戦闘と無職からの脱出
ちょっと長めです。
戦闘シーンが...つい...
ー✦冒険者ギルドの中庭✧ー
「ひよっこ共!俺は戦闘教官のダンと言う!ダン教官と呼べ!」
「「「イエス、ダン教官!」」」
「もっと大きな声で!!」
「「「イエス!!ダン教官!!」」」
俺はギルドの中庭で、訓練を受けている。
「まずは魔法職を見てやる。戦士職は全員、中庭五十周だ!!」
中庭は一辺が大体二十メートル位だろうから、四キロだ。
「「「ッ!ハイッ!」」」
「返事はイエスだろうが!!」
「「「イエス!!ダン教官!!!」」」
「分かったらとっとと走れ!!!」」」
「「「イエス、ダン教官ッッ!!!!」」」
ダン教官は熱血だ。
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走り終えた頃には、魔法使い志願は全員終わっていた。
尚、走りながら一人の演習生に聞いたが、この世界ではゲームのように【職業】によって何ができるのかわかるそうだ。
そして大きく分けて四種類の職種が在るそうだ。
魔法職、戦士職、生産職、そして特殊職。
魔法職は魔術師や僧侶、テイマーやそれらの亜種などが中心で、極めると魔導士などが有る。
戦士職はそれこそ剣士や槍士などの武器別の職種や、変わったところだと野伏や盗賊なども有り、さらに上級職だと剣聖も含まれるそうだ。
生産職は文字通り農民、商人、鍛冶師等の多くの生産型の職業の総称で、特別異出した上級職業は無いそうだ。
そして特殊職はこれ等に当てはまらない異出した職業の総称で、王族や将軍、更には勇者や聖者、賢者も含んでいるらしい。
多くの上級職や特殊職は職を得るために何かと条件が在るそうだが、普通の武器別の職に就職する分には気にしなくて言いそうだ。
彼によると、最初ダン教官が言ってた自分は戦闘教官だって言っていたのは自分の職業を公言していたそうだ。
ちなみに戦闘教官は特殊職だそうだ。
あと複数の職業を兼業できるそうだが、それは非効率的でだれもやらないそうだ。
【職】の基準が何か気になるけど、それは今考えても仕方ない事。
「次は戦士達を見てやる!全員横に並べ!!」
お、物思いに耽ていたら時間が来た。
取り敢えず―
「「「イエス!ダン教官!」」」
「まずはそこの黒髪!」
この場で黒い髪の人物なんて...多分俺だけだ。
半オーガの人はハゲだから髪色が何か知らん。
ちなみにアレは種族的特徴じゃなくて個人が好きでやっている事だそうだ。
尚、この世界に俺の様な顔と髪の人は東の方に存在して、たまにこっちに来るのでそれほど珍しくもないそうだ。
尚々、この世界のオーガは灰色の肌をしたガッシリとして、日本の鬼のように角が生えているらしい。
セガグさんはハーフだから角は生えてないけど。
「はい!」
「テメェは職業志願か?それとも訓練志願か?」
「職業志願です!」
「よぉし、獲物は持ったか!」
「はい!」
普通の刃を潰したの練習用両手剣だ。
横にあった超重量でモ◯ハンの大剣みたいなやつはとてもじゃないけど扱えなかったから、普通の細長いやつだ。
強いて言えば...ロングソードかな。
一番竹刀に似ているやつを選んだ。
「じゃあかかってこい!」
じゃ遠慮なく...
構えて、踏み込んで、正面からの振り下ろし。
ガキッ
「ヌッ!?」
【職業:無職から職業:見習い剣士に昇格しました】
からの
半歩下がっての胴!
「ムンッ!」
ガンッ
ダン教官はなんと使っていた刃が潰れて尖っていなかったはずのグレートソードを地面に突き立てて、俺の胴を受けた。
これには驚いた。
だが。
頭ががら空きだ。
ヒュッ―
ガッ
「ふぅ、ヒヤヒヤさせるな。」
な、もう剣を地面から抜いたのか!?
二十センチ位埋まってたぞ!?
「今度はこっちが攻める番だぜ!」
ガギンッ
「ッ!?」
と、とんでもなく重い。
馬鹿みたいに正面から防ぐのは得策じゃないな。
「オラ!」
スッ―
―ドゴンッ
「え?」
受け流したダン教官の剣が中庭に当たって、そこを中心に割れた。
比喩でもなんでもなく、地面に裂け目ができた。
恐ろしい破壊力...ってか俺はこれを一度受け止めたのか?
...まちがいない、俺は強くなっている。
だがそれよりも、今は一刻も早くこの勝負にケリをつけないと。
一歩下がって、最初と同じ軌跡での、正面からの打ち下ろし。
「その技はもう読めてんだよ!」
だが今回はダン教官の剣が迎え撃つ様に上がってきた。
このままじゃ、止められて、カウンターを受けるだろう。
だが―
ヒュイッ
「なっ!」
防がれなければ、カウンターを受けることも無い。
相手の剣に当たる直前で剣を避け、相手の体の横を通るように切り、相手の腰辺りまで降ってから急激に剣の向きを変え、切り上げる。
中二病の中二病による中二病のために身に着けた俺の必殺技。
燕返しだ。
...剣道で使ったことは無いけど。
勿論、実際には当てない。
寸止するつもりだ―
「闘技、『ファストリアクト』!」
ガキンッ
――クルクルクル ザクッ
は、弾かれた!
そして俺の手から離れた剣が地面に刺さるより前に、すかさずダンさんの剣が飛んできて俺の喉元で剣が止まった。
「ま、参りました」
ようやく絞り出すとダン教官は剣を引いて、それで自分の肩をトントンとし始めた。
「ふぅ、坊主、俺に闘技を使わせるとはな...本当に無職だったのか?」
と、剣で肩トントンしながら、聞いてきた。
「え?あ、はい、無職でした。」
「と言う事は...お前、実際に誰かと剣を交えた事なかっただろ。」
ん...?
剣道では真剣は使わないし、合気道だって本当に戦っているわけじゃないし...
「いえ、一度も。」
「はぁ、なるほどよぅ。実戦を交わねぇといくら剣の腕が良くても【見習い剣士】の職業は身につかねぇからな...」
剣を鞘に戻しながらダンさんが言ってくる。
へぇ、そうだったんだ。
てちょっと待ってステータス!
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名前:星野玄人 職業:見習い剣士 称号: 能力:【願う】
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またステータスが頭の中に浮き出た。
おお、もう無職じゃない!
「ま、それにしても妙に強いけどな。闘技を使わずにこうまで俺を追い詰めるったぁスゲェぜ。」
「あ、有難うございます!」
「そうだ。最初に行ったろ?俺は戦闘教官だってよ。」
そう言いながら、ダン教官は右手を俺の左肩に乗せてきた。
「え?そうですが...」
「うお、ダン教官、まさか...」
「初演習でか?」
「こいつは...とんでもない化け物になりそうだな...」
なんか外野が騒がしい。
「『ユーランド王国筆頭戦闘教官ダンサー=アダムズは、...(おい、小僧、お前なんて言う)」
「(え?あ、玄人と言います)」
「ゴホン。『ユーランド王国筆頭戦闘教官ダンサー=アダムズは、ゲントを【下級両手剣士】と認める!』」
【職業:見習い剣士から職業:下級両手剣士に昇格できます。昇格しますか?】
ッ!...
答えは勿論―
「『はい』!」
【確認しました。ゲントを職業:下級両手剣士に昇格します】
「よくやったな、小僧!」
誤字、脱字、その他諸々の難点をお教えください。
全て読み、善処します。
読んでくれて有難うございます。