第四十五話
「高度、20(メトル)」
「進路そのまま」
「最大船速っ」
カイトが大声で指示を出した。
四つのティルトローターは前を向き、全てのプロペラは最大の回転数で回っている。
ガガガアアア
三段飛竜飛行艇空母、”朧月”の巨体の後ろに砂煙の嵐を起こした。
王都の主街道の石畳が宙に舞う。
艦の先に突き出た衝角。
その先には王都の城門。
「総員対ショック姿勢っ」
ドッ
ドガガガガ
最大船速の80キロメトルに達した巨大な艦が、両開きの門にぶち当たった。
門が衝角の形に内側にへこむ。
バババキキ
「た、倒れるぞ」
大体、艦橋と同じ高さにいた城壁の敵兵士と目が合う。
ズズズウウウウン
巨大な鉄の門扉が城の内側に倒れ込んだ。
「突入する。 艦は私とアルテ王女とリリス殿を降ろした後、上空で待機」
カイトは、艦長帽と上着を艦長席にかけた。
腰に大口径四連装シングルアクションリボルバー。
後ろには片刃のカトラス。
この二つは本来接舷戦の時にロープを切るためのものである。
「行きましょう。アルテ王女」
「はいっ」
ポッ
白いワイシャツの上のボタンを外され、ちらりと見えるカイトの胸元。
鍛え抜かれた身体に、アルテは赤く頬を染めた。
南の門からは、カイト、アルテ、リリス、とユキメたちと妖魔兵団が突入する。
◆
「可変翼全開っ」
「エンジン推力、50パー」
「地面をこするように飛びなっ」
シャラフィファンだ。
可変翼飛行艦、”アッシュオブイグドラシル”の衝角の上には、ゆるく手をひろげた女神像の胴像がつけられている。
船の守り神である女神像はこの艦に使われているの最も硬い素材、”アダマンタイト”製だ。
目の前には北の城門。
衝突する直前に、
「エアブレーキ全開っ」
「エンジン逆噴射っ」
シャラフィファンが大声で指示した。
アッシュオブイグドラシルの船速は240キロメトル。
ズドドドドドオン
アッシュオブイグドラシルの衝角が門に直撃。
アダマンタイト製の女神の抱擁が北の城門を切り裂いた。
北の門からは、シルルートの海賊騎士団と辺境伯騎士団が突入する。
◆
「な、なな、何だあれはっ」
マジ―ン王弟が叫んだ。
城の見張り台から、巨大な鉄の船が南北から城を挟み込むように近づいてくるのが見えた。
「瘴気の森のむこうから来た、ひ、飛行船ですっ」
隣にいたスカーリ騎士団長が答える。
「なぜそんなものがここにっ」
マジ―ンがスカーリ騎士団長を責めるように言った。
「アルテですっ、転移した先が森の向こうでした」
「飛ばすように指示したのは王弟ですっ」
スカーリ騎士団長が責任逃れをした。
ズズ―――ン
南北の門が大きな音を立てて倒れる。
「くそっ」
マジ―ンとスカーリ騎士団長が謁見の間に戻った。




