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#04 呼び覚ませ妖力

俺がカグラさんについていくと、そこには他の隊員もいて、全員が嘔吐してぶっ倒れていた。


(何これ地獄?)


俺は恐れながらもカグラさんに尋ねる。


「あの、これは一体…?」


「当然修行だ。お前にはみんなと混ざって鍛えてもらうぞ。」


「俺は何をするんですか?」


「簡単だ、この山道を走って登る、ただそれだけだ。」


(うん?思ってたよりシンプルだな。)


「頂上とまではいかないが、山の中腹に合流地点がある。そこまで全力で走って登れ。立ち止まることは許さないぞ。」


(しんどいっちゃしんどいけど、無理ではない塩梅か。)


「さあ行け。10本は走ってもらうぞ。」


「ちょ、ちょっと待ってください!10本…?

ゴールがちっとも見えないんですが…」


「見えないことに、意味があるからな…」


ちょっと何言ってるかわからない。

まだ修行初日だけど、もう生きて帰れない気がする。

姉さん、マタタビ、死んだらごめん…


「ほら何してる。時間は待ってくれないぞ。早く行け。」


俺はカグラさんに言われた通り、その山を走って登る。


「どうしたどうした、それが全力か?

100%で走り続けろ。」


(100%って、そんなの無理だろ…

100mくらいだったらまだしも…)


登っていく道中、大勢の倒れた隊員を発見した。

俺もこの人たちみたいになるんだろうな…

俺は淡々とこなしていく。


ーーーーーーーーーー


淡々とこなせるわけないだろ。

まだ一本目だってのに、もう限界がきてる。これをあと9回?冗談じゃないって。足もげる…

俺は中腹の合流地点にまで来た。

そこにはミコトさんとマタタビが水筒を準備してくれていた。


「あっ!ナオトだ!ナオト頑張れ〜!」


マタタビ、俺はもう無理そうです…


「お疲れ様ですナオトさん。はい、お水です。」


「あり、あ、ありがとうございます…」


「やっぱりいきなりはきついですよね。

私なんて最初の頃は、一回も登りきれませんでしたよ〜。」


「俺ももう限界です…」


「頑張ってください!全部こなし切るのは無理だと思いますし、できる限りでいいですからね。」


「その、俺以外の隊員の人は、10回走り切れるんですか…?」


「そんなまさか。できるのはカグラさんくらいです。

私だって、まだ7本しか。」


(7本!?ミコトさんが!?こんな小柄で華奢な女性が!?)


「ほとんどの人は2本で限界ですね。だからせめて、あと1本だけ頑張ってみてください。きっとできますから。」


ミコトさんは優しく応援してくれるけど、流石に無理じゃない?普段から鍛えてる隊員の人でも2本でしょ?俺はつい昨日まで一般人だったんですけど…


「ナオト、私もここで応援してるから、頑張ってね!」


マタタビの声援を受けて、俺は再び地獄の修行に取り掛かるのだった。



ーーーーーーーーーー



俺はなんとか2本走り切った。

足の感覚がない。足ついてるかなこれ。


「本当にお疲れ様です。初めてで2回はすごい方なんですよ?」


「三途の川が見えましたね…」


「お前すごいな、今日が初日だってのに。」


という声がする方へ振り返ると、編笠をつけた黒髪の男の人がいた。その人も俺と同様に限界を超えているらしい。


「"山下"さんもお疲れ様です。記録更新ですね!」


「まあな、でもまだまだミコトさんには追いつけないよ。」


この人は山下っていうのか。

この人も強いのかな?


「えっと、山口ナオトです。どうも…」


「ああ、よろしくな。よく頑張ったよお前。」


「山下さんは何本できるんですか?」


「俺は今日4本できるようになったところだ。」


「4、すごいですね!」


「そ、そうか?なんか照れるな。」


「山下さんはナオトさんより一年早く入隊した方で、

一般隊員の中では中くらいの実力者です。」


「ミコトさん、本当のことだけどちょっと傷つくんだけど…」


「山下さんは最初は1本もこなせませんでしたよ。

それに比べたら、ナオトさんは頑張った方ですよ。」


「ミコトさん、もう一回言うけど、俺だって傷つくよ?」


「二人とも、仲良いんですね。」


「俺が入隊した頃からずっと、ミコトさんは手を焼いてくれる先輩だったからさ。」


「先輩か、いいなぁ。」


「おいおい、お前には俺がいるだろ?

