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G海軍航空隊  作者: 自宅防衛隊
オレはGだ。
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霞ヶ浦

まだ訓練途上です。

もう田中です・・とは言わなくても良いでしょう。

G田です。

現在、霞ヶ浦の滑走路外柵近辺で下士官との親交を深めております。

いや、歴戦の搭乗員の方の目って恐いですね。

階級と言う傘が無かったらとても対等には話せないと思います。


「皆さん、こんばんわ。

今度、この霞ヶ浦で初歩訓練を受ける事になりました、G田少尉です。

コチラは同期の柴田武雄少尉です。宜しくお願いします。」


「柴田少尉です。空を飛ぶ事に関しては皆様に教わるしか無い人間です。

宜しくお願いします。

それと・・。

コレはホンのお近づきの印です。良かったら皆さんで分けてください。」


オレと柴田は持参した袋を彼等に手渡した。

中身は高級タバコのホマレだ。

酒でも持ち込もうと思ったが、まだ巡検前。

休みならともかく平日にはマズイと思い、タバコを二人で金を出し合い、彼等に

プレゼントしたのだ。


ワイロとは違うからね。


「G田少尉、柴田少尉、頂いても宜しいのですか?

こんな高級タバコを??」


「モチロンです。皆様に今後は指導して貰うのですから。」


そう言うと彼等はワイワイ言いながらホマレを分け合いスパスパと吸い始めた。


そして黒岩一空曹が先陣を切り我々に挨拶を始めた。


「G田少尉、柴田少尉。先任搭乗員を勤めております黒岩です。

お二人の指導は我々が責任を持ち、初歩からキチンと指導致します。」


「黒岩さん、宜しく頼みます。他の皆様も訓練では遠慮無くシゴいてください。

さすがに外部の目がありますので、飛行中のみにお願いしますけど。」


そう言うと彼等はワハハハハと笑い、「承知しました。」と応えてくれた。

そして彼等の実戦の話なども聞くと・・。

まだ、大戦に出たパイロットは数が殆ど居なく、唯一、上海方面で独逸と戦ったのが、

黒岩だそうだ。

ドイツのアルバトロスは中々手強かったとか・・。


「フム・・。やはり実際に戦った方の話は違いますね。

所で皆様にお聞きしたいのですが、将来の我が海軍航空隊には、今のパイロット育成制度で

間に合うと思いますか?」


彼等はガヤガヤと話し合ってたが・・。


「G田少尉、コレは内密オフレコでお願い出来るなら話しますが。」


黒岩が代表で自分に話しかけて来たのだ。


「モチロンです。オレと柴田だけの心にとどめておきます。」


「それならお話します。

自分は先の大戦で撃墜したドイツのパイロットと話し合いをした経験があります。」


「ほお、興味深いですね・・。」


「ハイ。現在、世界の戦闘機はドイツ、アメリカ、イギリス、フランスがトップクラスです。

特にドイツは敗れたとは言え、素晴らしい新鋭機を続々と出しました。

東洋では殆ど戦果も無かったドイツですが、欧州では凄い活躍をしています。

特に赤男爵レッドバロンと呼ばれた英雄も出てますからね。」


赤男爵レッドバロン>某二輪屋ではありません。>は本名、リヒトフォーヘンと

呼ばれる先の大戦最大の英雄だ。

80機以上の撃墜数を誇るエースと呼ばれる英雄だった。

残念な事に大戦末期に戦死してしまったが。


「その彼等と色々と会話して分かったのですが、ドイツでは敗戦さえ無かったら、

次の世代の戦闘機の開発も出来てただろうとの事です。」


「次の世代の戦闘機??」


「ハイ。翼は低翼単翼。ひたすらパワーを求め高い空を飛べる戦闘爆撃機と呼ばれる機種を

開発してたらしいです。」


「興味深い話ですね。」


「そんな飛行機で戦闘任務が出来るのか?と聞くと、彼等はパワーさえあれば可能と

断言していました。今の戦闘形態は二十年以内には滅びると予言もしてました。

ドッグファイトばかり求めてては貴重なパイロットの命がいくつあっても足りないとも。」


フム・・。

オレの計画とも一致する予言だな。

まさかドイツにもオレみたいな転生者が居るのか?

いや、居ると思う方が良い。

何事も想定しておかないと某原発騒ぎみたいな事態が起きたらフリーズしてまうぞ。

特にオレ達は軍隊だ。

常に最悪の事態を想定しておくべき。

備えあれば憂いナシと言うでは無いか。


その後彼等と色々と懇談し、今すぐは不可能だが、出来る限り下士官の優れたパイロットの

昇進を早める制度を上層部に具申すると約束した。

こんな凄腕パイロットが居るのに、素人士官に一番機を任せてた海軍・・。

いや・・。


日本軍は頭が狂ってたとしか表現が出来ないぞ。

絶対に腕=階級にしないとね。

腕のあるパイロットが指揮したら、負け戦でも退却が可能となる。

勝てる戦も確実性が増す。

そのためにもオレ達が努力して、彼等を昇進させないとね。


その後、滑走路脇での懇談会はオレ達二人が修業するまで続けられた。

そして彼等とは部隊が違っても話し合う機会を持ててた。

何とか一日でも早く具申できる階級にならないとね。




G田とは違う生き様となるG田です。

下士官パイロット軽視は日本海軍最大の愚行でした。


追記

このSSの中に出る人物は実在の方と妄想の中の人物が混在した架空世界です。

実際の歴史とリンクはしてますが、現実歴史とは違う世界となっています。



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