表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
G海軍航空隊  作者: 自宅防衛隊
オレはGだ。
30/46

グアム攻防戦

グアム上空が激戦地となります。

アメリカ機動艦隊が壊滅してしまい、我が合衆国海軍は完璧に本土に引き篭もっている。

代わりに活躍してるのが陸軍航空隊だ。

善戦とまでは行かないが、敵に少しは痛手を与えていると・・思う。

何せ撃墜報告が皆無なのだ。

だが進撃を止める訳には行かない。

合衆国が日本に対し攻撃を仕掛けた以上、戦争を止める事は出来ないのだ。

海軍が復活出きるまでは我々が合衆国を支えておく。


「隊長、今日もジャップは来ますかね。」


「確実に来るよ。ボビー。

だがキツク言い渡しておくぞ。

機を壊されたら、迷わず脱出。

我々は経験のあるパイロットをこれ以上喪う訳には行かないのだ。

お前みたいなルーキーでも、今や宝石よりも貴重なのだ。」


「分っております。隊長。」


本当に分っててくれるのか・・。

昨日も彼の同僚のジョニー少尉が敵の餌食となり、グアムの空に消えたばかりだ。

彼等には経験が無い。

かく言う私も二週間前にグアム基地に着任したばかりだ。

初出撃は昨日。

運良く敵弾を食わずに着陸出来たが、今回も無事に着陸出きるか自信が無い。

出撃まで何故時間がかかってるかって?

そりゃ戦場に慣れていないルーキーをいきなり空中戦に上げても食われて終わりだからよ。

司令部もパイロットの温存には最大の努力を払ってくれてる。

機の補充は本当に潤沢だ。

だが経験豊富なパイロットが居ない。

どうしてこうなったのだ・・・。

最近は我が軍の戦果を確認するよりは敵が発行してるテイコクニュースペーパーを

第三国経由で入手するのが確実となりつつある。

敵のパイロットはハードなベテランばかり。

見ろよ。

このテツゾー・イワモト少佐なんて、ジョン・ウエインバリの色男。

これでジャップのトップエースだってんだからな。

我が軍にも彼みたいな人間が居たらいいのだが、現在居るのはルーキーばかり。

司令部も彼等が生き残って戦い続けてくれたら、絶対にエースになれると信じている。

現在開発中のリパブリック社のXP47は敵弾の防御がハンパでは無いらしい。

早く前線に出してくれないかな・・。

重くてパワーの無いカーチスでは飛んでいるだけで地獄だ。


忘れていたが、私はグアム陸軍第211航空隊所属、ボビー・マッケンロー中尉だ。

今日の空襲を生き延びていたら、また皆と会おう。


その日の空襲でボビー中尉の乗るP40はグアムの海に撃墜され、

彼は二度と土を踏む事は無かった。




「加藤中佐、今日もグアムの海上で敵を待つのですか?」


「ウム、我が軍の戦闘機が万一撃墜されたら機密が漏れる恐れがある。

拠って空中戦は必ず海上上空で行う事。

脱出する際は必ずパラシュート索を繋いで脱出せよ。

諸君が脱出後、君達の愛機は自爆する様になってる。」


ここはサイパンアスリート基地。

彼等は元陸軍パイロットの飛行集団。

ようやく航法の教育が終わり、前線に配備されたばかりだ。

彼等の愛機は飛燕21型。

実史の飛燕とは違い、エンジンはマリーンエンジン。

キャノピーはバブルキャノピーで視界はバツグンである。

翼は層流翼。オマケに飛燕の特徴である翼をスライド出きる構造になってる。

重心位置の調整も簡単だ。

キャブレター形式からインジェクションに変更されたので、空中機動で失火する事も無くなり、

機動性はゼロ戦とタメを張れる程になってた。

余談だがイギリスのスピットファイヤーも飛燕のコピーで採用。

航続距離もドロップタンク無しで2000km、タンク装備で3000は飛べる。

未だに平和な欧州だが、ソ連の動向が怪しいらしい・・。

同盟国となったドイツは現在警戒態勢に入ってる。

だが太平洋戦域でアメリカが負け続けてるため、開戦には至っていない。


0700。


今日もサイパンのアスリート飛行場では多くの飛燕が列線を作り、待機してた。


「本日の攻撃指揮官はこの加藤が勤める。

攻撃目標はグアムの敵戦闘機隊だ。

襲撃予定時刻は0900。

編隊は崩しても構わないが、小隊は絶対に崩すな。

特に三番機。

小隊長の管制を無断で離れた場合は帰還出来ても搭乗配置から降ろす。

分ったな?」


各分隊に所属する三番機のルーキーは緊張した顔で「ハイ。」と言うしか無い。

現在の彼等にはハイしか答える術は無いのだ。

生き延びて、カモ番になるのが彼等の最大の目標。

そのためには、情けなくても小隊長の庇護を離れる訳にはいかないのだ。


「時刻整合を行う、0745まであと十秒、五秒前。

時間。0745。

では出撃開始は0820だ。各自愛機の点検をしておけ。」


パイロットは加藤に敬礼を行い、解散する。



サイパンからグアムまでの距離はわずか200km弱。

途中のロタ島は日本が確保してるが、ココには部隊はレーダー以外駐屯していない。

アメリカもロタ島を占領しようとはしてたが、常に戦闘機の傘があるため、

上陸軍を派遣出来ないのだ。


0830にアスリートを離陸。

巡航速度400kmの飛燕ではジャスト0900にグアム近辺の海上に到達する。

グアムからは多くの戦闘機が・・ヨタヨタと舞い上がってる。

彼等も必死なのだが、テクニックと経験が無いパイロットばかりなので仕方ないのだ。

だが敵襲ならば上がらない訳にはいかぬ。


加藤は彼等が離陸するのを悠々とした態度で眺めてた。

部下には敵が上がるまでは攻撃するなと厳命してある。

配下の部下は黒江、安田、若松と言う陸軍時代の部下ばかりだ。

Gさんには感謝してる。

彼等をすべてワタシの配下に入れてくれたからな。

おかげで部下の掌握も苦労せずに済む。

それにしても海軍の戦闘には呆れる位、先進的だった。

陸軍の場合は空を飛んで戦って着陸までが仕事だが、

海軍には航法、燃料管制と言う仕事まで加わるのだ。

陸軍も管制はしてたが、適当なモノだった。

だが海軍は海の上を飛ぶ関係上、燃料管制は大切な仕事だ。

タンクの残量を表す計器も精密に作られてある。

おかげで正確な残量も分る。


ああ、ようやく敵も離陸が終わり我々に立ち向かって来てくれる様だ。

話は帰還してからにしよう・・。


加藤を始め、サイパンの狼達に拠る狩りの時間が始まった。




サイパン~グアムは僅か210km 離れていません。

ルーキーにはそれでも相当の遠距離に感じます。

ようやく陸軍関係者を出しました。

彼等は飛燕で戦って貰います。

欧州もそろそろ危険になりつつあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