彼女の隣には 『1』
朝、目を開けたら自分の中の「なにか」がなくなってしまっていた気がしたんだ。そんなことは気のせいだとおもいながら私はリビングに向かった。
リビングに行った時、その「なにか」がどういうものであったかがよくわかった。 リビングは静かで人影がない。そう、誰もいないのだ。どうして誰もいないのだと疑問に感じて思考を巡らせて私はようやく気づいた。
「私にはもう家族がいないんだ」ということに。
1週間前、私の両親は会社の謎の爆破事件で亡くなったのだ。詳しくは覚えていない。いや、きっと2人の死を認めたくなかったために記憶に残したくなかったのであろう。
「ピンポーン」
家のチャイムが鳴った。
少し驚いて玄関に行きドアを開けると彼女はこう言った。「玲ー! 忌引の期間今日までだよね? 忘れてそうだったから迎えに来たよ!」
「え… 忌引?」
「うん。 そうだよ?」
「--あ、私は休んでいたのか」
私は少し考えてから彼女に学校の準備をしてくるといって自分の部屋に戻った。家族を失ったショックなのか…それとも自分の忘れん坊の性格からなのか分からないが色々と今の私はぼけているのかもしれない。その証拠に時間割ですら忘れているようだ。少し困りながら時間割を求め部屋中をうろちょろしていると分厚い本を見つけた。私の日記だった。最近書いていなかったなと少し懐かしく感じていた時だった。