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魔の森の近くを飛行艦で飛んでいたら、魔族の王女様を拾ったんだけどっ?!  作者: トウフキヌゴシ


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第三十三話。

青い空がきれいだ。


 飛竜飛行艇三段空母、”朧月おぼろつきの第一甲板。

 鋼鉄都市、”アイアンフェロ―”の乾ドッグに停泊している。

 その上に、大柄な貨物竜キャリアードラゴンに乗った竜騎士と、黒い大鴉レイブンに乗った褐色のクノイチ。

 その前に儀礼用の制服を着た乗組員たちが列を作っている。

 アルテとリリスの姿もあった。


 式典用の軍服を着たカイラギが、大きな声を挙げた。

「イーズナ第二王女殿下、並びに、ギルモア・ラフロイグ、両名」

「ハナゾノ帝国へ親書を届けるのと支援要請のために……」


 パパラパ~~


 軍隊ラッパが鳴り響く。


「しゅっぱあつ」


 ザッ

 周りの乗組員たちが敬礼する。


「出撃します」

「行ってきます」

 ギルモアとイーズナが言った。


 タンタンタン


 竜と大鴉レイブンがゆっくりと甲板を走りだした。



「帽ふれ~~」

「行ってこいよ~」

「頼んだぞ~」

「故郷によろしく~」

「無事帰ってくるのですよ~」


 乗組員たちが帽子や手を振りながら声援を送った。


 ブワリッ


 二騎が甲板の端まで走り並んで飛び立った。


 目指すは、マジワリ(瘴気)の森を越えたハナゾノ帝国。

 アルンダ―ルとニャンドロスの親書と支援要請を届けるのだ。

 瘴気マジワリの森を越えるのに約一週間。

 イーズナとギルモアの空の旅が始まる。



「ギルモア……殿か」

 褐色の肌、肩までの黒髪、耳が少し尖っている。

 イーズナは、少し前を飛ぶ薄茶色の飛竜と竜騎士を見ながらつぶやいた。

 眼下は青々とした深い森。

 黒いもやの瘴気(魔力)だまりが所々にある。

 それらを避けながら飛ぶと、大体一週間で森を抜けられるはずだ。

 今、森に入って五日たっていた。

「竜騎士、……竜の女神の加護を受けしもの」


 ――この世界で最強のものたちだ


 元々、竜の女神と魔族の幼女神は対立している。

「しかし……」

 飛行中、ワイバ―ンや大鷲に襲われたが、前に出て助けてくれた。

 夜営中も極めて紳士的にふるまっている。

 ――襲われるくらいの覚悟はしていたのに

 当然、抵抗するつもりであったが。

「まだ、アレは出ていない、大丈夫、大丈夫……」


 森の上を飛ぶ二人のシルエットが夕陽に赤く染まる。

 

「あそこで夜営しよう」

 ギルモア殿が、森の少し開けた場所を親指でさしながら魔導無線で言った。

「了解した」

 木の枝を避けながら大鴉レイブンを下ろす。

 やはり、彼が先に降りて周りの安全を確認してくれた。

 手早く忍術で魔獣除けの結界を貼る。

 竜の気配と結界で並みの魔獣は近づいてこない。

 その間にギルモア殿が焚火の準備をしてくれた。

 夕飯は野菜と干し肉、お米をいれた雑炊を作る。


「……どうぞ」

 彼にもよそって渡した 

「ありがとう」

 笑いながら受け取る。

 パチパチと焚火が爆ぜ、淡い炎の光がまわりの木々を黒く染めた。

 食後のコーヒーを入れて彼に手渡す。

 絶対に五歩以上近づいてこない彼に私は聞いた。

「……私は魔族だ、なぜ親切にする」

 

「ふむ」

 青い目をぱちぱちとさせた後、頭を少し振り金色の前髪がゆれる。 

 180センチくらいの体を少し傾ける。

「魔族か……、細かいことはよくわからないが、か弱い女性を大切にするのは当然のことではないのか」

 後ろにうずくまっていた彼の飛竜も片目を開けて、チラリとこちらを見た。

「貴方のような可愛らしい女性ならなおさらではないのか?」

 生真面目そうな表情で言う。


「な、ななな、何をいっているのだっ」

 頬が熱くなるのがわかる。

 多分、顔は真っ赤だろう。

「も、もう寝るっ」

「見張りの交代の時に起こせっ」

 毛布を頭からかぶり、彼に背中を向けて寝た。


 寝つきが悪くうつらうつらとしていた時、


 アオ―――ン


 遠吠えが聞こえた。

「ひうっ」

 飛び起きた。


 ハッハッハッハッ


 息遣い。

 アレが来た。

 来てしまった。

 カクカクと体が震える。


 黒い木の間にエメラルド色のちらちらとたくさん光る点。


「ど、どうしました、魔狼の群れのようですが」

 魔狼は結界と竜の気配にそれ以上近づいてこない。


 アオ――ン、ワンワンッ


「ひいい、い、いぬがこわいのだっ」

 ――幼いころ、お尻をかまれた記憶がっ

 森の中で噛まれ死にかけた。


 その時、ふわりと何か暖かいものが私の上に覆いかぶさった。


「だ、大丈夫ですっ、俺が守りますっ」


 少し硬い。

 ギルモア殿の胸の中に守る様に包みこまれていた。

 

 しばらくした後、魔狼の群れが去った。


「イーズナ王女殿下、大丈夫ですか」

 頭の上から声がした。


「うっ……すまない」

 ――まだすこし体の震えが収まらない

「もうすこしこのままで……」

 私が落ち着いた後、彼はゆっくりと離れていった。

 心配そうな瞳。


「イーズナ王女殿下」


「くっ」

 頬が熱い。

「こ、これからは、イーズナでよいっ」


「む……では、イーズナ殿」


「イーズナだっ」


「では私も、ギルモアとお呼びください」


「わかった、ギルモアッ」

「それと、……ありがとう」

 私は彼に小さく礼を言った。

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