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ジュリアさんが来た  作者: 安良久 理生
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お買物②

お買物編その2。

「はー、お前のせいで恥をかいたじゃないか」

「わたしは武志さんとの距離が近くなったようで、嬉しいですよ」

 げんなり顔の武志と、にこにこ笑顔のジュリアの二人はデパートに到着した。

「どういう感覚だよ……。まあいいや、紳士服のあるフロアまで行くぞ」


 何度も利用しているため、案内板を見ずとも行き先が分かっている武志はジュリアを連れてエレベーターに乗り込んだ。

 エレベーターを降りた先は、手前にキッズ服、奥に紳士服の混成フロアになっている。

 一緒にエレベーターを降りた親子連れは二組いて、早速どちらも小さな子供がそれぞれの親におねだりをしていた。


「ねえお母さん、こっち、こっちがいいよ、これ買ってよ」

「ママぁ、アソパソマン、アソパソマンのがほしいぃー」


 子供たちは腕を引いたり、セール用のワゴンからシャツを取って母親の腕に押し付けたりと懸命なのを、ジュリアは横目で見ていた。

 ジュリアはクイクイと武志の袖を引っ張った。


「ん、どうしたジュリア」

「ねぇパパぁん、これ買ってぇキャン?」


 呼び止めたジュリアが、どう見ても幼児用のクマさんがプリントされたシャツを手にしているのを見ると、武志は「ふんぬうっ!」と気合を込めた手刀をジュリアの頭に落とした。そのせいでジュリアからは変な声が漏れてしまった。


「ウチにはそんな物を着る子供はいません。あと何だその口調は、って――」

 思わずキツ目のツッコミを入れてしまった武志だったが、すぐ近くにいた親子連れやその他の客からはゴミか何かを見るような目で見られていた。「見ちゃダメ」とか、暴力亭主とか聞こえたのは気のせいではあるまい。


「ちょっとあなた、何やってるんですか」

 その中でも気の強そうな母親が、今にも掴みかかりそうな勢いでやってきた。

「いえ、違います、誤解です!」

「そっちのあなたは大丈夫?」

 武志の言葉を無視して、母親は叩かれた頭を押さえて涙目のジュリアに聞いてきた。

「大丈夫ですー、わたしは武志さんにお金で買われましたからー」

「ちょ、それ前にもやったネタ、っていうかここでやるのは社会的にマズイってー!」


 その後、どうにかジュリアが家政婦ロボットであることを納得してもらったが、恥ずかしい思いをしたまま武志は長袖のシャツを三枚買って帰った。一枚はジュリアが選んだものだが、悔しいことにそれが一番似合っていた。


「顔真っ赤にしてる武志さん可愛いハァハァ」

「やめんかーー!!」

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