叔母です
「あ、ねえねえ真梨おばさん、今日学校でさー」
「ん、なあに」
翌日、皆がリビングで寛いでいる時、翔が真梨子に話し掛けた。すると椅子に座って充電していたジュリアが「メッ」と言った。
「ダメですよ、翔さん。若い女性はオバさんじゃなくてお姉さん、と呼びましょう」
真梨子の額に青筋が入った。
「あのねえジュリア。『オバさん』じゃなくて、わたしは『叔母』よ。分かって言ってるでしょう」
「はい」
返ってきたのはにっこりと悪意の無い笑顔。真梨子はため息を吐きつつも、続けて文句を言う気が無くなった。
「えーと、じゃあ真梨姉ちゃん」
それを聞いていた翔は、呼び方を変えてみた。真梨子はその呼び方にこそばゆいものを感じながらも、顔に出さずに返事をする。
「は〜い」
訂正、顔と声に出ていた。デレデレである。
するとぽん、と真梨子の膝に真由の手が置かれた。ふと隣の真由の顔を見ると、薄っすらと頬を染めていた。
「ま、まり……ぅ、お、お姉ちゃん」
言い終わると、真由の顔は更に赤さを増していた。もう片方の手は恥ずかしそうに口元を隠しており、上目遣いの目には涙がたまって今にも溢れそうになっている。
「か……可愛いー!」
真梨子は堪らず、真由をