第四十一話。
青い空。
小春日和の空にキラキラと氷の結晶が舞い始めた。
ユキメ族の種族特性である、熱量奪取。
フウウウウウウ
それを息と共に吐く、”氷の息吹”。
白い煙を出しながら空気中の水分が凍り付く。
一人なら白い雲。
十人なら雪が降る。
百人なら吹雪になった。
では、千人では?
◆
「突撃いいい」
スカーリ騎士団長が大声で言った。
穏やかな丘陵地帯を、馬に乗った騎士たちが地響きを上げて突撃する。
目の前には白い美女たち。
「ふははは」
「ヒャッハーー」
「一番乗りだあ」
「よりどりみどりだぜえ」
ズドドド
奇声をあげて殺到する馬に乗った騎士たち。
だが、
最初はキラキラとしたダイヤモンドダスト。
少し吹雪く。
そして、騎士たちの前に白い雪の山が立ちはだかった。
「ば、馬鹿なっ」
「な、雪崩だああ」
「うわあああ」
「なんだあれはあ」
「こんなところ(丘陵地帯)で雪崩なんてあるかああ」
別名、白い悪魔。
ユキメたちの広範囲殲滅術式である。
ゴオオオオオオオオオ
馬たちの上げる足音を打ち消しながら、白い雪の洪水が辺り一面を真っ白に染め上げながら、騎士たちに押し寄せた。
雪崩の後、騎士たちは良くて腰まで、悪くて全身雪の中に埋まっている。
雪の上を悠然と白い狼に乗った女性たちが近づいてきた。
雪狼は雪の上に足跡を残さない。
それでも、戦おうと剣を向ける騎士たちがいた。
すかさず、スノーオーガーの女性が永久凍土防壁を張る。
腰まで埋まった状態でなお抵抗しようとする男たちを、ユキメとユキオニの女たちは、愛おしそうに、また《《品定め》》するように見つめていた。
◆
「あ~あ」
「抵抗する奴ら、見染められたなあ」
「ああ」
「お持ち帰りされるなあ」
「だろうな」
ユキメの里の連れ去られ婿にされるのだ。
さて、中央の騎士はほぼ壊滅したが、左右の歩兵はまだ健在である。
「あまり活躍しすぎてユキメたちに見初められんようになっ」
「はは、違いないっ」
「辺境伯騎士団っ、雪崩を迂回しながら歩兵たちの横腹を叩くっ」
「「「おうさっ」」」
「突撃っ」
突然の雪崩に混乱している王国歩兵に、横から辺境伯の騎馬兵が突撃をかけた。
◆
「グゲ」
「グゲゲ」
辺境伯騎士団の反対側。
妖魔兵団に、突然巻き起こった雪崩に少し動揺が走るも平静を保つ。
「グゲゲゲゲーー」
目的は辺境騎士団と同じ。
あるものがダイア―ウルフにまたがり(ゴブリンナイト)、
あるものは四つ足で(ハイコボルト)、
あるものがドタドタと自分の足で(オーク、オーガー)、
ゴブリンナイトの掛け声と共に、雪崩を迂回しながら王国兵士の襲いかかった。
その後、王国騎士団は壊滅、王都、”パンデモ”に敗走した。




