。
住居は横須賀市○○町○○番地。
生年月日は昭和五十六年八月十五日です。そして逝年、平成二十三年十一月二十七日です。」
「八十年後の未来から生まれ変わった男だと？
しかも・・平成とは？」
「現人神であらせられる現天皇陛下様がお隠れになった後、現皇太子であらせられる
明仁親王様の時代の称号です。
西暦ですと１９８９年です。」
「フム・・。と言う事は現天皇陛下様はかなり長くご在位されるのだな？」
「ハイ。歴代でもトップクラスの在位期間だったと思います。」
「で、どうしてそんな事を私達に告げる気になたのかね？」
「隠してても意味が無いと思ったからです。」
「どうしてか？」
「司令、今の海軍、陸軍の対立で国力が成長出来ると思いますか？」
「フム・・。確かに陸軍と海軍は仲違いし、予算の盗り合いばかりしてるね。」
「その通りです。私の知る世界では、１９４５年。
つまり昭和二十年の八月１５日までその時代が続きます。」
「また具体的な日にちが出て来たね。その日は意味があるのか？」
「モチロンです。その日。
日本帝國は滅びるのですから・・。」
「帝國が滅びる？？」
「ハイ。
日本帝國は欧米連合軍と闘い、数の力に圧倒され日本は完全に廃墟となり敗戦します。
今のままでは確実に。」
高野は驚いてた。
まさかこんな途方も無い話が出て来るとは思わなかった。
単に面白い話をする部下から今後の戦闘機に付いて質問したいだけだったからだ。
しかし私の身内の事情まで知られてるとは・・。
信じるかどうかは別にしても、聞く価値はあるな・・。
「フム・・・。ではそのキミの知る話を聞かせてくれるか？
もちろん単純に信じる事は出来ないが。」
「モチロンです。狂人と思われても仕方ない話ですからね。
さて、この田中実が憑依してるＧ田実と言う男ですが、私の知る世界では・・。
柴田、お前とは徹底的に対立してたのだよ。」
「どう言う事だ？Ｇ田、いや・・田中・・か？」
「Ｇ田で良いよ。柴田、お前は十年後の未来では戦闘機部隊の指揮官として前線ばかり
渡り歩く事になってる。淵田は攻撃機隊指揮官だ。
そしてオレ、いやＧ田は・・。
空母航空隊参謀として働いてた。
空母部隊の指揮官となるある方が、航空機に無知だったため、Ｇ田の指示が一方的に通り、
後年はＧ田艦隊と呼ばれる程だった。
だがＧ田は無能では無いが愚かだったのだ。
戦闘機無用論とか提唱し、貴重な戦闘機搭乗員を削減したり、十二試艦上戦闘機開発に
ムチャな性能を求め発展性の無い戦闘機を作らせてしまってた。
柴田との対立は戦後も続き、Ｇ田が戦後の空軍となる航空自衛隊に入隊したら、
オレと同じ釜のメシは二度と喰いたく無いと断り、生涯操縦桿も握らなかった程だ。」
「フム・・。中々凄い話だね。Ｇ田君。
そろそろ定時となるが。話の腰を折りたく無い。
キミ達、今から時間は大丈夫かね？」
「「「モチロンです。司令。」」」
「では場所を変えて徹底的にＧ田君の話を聞く事にしよう。」
そう言うと司令は電話を取り、副官に我々の処遇を指示し我々は司令と一緒に航空隊近辺にある、
料亭へと向かう事になった。
Ｇ君、ついにブチ撒けてしまいました。
追記
このSSの中に出る人物は実在の方と妄想の中の人物が混在した架空世界です。
実際の歴史とリンクはしてますが、現実歴史とは違う世界となっています。
