風邪引きさん
「おはよー……」
「おはよう、翔。なんか具合悪そうだな、風邪か?」
普段は元気な翔が、今朝は少し赤い顔で真由と一緒にリビングに入ってきたのを見て、武志は心配そうに声をかけた。
「んー、なんか朝起きたら寒かったー」
「真由は?」
「わたしは大丈夫」
子供たちは同じ部屋のため、ジュリアと一緒に朝ごはんの支度をしていた真梨子が聞くと、真由はいつもと変わらない様子だった。
「ちょっと失礼しますね」
そう言ってジュリアは翔の額に手を当てた。
「37度1分でしょうか」
「へえ、手で熱が計れるのか」
武志は感心したが、「どれどれ」と真梨子が耳に当てて瞬間的に計測する体温計で翔の体温を測ると、
「38度5分、って高いわね」
「おい、全然違うじゃないか」
武志がジュリアを見ると、彼女は重々しい顔で言った。
「うん、やっぱり適当では当たりませんね」
「適当かよ!」
「うーん、うーん」
そんなやりとりの中、翔はさらに顔を赤くしていた。
が、さすがに真剣モードになったジュリアに付き添われた病院で貰った薬で、翌日には無事回復しましたとさ。
大丈夫、ジュリアさんも真面目モードになることはあります。