凱旋
英雄達の凱旋です。
Gです。
現在、瀬戸内海の柱島泊地に居ます。
間もなくグアム沖海戦で完勝した英雄が帰還するのです。
高野五十六連合艦隊司令長官を始め、すべての参謀が待ち構えています。
「Gよ。
お前の言ってた作戦が見事に的中したな。
まさか壊滅させてしまうとは・・。」
「兵士の連度が最高に上がってたのが良かったのでしょう。
戦争は準備と訓練と補給、そして作戦と士気ですよ。」
「ウム。今回の英雄の皆には海軍からも出きる限りの報酬を約束しよう。」
「あ、それは出きる限り手柄を上げた兵士を優先してください。
士官は昇進もナシで結構ですが、一般兵士やパイロットは優先してくださいね。」
「ウム。士官は神輿だけだからな。
手足となって頑張った兵士こそ、国が面倒を見るべきだろう。」
「ニュース映画やラジオでも報道するべきです。
独逸の第一次世界大戦の赤男爵をモデルにしてください。」
「約束しよう。」
日本が負けた原因ってとにかく物量以外には人を大切にしなかった事だよな。
その点は先進国は素晴らしかった。
日本のエースの半分も撃墜しとらんボングが国民的英雄として凱旋してたし、
ドイツなんかキチンと査定もしてた。
あ、ルーデル閣下は別です。
あの方はバトルジャンキーの人外ですよ。
足がモゲても出撃するなんて人間ではありません。ハイ。
さてさて・・。
瀬戸内海に帰還した艦艇はキッチリ出撃した時と同じ陣容です。
後で聞いた話ですが、アメリカのパールハーバーは墓場みたいな雰囲気が半年は続いたとか。
そりゃ壊滅して艦艇が全然居なくなればね。
柱島には陛下も来ると言われたのですが、さすがに謹んでお断りさせて頂きました。
万一の事があれば、海軍が潰れてしまいますからね。
壮大な軍艦マーチに拠って迎えられた連合艦隊は大型艦艇は柱島に。
小型艦艇は呉に入港。
空母のパイロットは全機岩国に着陸しています。
しかし・・。
日本の下士官は本当に世界最強だったのですね。
先の大戦でも下士官を司令とかに登用してたら、負けはしなかったかも知れません。
それにしてもいかに性能と経験に格差があったとは言え、進撃して来たグラマンを
壊滅させてしまうとは・・。
そして被弾もナシ。
かのシナ戦線でのゼロ戦の初陣真っ青なパーフェクトゲーム。
おかげで海戦も不安無く勝ちました。
史実のGが言ってた戦闘機が強ければ戦争は勝てるだけは事実と思いましたよ。
歴史上でも最大のパーフェクトウインでしょう。
敵には不憫でしたけどね。
戦いに情は無用。
それにしても長40センチ砲の威力は凄まじい。
史実の46センチ砲の破壊力を上回るかも知れません。
後に出て来るミズーリ、アイオワクラスも気をつけておかないと・・。
アレもガチで大和とバトルしてたら大和が負けてたと思います。
特に発射速度に差がありますからね。
いかに破壊力のある大和の砲撃でも数を撃たれれば、殺られてると思います。
さて・・。
岩国に行きますか・・。
岩国では多くのニュース映画記者や新聞記者が詰め掛けてた。
海軍広報部の肝いりでエースの彼等を紹介してたのである。
「貴方が今回のグアム海戦で艦隊の窮地を救った「烈風虎轍」の岩本少佐ですか?
海軍報道部のモノです。」
「空の宮元武蔵と呼ばれる武藤大尉ですか?今回はご苦労様です。
帝國新聞ですが・・・。」
等々・・。
活躍した彼等を記者がここぞと写真を撮り、話を聞き、海軍報道部から支給された
戦闘時の写真銃映画を見せられてた。
(既にすべての戦闘機に標準で写真銃も装備してます。)
「隊長達は華やかでいいな・・。」
「本当だ、俺達も何時かはあんな風に取材されるかな・・。」
「カモ番にもなれない俺達ではまだまだだよ。」
三番機の若者が話し合ってる所を、私ことGが通りかかったのは、そんな時だった。
「君達こそが今後の日本の要となるのだよ。
アメリカは強大な国だ。今回の敗北程度ではへこたれぬ。
しばらくは静観するだろうが、一年以内には勢力を盛り返して来るだろう。
その時に戦うのが君達だ。
彼等を見習い、未来の日本海軍パイロットの要になれ。」
「し、失礼しました。
し、少将殿ですか?」
「G少将、海軍戦闘機参謀長を勤めてる。じゃ頑張ってくれたまえ。」
彼等は直立不動の姿勢で私に敬礼をしてくれ、見送ってくれた。
アレは確か、、杉田と谷水では無かったか?
期待のエースが参加してたとは・・。
何としても彼等をエースに育て、日本空軍の底力を上げないとな。
岩本や坂井、武藤クラスは指揮官配置に付くだろうから。
それにしても海軍兵学校が今や経理学校と同じ扱いになるとはね。
クククク。
コレで良い。
別世界の日本海軍の過ちは指揮官ばかり重用してた事よ。
兵士や下士官に頑張らせられる環境を育てなかったから負けたのだ。
特に陸軍は惨かったからな。
この世界の陸軍は完全に自衛隊以下の組織だ。
おかげで無用な赤紙徴兵が無くなり、地方のオヤジクラスが徴兵される事も無くなった。
島とか土地には進駐させていないから、今の海兵隊でも充分に間に合う。
前線はグアム、サイパンの間だから若手パイロットの実戦訓練もサイパンで間に合うだろう。
後は米軍がいつ反撃に入るか・・だな。
小競り合いの場としてグアムの米軍には頑張って貰おう。
凱旋しました。
グアムは実史のラバウル航空戦みたいな場となります。