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#17 君恋う胸は 眠れぬままに

俺はアラトさんと一緒に将軍様のもとへ向かう。

十中八九オロチのことだろうけどなんだろう。

今回は天狗討伐に協力してくれたし、

俺も結構頑張った。

悪いことは何もしてないし…


「そう心配するな。

お前は堂々と話してくればいい。

何かあれば、俺が庇ってやるからさ。」


アラトさんは不安な俺の気持ちを察してくれて、

微笑みながら励ましてくれた。


「ありがとうございます!」


そして俺たちは将軍様の御前に入る。

前に訪れたときと同じように、

将軍様は待ち構えていた。

俺は将軍様に相対するように座り、

アラトさんは少し離れた位置に膝をついて座った。

俺は恐れながらも尋ねる。


「あの、今日はどういったご要件で…?」


将軍様は笑顔で返してくれた。

以前のような敵意剥き出しの顔ではなかった。


「そう緊張しないでください。

今回は処刑だなんて言いませんから。」


将軍様の言葉で肩の力が抜けた。

緊張が一気に解けていく。

その様子を見て将軍様は上品に笑っていた。


「今回お呼びしたのは、

あなた方に感謝を伝えたかったからです。

この度の天狗との戦い、あなたとオロチがいなければ

どうなっていたかわかりません。

本当にありがとうございます。」


将軍様は深々と頭を下げた。

俺は慌てて返す。


「そ、そんな、頭を上げてください…!

妖伐隊として、当然のことをしたまでですから…」


将軍様は頭を上げて微笑みながら続けた。


「あなたからもオロチに感謝を伝えてください。

これからはもっと、自由にしてもいいですよ?」


その言葉に俺は驚いてしまう。

ついこの前まで死ね死ね言ってたのに、

ここまで感謝されるようになるとは…

天狗の撃破って、そんなに大きな功績だったのか。


「ありがとうございます!

でも、俺のやることは変わりませんし、

オロチが変わることもないかなぁ〜と。」


「構いませんよ。

本当は報酬として宝玉を返還したかったのですが、

あいにく奪われてしまったので、

こんな言葉しか渡せません。」


将軍様は申し訳なさそうに言った。


「そんな、いいんですよ。

幕府には姉さんの捜索の件で

お世話になりっぱなしですから…」


俺がそう答えると将軍様はまさに!とでも

言わんばかりに話を始めた。


「今回あなたをお呼びしたもう一つの理由が、

あなたのお姉さんについてです。」


将軍様は少し固い顔になって続ける。


「これまでの二ヶ月間、

嵐内をくまなく捜索したのですが、

手がかりの一つも見つからないのです。

もしかしたらこの国にはいないのかもしれません。」


「そ、そんな…!」


俺が落胆するのと同時に、

将軍様は笑顔で提案をしてきた。


「そう気を落とさないください。

お姉さんを探すために、"ルミエリア"を訪れてみてはいかがでしょうか?

何かしらの手がかりは見つかるかと…」


ルミエリア、ゼルファリア大陸の

中心に位置する商業大国。

大陸中から商人が集まり、

あらゆる商品や人が横行する。

確かに、ルミエリアなら手がかりが

見つけられるかも…


「わかりました、考えてみます。」


俺の返事を聞いて将軍様は言った。


「はい、カグラにも相談して決めてください。

もし向かうのなら、準備は怠らないように。」


そうして将軍様との会話を終え、

俺とアラトさんは拠点に帰還する。


「ルミエリア、最近はきな臭い話を耳にする。

用心して行けよ。」


アラトさんの激励を受けて、

俺はカグラさんの部屋に向かうのだった。



ーーーーーーーーーー



「失礼します!」


俺は勢いよく襖を開いてカグラさんの部屋に入る。


「う、うわぁぁ!

な、なんだ急に///」


カグラさんは顔を真っ赤にして驚いた。

そんなに驚く…?


「カグラさん、

俺言わなくちゃいけないことがあって。」


俺がそう言うとカグラさんはモジモジし始めた。

上目遣いでチラチラ見てくる。

盛大な勘違いをしている気がするが、

俺はお構いなしで話す。


「カグラさん、俺とマタタビ、

姉さんを探すためにルミエリアに行きたいです。

だから、その、カグラさんの想いには、

まだ答えられそうにないです。」


俺がそう言うと、

カグラさんは焦った様子で言ってきた。


「ちょ、ちょっと待て!

私の気持ちに、気づいてたのか…?」


カグラさんはプルプル震えながら聞いてくる。

俺は少し躊躇ったが、カグラさんのためを思って

正直に答える。


「…はい、わかりやすかったので。」


「〜〜っ////」


カグラさんは言葉にならない声をあげて、

両手で顔を隠して座り込んでしまった。

可愛い、すごく可愛い。


「全部バレてたのか…

は、恥ずかしい…」


少し申し訳ないと思いつつも俺は続ける。


「その、カグラさんに好かれて、嬉しいです。

でも、姉さんと再会するまでは答えられません、

ごめんさない。」


俺がそう言うと、カグラさんは慌てて答えた。


「いいんだいいんだ!