ミコトさんほどは面倒見良くないけど、俺がたくさん面倒見てやるからな。」


「はい!お願いします!」


こうして、俺の修行初日は幕を閉じた。

正直キツすぎる。けど、カグラさんも、ミコトさんも、山下さんも、みんなあったかくて優しい。

この人たちと一緒なら、乗り越えていける気がするな。



ーーーーーーーーーー



修行を終えて、俺はマタタビと一緒に部屋に戻ってきた。  


「これが毎日続くって思ったら、絶望しかないな。」


「大丈夫だよ。ミコトさんが言ってたんだけど、

山登りの修行は毎月一回だけなんだって。だから明日はまだラクだと思うよ。」


「そうだといいなぁ。明日動けるかな。」


「足治してあげよっか?」


「治す?そんなことできんの?」


「うん、私の覇邪(はじゃ)で。」


マタタビがそう言って俺の足を触れると、その手が緑色に光だした。その光はひんやりしていて、だんだん足がラクになっていくのを感じた。


「すげぇ、治ってく。なんで?」


「これが私の覇邪、怪我とか疲れとか治せるんだ。」


「覇邪って何?」


「覇邪っていうのは、妖怪が扱える特殊能力みたいな感じかな。人間でいう妖術みたいな。」


「なるほどな。そんな力持ってたなんて知らなかったぞ。」


「だって今まで大怪我したり、こんなにボロボロになったりしたことなかったから。」


「確かにな。平和だったってことか…」


「はい、おしまい。もう大丈夫だよ。」


「すごいなこれ、明日も頑張れそうだ。ありがとな。」


「えへへ、いつでも治してあげるからね。」


俺とマタタビが話していた時、山下さんがやってきた。


「二人とも、夕飯の時間だ。早くしないと無くなっちまうぞ?」


「はい、すぐに行きます。」


「ナオト早く行こ!無くなっちゃうよ〜!」


「わかったって、引っ張るなよ。」



ーーーーーーーーーー



俺とマタタビは夕飯を食べて、風呂に入って、

やっと寝る時間がやってきた。


「ナオトおやすみ。明日も頑張ってね。」


「ああ、おやすみ。」


俺が目を瞑った瞬間、一瞬で意識は闇の中へ落ちていき…



目を覚ますと、そこは以前オロチと出会った精神空間だった。


(ここに呼ばれたということは…)


「来たな小僧。さあ、修行を始めるぞ。」


「ちょっ!ちょっと待って!俺今日、めちゃくちゃ走り込んでて…」


「何を言う。期間はたったの二ヶ月だ。寝る時間の少しくらい犠牲にしろ。」


「そんなぁ…」


「安心しろ、そう長くはやらん。それに余はあの女ほど脳筋ではない。」


脳筋、カグラさんのことだろうか。


「何すんだよじゃあ。」


「なーに、妖術を扱えるようにしてやろうと思ってな。」


「おおっ!それやろう!昼間のやつじゃ何もわかんなかったんだ。」


「だろうな。あんな酷い修行でできるはずがない。

せっかくの才能が無駄になる。余の言う通りにやれば

すぐに身につけられるぞ。」


オロチは自信満々に言った。

そして俺はオロチの言う通りに修行をする。

体の中の妖力の流れ、その巡り方を意識して…


「これはお前にとっては初めての感覚だ。

効率的に身につけるには、他者の協力が不可欠だ。

お前が感じ取りやすいように妖力を流してやる。

それを参考にして引き出してみろ。」


俺は体内のエネルギーの流れを感じ取る。

そよ風が血管の中を巡っていくような。


「よし、それを手のひらに持ってこい。」


「どうやって…」


「重要なのは想像力だ。お前ならできるはずだ。」


「はぁ…!で、できた!」


「やはりな。お前には才能がある。正しい方向に鍛えていけば、あの女を超えるやもしれんな。」


「俺ってそんなに才能あんの?」


「当然だ。だからお前に取り憑いたんだからな。」


オロチにそう言われると、なんか自信が湧いてくるな。


「よし、今日はここまでだ。後はもう寝ろ。」


オロチがそう言うと、俺の意識は再び暗転した。

俺の修行初日は、本当の意味で終わったんだ。



ーーーーーーーーーー



こんな生活を続けること二ヶ月、とうとう御前試合の日がやってきた。地獄のような修行の日々を乗り越え、ある程度は戦えるようになったと思う。


「着いたぞ。もうすぐ将軍様が来る。

心してかかれ。」


「はい!」


「ナオト、私はお前のことを、大事な仲間で大切な弟子だと思っている。だから、必ず勝て。」


「もちろんです。」


「今のお前なら大丈夫だ。落ち着いていけよ。」


「私たちはここから応援してますね。」


カグラさんだけでなく、山下さんやミコトさん、他の隊員の人まで、俺の応援に駆けつけてくれた。


「ナオト、頑張って…」


「心配すんなよ。絶対勝つから。」


俺がみんなと話していた時、城から将軍様がやってきた。赤い鞘の刀を腰に差し、歩いてくる姿は堂々としていた。


「山口ナオト、今日ここで、あなたの命運、世界の命運が決まります。最後に笑うのは勝者のみ。準備はいいですね?」


俺は無言で頷き、将軍様の方へ向かう。


(なあオロチ、本当に勝てるのかな?

俺も強くはなったけどさ、いざ相対してみると、

この威圧感。不安になってきたんだけど…)


(安心しろ。余の言う通りにやれ。この作戦は十中八九通用する。勝つのはお前だ。)


俺は最強の大妖怪オロチの声援を胸に刀を引き抜く。

俺と幕府の将軍、嵐宮サクラとの一騎打ちが、

今始まる…!







読んでいただきありがとうございました!

今回はナオトの修行メインでした。

次回は将軍サクラとの激突です!!果たしてナオトは勝てるのでしょうか…


面白いと思っていただけたら、ブクマ・評価・感想をお願いします!毎週水曜日と土曜日20時頃に更新予定です!


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