空母
いよいよ新鋭空母の誕生です。
Gです。
ようやく・・・。
空母が生まれ変わりました。
既存の空母もすべて改造し、1960年代から流行り始めたアングルドデッキ形式の空母です。
カタパルトを装備し、着艦は斜めアングルドデッキに。
離艦と着艦が同時に出来るのでパイロットからも大好評です。
エレベーターはすべて艦外に装着。
いや~~!!
楽ですよ。こりゃ。
何故、この様な形式が戦前から流行らなかったのか不思議です。
あ、空母は我が国のトップシークレットです。
海外にも、そして同盟国にも見せません。
知られるのは戦争が始まった時のみですね。
艦隊は日本海か東シナ海で演習してます。
艦隊として見せる場合は練習空母のみ公開してます。
赤城、加賀は機関の換装を行い、速力も32ノットまで出せる様にしました。
低速の空母ではイザと言う時に大騒ぎになりますから。
空母の艦長には、パイロット出身の古参下士官上がりの将官を据えました。
元々がパイロットですので、判断も的確。
逆らう下士官は皆無です。
やはり古参下士官を冷遇してた旧海軍は狂ってましたよ。
見て下さい。
我が機動部隊の精強ぶりを。
パイロットは全員叩き上げ。
ヘタレ士官はすべて事務です。
一応パイロットの資格は持たせていますが、複葉の連絡機に乗せる程度です。
なを、士官となる元下士官にはしっかりと海軍士官学校に出頭させ、
士官教育を施しております。
もっとも彼等は軍務にも精通し、作戦関連のみを仕込めばOKですからね。
副艦長や基地司令を数年経験させたら海軍大学に出頭させ、海軍の要となって貰います。
兵学校は今や帝國大学同様の事務系統学校と成り果て、
有能な頭脳「だけ」の持ち主の集う学校になりました。
「高野長官、いかがですか?未来に現れる予定の空母の感想は?」
「Gよ、凄いモノだな。
まさか離陸と着艦が同時に出来る空母になにるとは・・。
それにあの舷外エレベーターは素晴らしい。
全く空母の威力を損なう事無く艦載機を収納出来るとは・・。
我が国の艦隊設計は間違ってたな。」
「まだまだ未来にならないと、出現しない空母ですからね。
アメリカでも終戦間際にならないと舷外エレベーターは出現しません。
それでもアメリカの空母はダメコンも素晴らしい活躍を見せます。」
「ウム。我が国の海軍艦艇乗員には戦闘訓練同様にダメージコントロールの訓練も
徹底しておく様に通達しておく。」
「お願いします。艦艇を失う事は我が国の貴重な資源の喪失と同様です。
沈みさえしなければ、艦艇は修理して使えますからね。
それと・・・・。」
「分かっておる。パイロットの落下傘訓練だろう?」
「その通りです。
いずれは射出式のコックピットを作る予定ですが、まだそこまでには至りません。
経験豊富なパイロットは戦闘機十機よりも高価な資産なのです。
自爆強要なんて愚かな事は絶対に避けてください。
部隊にも徹底をしておくべきです。
これは艦艇乗員も同意語ですよ。」
ムチャな戦訓の犠牲となった多くの戦士の魂がそんな事を自分に言わせるのか?と、
オレは考えもしたが、陸軍の兵士の数倍は金がかかるのが海軍の兵士なのだ。
一人の兵士を失うのは国費を失うと同意義。
戦闘で戦死するならともかく、無駄な自爆強要なんて絶対にしてはならぬ。
コチコチの明治男にはそろそろ現場から離れて貰う時期だな・・。
戦争が始まる前に叩き上げの下士官上がり士官のみを実戦に出せる体制にしないと。
「高野長官、そろそろ古くから居座る年功序列の石頭さんには・・。」
「ウム。海軍大学とか閑職に回そう。
彼等が後の悲劇の元凶ともなるのだからな。
自分も含めて・・・。」
「長官はまだまだ頑張って貰わないといけませんよ。
私が色々出来たのも理解者である長官が居たからこそです。
改革が完成するまでは頑張って貰います。現場で。」
「そ、そうか・・・。
まだ自分は必要なのか・・・。」
何だ?
高野長官の目がウルウルしてるぞ???
「自分の愚かな真珠湾攻撃で日本の臣民に塗炭の苦しみを与えた事を考えるとな。
自分が死ぬのは構わぬが、日本臣民やヒナ鷲の連中を地獄に叩き込んだ事だけは、
例え自分が地獄に落ちても忘れる事は出来ぬ。」
「長官、もうその未来には絶対になりませんよ。
幸いにも国力は増えつつあります。
万一ハルノートを叩き付けられたら・・・。」
「分かっておる。
返事を曖昧にしてノラリクラリと出来る限り時間を稼ぐのだな。」
「ハイ。それと第一撃だけは敵に叩かせます。
ボテクリ叩きはさせませんがね。」
「沈めても構わぬ艦隊に偽装を施し立派な戦艦に見せかけるのだろ?
もう準備してある。
見た目は長門に見える輸送船戦艦モドキだがな。」
「運用させる船員は攻撃の予兆を感じた時点で全員脱出させるのですよ。」
「モチロンだ。無駄な死者は絶対に出してはならぬからな。」
「ヤツ等の得意顔が眼に浮かびますね♪」
「フフフ・・。そうだな。
ヤツ等が知るのは戦後になるのは確実。
それまでは日本の戦艦を沈めたと国中が大騒ぎになるだろう。」
「我が国の大本営にも徹底させてくださいね。
被害は大きめに。戦果は少なめに・・ですよ。」
「分かっておる。
陸軍の無能は全て中枢から叩き出した。
我が海軍の無能もリストアップしておる。」
「でも山口多門、小沢治三郎、その他リストに掲載しておいた要員は絶対に残して下さいよ。
特に山口司令は日本の宝です。」
「多門丸はそんなに優秀だったのか?」
「私達の知る歴史の山口司令は日本海軍最高の働きをしております。
逆に惨かったのが、私、ことGと南雲さんですよ。
そして・・・。」
「ウム、皆まで言うな。
自分も同罪だからな。彼等には悪いが後方基地の司令として彼等には働いて貰う。」
「お願いします。私も歴史上のGとはならない様に頑張りますので。」
「お前が居たからこそ、今の日本があるのだ。
絶対に死ぬなよ。」
「我々はバックアップとして、日本の後方を守りますよ。
下手糞が前線に出ても邪魔なだけです。
戦争は準備と作戦と訓練が全てですよ。
戦う前に不安要因は全て消しておけば、我が軍の優秀な下士官が戦場で戦ってくれます。」
「そうだな。
我々が戦場に出るのは彼等には邪魔でしか無いだろう。
我々は後方で彼等のお膳立てに徹しよう。」
「頑張りましょう。高野司令。」
高野さんも気にしてたのだな。
並行世界の自分の仕出かした事を。
だが、もうそれは起こらない。
起こしてはならないのだ。
まあ今は日本は平和国家だ。
一応は・・。
コレで開戦までの時間も稼げるだろう。
何とか数年でも遅らせる事が出来たら・・・。
アングルドデッキの空母が完成しました。
全て既存の空母を改良。
大和と武蔵は戦艦にしましたが、信濃は最初から空母として起工してます。
誕生は開戦前を予定してます。
追記
このSSの中に出る人物は実在の方と妄想の中の人物が混在した架空世界です。
実際の歴史とリンクはしてますが、現実歴史とは違う世界となっています。