その気持ちを大切にしてくれ。

えっと、私のことが嫌いなわけじゃ、

ないんだよな…?」


カグラさんは不安そうに尋ねてきた。


「そんなわけないじゃないですか。

安心してください、全て終わったら、

俺が責任とってカグラさんの恋人に…」


「わ、わかったから///

恋人とか言うな!

ルミエリアだったな、

四番隊への連絡と、切符の手配をしておくから、

もうしばらく待ってくれ。」


カグラさんは笑顔で返してくれた。

でも、どこか悲しそうな目をしていた。

より申し訳なくなる。


そして俺は部屋に戻り、

マタタビに相談するのだった。



ーーーーーーーーーー



マタタビは快く了承してくれた。

むしろ行きたがってたな。

いろいろと肩の荷が降りたところで、

俺とマタタビは眠りにつく。

オロチに介入されない、

久しぶりの静かな夜だ。

俺は布団に入ってすぐに熟睡してしまう。


深夜、マタタビは深い眠りにつき、

辺りは音のない静かな夜だった。

俺は布団の中の違和感に気づいて目が覚めた。

布団の中に、何かいる…!

マタタビじゃない、大きい。

それは俺の体の上に乗って、

足元からガサガサと登ってくる。

俺は思わず悲鳴を上げてしまう。


「う、うわぁぁぁあ!」


俺が叫ぶと、布団の中からカグラさんが

ひょこっと顔を出した。

布団を被りながら焦ったように言う。


「お、おい!

もう真夜中なんだぞ、

みんなが起きてきちゃうだろ。」


カグラさんは慌てて俺の口を塞ぐ。

カグラさんの柔らかい体が密着してて、

胸のざわつきが止まらない。


「カグラさん、何やってんすか!!」


俺は小声で尋ねる。

するとカグラさんは目を逸らしながら話し始める。


「だって、その、寂しかったから…

あと少しで嵐を出るんだろ?

そしたら会えなくなっちゃうし…」


「その気持ちはわかりましたけど、

いきなり夜這いされるとびっくりしますよ。」


「よ、夜這いじゃない!

ちょっとくっつきたかっただけだ!

別にやらしいことは何も…」


カグラさんは辛そうな顔で言ってきた。

おそらく嘘偽りのない言葉なのだろう。


「カグラさん…

わかりました、カグラさんの

やりたいようにどうぞ。」


俺がそう言うと、カグラさんは笑顔になって言った。


「じゃ、じゃあ、今夜は一緒に寝たい…

話したいことがたくさんあるんだ。」


「はい、なんでも聞きますよ。」


俺がそう言うとカグラさんはゆっくり語り始めた。

俺の手を優しく握って、

俺の体の上から真横に移動して、

顔を見合わせながら…


「本当は、もっと早く言いたかったんだ。

でも、恥ずかしくて伝えられなかった。

あのとき、助けに来てくれてありがとう。

ナオトが来てくれなかったら、

私は今この場にいなかった。

本当にありがとう。」


「いいんですよ。

俺も、カグラさんが死ぬの嫌だったんです。

無事でよかったです。」


俺の言葉を聞いてカグラさんは俺の体を抱きしめた。

カグラさんが、近い…!

暖かい体、早くなる胸の鼓動、吐息、

カグラさんの全てが間近で感じられる。

俺の心がもう保ちません!


「ナオトは優しいな。」


カグラさんの言葉が耳に入らない。

胸の拍動がどんどん加速していく。

顔が熱くなって、目を見れない…


「私は幼い頃に両親を失って、

誰にも甘えられなかった。

だから、その、ナオトにいっぱい甘えてもいいか?」


「はい!大丈夫です!」


俺は二つ返事で答える。

カグラさんのこんなに弱々しい姿、初めて見た。

みんなを先導するために

かっこいい姿を演じてるだけの、

一人の女性。


「俺でよければ、

カグラさんの悩みとか、全部受け止めますから。」


俺がそう言うと、カグラさんは

思い切り抱きついてきた。

カグラさんの体が、何より胸が当たってきて、

ドギマギする…


「ありがとう。

その、旅立つまで毎日来てもいいか?」


「はい、いくらでも…」


そして俺たちは他愛のない話をして、

いつのまにか眠りについていた。

俺たちの甘い夜はこうして幕を閉じるのだった。





読んでいただきありがとうございました!

今回はカグラの恋が進展しました!

次回で第一章が終わります!


面白いと思っていただけたら、ブクマ・評価・感想をお願いします!毎週月曜日・水曜日・土曜日の20時頃に更新予定です!


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