言い出せ余話4
ー余話4
袋の中の近藤春菜に呼び掛ける。
「春菜さん。袋から出します。安心して下さい。悪い奴らは始末しました」
袋の口を開けると、ぐじゃぐじゃの髪の間から、涙を溜めた目が覗いた。
「立てますか?」
手を貸して、なんとか立った。
ぐじゃぐじゃの髪をまとめてやり、ジョニーは自分の帽子を被せた。
ふらつく体に、肩を抱いて階段を降り、車に向かった。
入口を出た。
フラッシュが光った。
ジョニーは春菜さんを隠そうとしたが、無理と判った。
「ジョニーさん?どういった関係ですか?お付き合いされてるんですか?」
まわりをグルグル回りながら、シャッターが切られる。
助手席のドアを開けて、春菜さんを入れる。
運転席側に回って、カメラマンにジョニーは言った。
「スクープは要らないか?」
「今。頂いてますが?」
ジョニーはマンションを見た。
「最上階の鍋谷の部屋の前と中の写真を押さえとけ。お前んとこの雑誌、売り切れるぞ」
「じゃあそれも、後で頂きます」
鍋谷の父親が一旦は、真相を押さえるのに成功した。
しかし、部屋の中を物色したカメラマンは、3年前の殺人の状況証拠を見つけた。
そして、張り込みを続けていた彼は鍋谷のレイプの現場を押さえた。
鍋谷の逮捕を受けて、ジョニーは記者会見を開いて真相を暴露した。
そして、レッドフォードバンクスからの脱退と、本間尚志名のソロ活動を発表した。
ファンは、弾き語りフォークシンガーになったジョニーに衝撃を受けた。
だが。ファンは気付いた。
本間尚志が本物である事を。
余話完結




