天皇陛下
機動部隊が帰国し、天皇陛下に事実のみを報告します。
主人公なのに影が薄いGです。
いいのですよ。コレで。
我々に光が当たるのは好ましくありません。
我々は縁の下の力持ちで良いのです。
さて、山口機動部隊が帰国しました。
本当に演習通りの結果を持ち帰ってくれ、さすが山口さんと感嘆しています。
「多聞丸、ご苦労だったな。
被害も少なく、見た目での戦果は派手では無い。
まさに我々の求めてた戦果通りだ。」
「いえ、高野司令長官の命令が適切だったからです。
そして我々現場の人間のやり易い命令も下して頂けました。
もし、「殲滅せよ。」とかの命令が入ってたら、被害は数倍は大きくなってたと思います。」
「山口長官、我々は負けない事が最大の目標です。
そのためには途中の戦果は程々で良いのですよ。
とにかく敵に浅くも深い出血を負わせる事が、最終的には講和にと繋がるのです。」
「Gクン、君の言うとおりだな。
アメリカは強大な国だ。一つの国で複数の国と戦える国力を持つ国だ。
アメリカに勝つのは今の日本でも難しい。
例え技術や兵器で勝ってても、数の力で押されたらいずれは敗北するだろう。
だが我々の目的は平和的講和だ。
勝利する事では無い。」
「その通りだ。多聞。
いかな強大な国力を持つアメリカでも海軍パイロットだけは簡単には量産出来ぬ。
いいか。
絶対に敵陣に引き込まれるな。
コチラの懐に敵を呼び込み、少しづつで良い。
敵のパイロットを殺るのだ。」
「艦載機のパイロットは一年やそこ等では量産出来ませんからね。
国土の防衛線も日本の国力に合わせた広さです。
これなら勝てはしませんが、負ける事は無いと思います。
兵器も現時点では世界の最高峰なのがありがたいですし。」
烈風は日本軍のスカイレーダーとして長く使われる名機となってたし、
後継機のジェット戦闘爆撃機も既にスタンバイしてた。
烈風が劣勢になるまでは前線には出さないが。
「多聞、次はお前では無く、小沢に任せるぞ。」
「ハッ、次は戦艦の出番ですね。」
「ウム。日本戦艦に敵艦が壊滅されれば敵は戦艦の増産に励むだろう。
そしてまた航空機に拠る作戦。
敵に狙いを定めさせるな。迷わせろ。」
「了解しました。高野司令長官。」
そう・・。
次は戦艦同士の決戦と決めてたのだ。
陸奥、長門、霧島、榛名、山城。
そして武蔵、大和とすべて長40センチ砲を搭載して生まれ変わらせてた。
砲身を伸ばし、装薬の威力を増し、弾を延長した新型砲はかつての大和の46cm砲の
破壊力を上回ると予想されてた。
ほぼ直角にも上げられるため、高高度を飛ぶ航空機も迎撃出来る優れモノだった。
アメも驚くだろうな。
戦艦を5隻も始末したハズなのに、新型戦艦がゴロゴロ出て来るのだから・・。
所変わって、ここは皇居の天皇御前。
高野司令長官は陛下に戦果の報告に来てたのだ。
かつての大本営とは違い、事実のみを陛下に入れる事に拠り、陛下の心境は
完璧に海軍寄りとなってた。
「陛下、以上が我が機動部隊が潰した戦果です。
多くの敵兵を殺害した罪はすべて私にあります。
講和が決まりましたら、私を戦犯として処理してください。」
「高野、それは間違っておるぞ。
もし戦犯として高野が裁かれるなら、朕こそが戦犯として裁かれるべきだ。
高野は朕の代わりに戦ってくれてるだけの兵士、我が国の民だ。」
「陛下、有難き言葉ですが、誰かが始末をつけないとアメリカと言う国は黙らないでしょう。
陛下は日本に取ってかけがえの無い大切な方です。
どうか汚れ仕事は我々軍人にすべてお任せください。
陛下には今後も大切な仕事が待ってるのですから。」
「・・・・高野、済まぬ。
この無力な朕を許してくれ・・。」
「とんでもございません。陛下。
我が国は陛下が居るからこそ纏まっているのです。
どうか陛下は燐として、帝國臣民を見守ってください。
我々は少しでも早く講和が出来る様に努力致します。」
「頼むぞ。高野。
今後も期待しておる。」
陛下への報告が終わると同時に国民への報道が認可された。
苦戦、敵、米国は強大なり。
我が国の戦艦、山城、榛名、霧島を喪失せり。
敵側の出血も膨大ではあるが、我々も負けてはいられぬ。
なをフィリピンは開放せり。
すべての在比米軍は駆逐。
比島国民は戦火が遠のき喜びの声が上がりつつあり。
そして戦死者のすべてが掲載される。
戦艦の喪失戦死者はすべて、本当は戦前に物故してた故人。
本当の戦死者は攻撃時に被爆、戦死したパイロットのみ。
敵国アメリカにもこの新聞は入手され、アメリカ側は誇大な戦果として国民に報告。
膨大な国債発行のネタとして・・。
段々Gと高野の狙いが見えて来たと思います。
次回の戦いは戦艦同士のバトルです。