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#09 一等星アルデバラン

「やっと着いたか。」


3日間の汽車の旅を終え、僕たちはようやく(ラン)

たどり着いた


「よし、行くぞ。」


「はっ!」


僕たちは駅を出て嵐の城下町を歩く。

ここが嵐で最も発展する城下町か。

なんとも田舎くさい国だ。


「まさかこの僕が、こんなど田舎で仕事をしなければならないとは、これほど憂鬱なことはない。」

 

「心中お察しいたします。

あなた様であれば、すぐに職務を終えられるかと。」


「お世辞はいい。さっさと城に向かうぞ。」


僕たちは将軍の待つ城へと足を進める。

僕に課せられた仕事とは、嵐の将軍との外交会談。

親愛なる女帝陛下の意思のもと、失敗は許されない。


「見えてきました、あれが嵐の城です。」


「ほう、実用性がいいとはちっとも思えないが、

見た目は悪くない。壮観だ。」


城の門の前の警備の兵士たちに告げる。


「道を開けろ、外交交渉に来た者だ。」


僕がそう言うと警備兵たちは即座に武器を引っ込めた。僕たちは城の敷地内に入る。


「警備が手厚いですね。」


「当然だろう。僕たちがいるのはすでに、

ゼルファリア大陸でも上位に入る武闘派大国、 

嵐の将軍の根城だぞ。

改めて気を引き締め直せ。」


「承知しました。」


城の入り口付近に、妖伐隊の三番隊隊長、

風凪(かざなぎ)カグラが待ち構えていた。

どうやら案内役らしい。


「これはこれは、妖伐隊随一の実力者、

風凪カグラ殿。

お会いできて光栄です。」


その女は照れくさそうにしながら返事をする。


「いえいえそんな、この度はお越しいただき

ありがとうございます。

私が将軍様の御前まで案内いたします。

ご足労おかけしますが、もう少しの間ご辛抱ください。」


「お気になさらず。」


僕たちは風凪カグラについていき、

将軍の御前まで登っていく。


「この襖の奥に嵐の将軍、嵐宮サクラ様が

いらっしゃいます。

この外交交渉がうまくいくことを祈っております。」


「ええ、案内感謝します。」


そして僕は襖を開けて御前に入る。

嵐とアグールの外交交渉が始まる。




ーーーーーーーーーー



「遠くからお越しいただきありがとうございます。

将軍を務める、嵐宮サクラと申します。

本日はよろしくお願いします。」


「ええ、よろしくお願いします。

私からも自己紹介を。

"アグール"の女帝陛下直属の騎士団、

一等星が第五位、"アルデバラン"と申します。」


緊張の張り詰める空気の中、

二人は自己紹介を始めた。

アグール、ゼルファリア大陸の北西にある大国。

嵐よりも圧倒的に栄えている技術大国であり、

400年後の未来の姿だと呼ばれるほどだ。

人々は口を揃えて、超未来大国と呼ぶ。

そんなアグールの女帝陛下が、将軍様との外交交渉を

持ちかけてきた。

その目的は…


「早速本題に入りましょうか。

私たちアグールの目的はただ一つ、

嵐の将軍家が保有するオロチの宝玉を

譲り受けることです。

こちらとしては、あなた方への協力は惜しみません。

できる限りの要求は呑みましょう。

どうか、宝玉をいただけないでしょうか。」


どうやら連中の狙いは宝玉らしい。

確かに、オロチの宝玉は所持者の妖力を増幅させる

効果がある。

戦力増強のためと言えばわからなくもないが、

そのためにわざわざやってくるとは。


「申し訳ございません。

それはできないのです。」


将軍様は平然と答えた。


「…理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。」


「実は現在、嵐の宝玉は幕府の手中にはありません。

先々代の時に奪われてしまったのです。

大妖怪、天狗に。」


「そうでしたか。天狗といえば、

数百年にわたって嵐の人々を苦しめてきた

妖魔だと存じております。

ではどうでしょう、

私たちが天狗討伐に全面協力します。

天狗を討伐できた暁に、宝玉を戦利品として

譲り受けるというのは…」


アルデバラン殿は

そこまでして宝玉を手に入れたいのか。

アグールの女帝は何を考えているのだろう…


「わかりました。その要求、引き受けます。

天狗の討伐は嵐の悲願です。

お力添えをいただけること、感謝します。」


将軍様はアルデバラン殿の要求に応じ、

次の話題へと移った。

だがこの会談の趣旨は宝玉の取引であったため、

大した話はなかったが。

二人の世間話が終わった後、

アルデバラン殿は一人の部下を連れて城を出た。

こうして、本日の外交交渉は幕を閉じるのだった。


「お疲れ様です、将軍様。

しかしよかったのですか?

