お買物①
3回に分けてのお買物編です。
数日後の日曜日。
「ちょっと出掛けてくる」
武志が家族に告げると、洗濯物を畳んでいたジュリアが顔を向けた。
「どちらまで?」
「ああ、そろそろ新しいシャツを買おうかと思ってね」
「それなら、わたしもご一緒してよろしいでしょうか。この辺りのお店も、よく行くスーパー以外に見ておきたいですし」
「構わないよ。真梨子、留守番頼むな」
「うん、わかった」
ここ最近、山川家では、毎週武志と真梨子のどちらかが家に残って、子供たちが一人にならないようにしている。今週は真梨子の番だった。
ジュリアが洗濯物を手早く片付けるのを待つと、二人は揃って家を出た。
「武志さん、今日はどちらまで」
「電車で少し行った所にデパートがあるから、そこの紳士服店だな。ネット店もよく利用してるんだけど、今日はそっちで」
日用品などを購入するために、スーパーへほぼ毎日買いに行ってはいるが、それ以外の店にジュリアは行ったことが無い。
デパートの地下と繋がっている鉄道の駅で降りると、すぐに地下商店街に出た。そこを通って目的のデパートへのエスカレーターへ向かっていると、突然ジュリアが控えめな声ながらも叫んだ。
「お兄さん……!」
その声を聞いた武志は驚いた。ジュリアの兄? それはやはり、家政夫ロボなのだろうか。あるいは執事だったりするのか、それとも――。
「こんなところで5,980円だなんてーー!!」
ジュリアは電器店のショーウィンドウに飾られた、高級電気ポットを指差していた。
ので、武志はズッコケた。
「武志さん、あれ買っ……お兄さんを助けてあげて」
「あっ、あれのどこがお前の兄だ! しかも良く見たら、お前とメーカーが違うじゃないか!! っていうか、ロボットがおねだりか!!!」
「ちょっと武志さん、声が大きいですよ恥ずかしい」
「誰のせいだーー!!!!」