言い出せ余話3
ー余話3
「そんな事は見りゃあわかる」
ジョニーは顔を上げる。
もうひとりが言う。
「ジョニーか?今ならまだ間に合う。消えろ」
「残念だが、消える訳にはいかない理由がある…聞きたいだろ?」
「理由なんか何だって良い。鍋谷さんが出てきたら、終わりだぞ」
「理由があんだよ!聞けや!」
大声を張った。
後ろで
ガシャン
音がした。
ジョニーがもたれているのでドアが開かない。
クグモッタ声がする。
ーてめえら!何やってる?ー
ジョニーはスッと立って、ドアノブを引いた。
すでにパンツ一丁の鍋谷が、前のめりに飛び出てきた。
その背中に右足を乗せる。
「理由は。小林智昭の女に指1本触れさす訳にはいかねぇんだよ!」
鍋谷がジョニーの足の下で言う。
「思い上がりやがって!レッドフォードバンクスのボーカルなんざ、おまえじゃなくてもいくらでも替わりはいるんだよ!」
「知ってるよ。だからてめえと心中しにきたんだよ。なんなら、おまえがやれよ。音源に合わせて、くちパクパクするだけだ。俺はもう飽きた」
「ジョニー。そこまでだ。消えろって言ったのに。手遅れだ」
取り巻きの手にナイフが光った。
鍋谷がジョニーの下から逃げて、取り巻きの後ろに立った。
「ナイフをそんな風に持っちゃダメだ」
ジョニーはふわっと動いて、二人のナイフをさらった。
マジックのように、ジョニーの両手にナイフが現れる。
3人に恐怖が走った。
「3人で、ナイフが2本。一人多い。2人が刺されてる間に俺をぶん殴れるが?どうする?」
3人が迷った。
その瞬間を見逃さず、ジョニーはナイフを左に投げた。
3人は一斉に投げたナイフを追った。
ジョニーを見ていない3人を苦もなく殴り倒した。




