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冲方丁 『冲方丁のライトノベルの書き方講座』

2008年5月。『涼宮ハルヒの憂鬱』の1期と2期の間にあたる、ライトノベル隆盛期。

本屋をうろつきながら、「私も小説を書いてみたい」とぼんやりながら思い立ったのです。

だからといって、じゃあハウツー本を読もう!って、流石にそうはならないじゃないですか。

しかし、まさにその日が『冲方丁のライトノベルの書き方講座』の発売日だったのです。丸善のライトノベルコーナーに平積みされていた本書を手にして、「これは運命だ!」とレジへと直行しました。


さて、冲方先生のハウツー本では自著である『マルドゥック・スクランブル』『カオス・レギオン』『蒼穹のファフナー』の三作品の制作過程がベースなっております。「この本のキャラ調整はこうした」とか「あの本の構成はああだった」とかです。残念なことに私は三冊とも未読でした。特に小説作りの基礎の章で取りあげた『マルドゥック・スクランブル』は読んでおけばよかっですねぇ・・・。


冲方先生の小説作りの基礎は以下の通りです。

1・「種書き」アイデアやイメージを大量生産

2・「骨書き」大まかな設定を敷く

3・「筋書き」設定の上にアイデアを並べて、調整する

4・「肉書き」執筆

5・「皮書き」推敲


これを全くの素人だった私が実行したところ、1・2・3までは問題なくいけました。自分の中に「小説を作っている感」も生まれて、悪くないです。そして、ここまでです。


次はステップ4だ、「肉書き」だ。執筆をしよう。そうなったら一文字だって書けやしません。

なぜかっていえば、表現力が無いからです。語彙力の無さ、文章の引き出しの少なさとも言えるでしょう。


例えば冒頭のシーンが、「種書き」によって「父親と対峙」「和風」「緊張感がある」と指定されていたとしましょう。加えて「筋書き」で「父親は煙草を吸っている」と追加で固めたとしましょう。自分の頭の中ではイメージできていますが、いざ、文章にしようとすると酷いものです。


「親父は煙管を乱暴に置いた。嫌な金属音が八畳間に響き、場の緊張感を無駄に増やす」


無理して書いてもこんなもんです。イメージ湧かないでしょう?

私の頭にある画はもっと細かいんですが、そのためにどう言葉を使って補えばいいのかさっぱり分からない。


「親父は刻み煙草を吹かすので、手のある長い煙草盆を前へ引き付けて、時々灰吹をぽんぽんと叩く。それが静かな庭へ響いて好い音がする。自分の方はもう鼻から煙を出すのが嫌になったので、腕組をして親父の顔を眺めている。その顔には年の割に肉が多い。それでいて頬は痩こけている。そうして、話をするときに相手の膝頭と顔とを半々に見比べる癖がある。その時の眼の動かし方で、白眼がちょっとちらついて、相手に妙な心持をさせる。」


はい、こちらは夏目漱石の『それから』です。父親初登場のシーンをちょこちょことカットして載せてみました。

これが正解です。正解のうちの一つです。

断言しますが、私が前述した『マルドゥック・スクランブル』を読んで、それからまた冲方先生の手法を学習し直しても、正解に届くことは絶対にありません。

ステップ3からステップ4へのハードルの上がり方が大きすぎます。


ハウツー本あるあるです。求めているモノまでの道のりは楽なのに、いざ得ようとしたらハウツー本を読む前と難易度に変化なし。なんのために小さいハードル超えさせてみたの?

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