宝玉を渡すなどと…」


「構いませんよ。むしろありがたいくらいです。

オロチから宝玉を遠ざけるには

うってつけですから。」


将軍様は笑顔で答えた。

将軍様の考え、言わんとすることはわかる。

だが私には、彼らアグールに宝玉が渡ることにも

胸騒ぎを感じてならない。

何もなければいいのだが…


「そういえば、山口ナオトの初任務の件は

どうなったのです?」


「ミコトからこれといった報告はなかったので、

無事に終えたものかと。

今頃は屋敷に戻っていると思われます。」


「でしたら、早く帰って激励してあげてください。

彼の妖伐隊としての初仕事だったのですから。」


「ふふっ、ですね。」


私は将軍様の見送りを終えて屋敷に戻る。

二人が無事に帰っているといいが…



ーーーーーーーーーー



「アルデバラン様、この後はどうなさいますか?」


「天狗の捜索を始める。

まったく、面倒なことになったな…」


「これは思いの外、長居することに

なりそうですね…」


「これほど憂鬱なことはない。」


「心中お察しいたします。」


「ひとまず宿を取るぞ。

今日はもう終わりだ。」



ーーーーーーーーーー



俺は眠っているマタタビをおんぶしながら

ミコトさんと一緒に拠点に帰ってきた。

着いた途端にどっと疲れがきたな。


「はうぁぁぁあ、疲れた…」


「本当にお疲れ様です。

大変な任務でしたね。」


「妖伐隊の任務って、こんなのがザラなんですか?」


「今回はかなりのレアケースですよ。

思う存分休んでください。

カグラさんへの報告は、私がしておきますから。」


「はい、お願いします。」


俺が部屋に戻ろうとした時、

カグラさんに呼び止められた。


「二人とも、ちょっと来てくれ。

大事な話がある…」


いつものカグラさんとは違う、神妙な面持ちだった。

何かあったのだろうか…


「カグラさん、大事な話とは…?

今日の会談と関係が?」


会談?カグラさんが言ってた外せない

用事ってやつかな。


「ああ、一等星のアルデバラン殿との交渉により、

近いうちに天狗と戦うことになりそうだ。

心の準備をしておいてくれ…」


マジか、間がいいというかなんというか。


「俺としては問題ありません。

天狗は、必ず倒してみせます。」


「心強いな…

その時が来るまで精進してくれ。

私からの話は以上だ。」


「わかりました。任務の報告をさせてください。

ナオトさんはもう部屋に戻っていいですよ。」


「はい、お疲れ様でした。」


今度こそ俺は部屋に戻る。

眠っているマタタビを布団に寝かせて、

俺は風呂に入って体を休める。



ーーーーーーーーーー



「カグラさん、とうとうですね、天狗との戦い…」


私はカグラさんに言った。


「ああ…」


やっぱり、カグラさんは思い詰めたような様子だ。

それもそのはず、カグラさんにとって天狗は、

最愛の両親の仇なのだから…


「私はこれまで、天狗を倒すために辛い修行に耐え、

刀を振ってきた。

ナオトやアルデバラン殿は共闘すると言ってくれたが、私は一人でやりたい…

私が死んだとき、

三番隊はお前に託すぞ、ミコト。」


「やめてください、まるで死んじゃうみたいな。

カグラさんは勝って、

これからも私たちと一緒にいてください。」


「そうだな…」


カグラさんの表情はどこか暗い。

私たちのカグラさんが負けるとは思えない。

でも、カグラさんが天狗に勝てるとは断言できない。

これからどうなるのかは、神のみぞ知る、 

といったところでしょうか…



ーーーーーーーーーー



俺は気づいたらいつもの精神世界にいた。


「あれ、俺寝てたっけ?」


「風呂場で爆睡をかましているぞ?」


「起こしてくれよ!」


まったく、溺れたらどうするつもりなんだ。


「今日はなんか早いな。

もう修行するのか?」


「いいや違う。天狗について

話しておこうと思ってな。」


「天狗のこと知ってるのか?」


「ああ、余が力を封印される前、

奴が勝負を挑んできたことがあってな、

完膚なきまでに叩きのめしてやった。」


「おぉ…じゃあ何、オロチなら勝てるってこと?」


「ああ。たとえ余が万全でなくとも、

あの童ごときであれば、今の力で十分だろう。

時間制限がなければな。」


「そっか、1分間しか戦えないんだっけ?」


「その通りだ、破れば将軍から

信頼を得ることは困難になるだろう。

だから天狗と接敵した時は、

お前が主として戦うことになる。」


「ああ、構わない。必ず勝つ。」


「勇敢と無謀は違うぞ…?

真っ向勝負で今のお前が勝てるとは到底思えん。」


オロチは呆れたように言った。


「なんだよ!いいだろ別に!」


「別に構わんが、死ぬことだけは避けろよ。

お前が死ねば余も死ぬからな。」


「わかってらい!

俺だって姉さんを見つけるまでは死ねないし。」


「いい心意気だ。これからも精進しろよ。」


オロチがそう言ったのと同時に、

俺の意識は現実世界へと戻ってきた。


「湯冷めしちゃうなこれ…」 







読んでいただきありがとうございました!

今回はアルデバランが初登場しました!

次回はカグラの過去が明らかに!


面白いと思っていただけたら、ブクマ・評価・感想をお願いします!毎週水曜日と土曜日の20時頃に更新予定です!


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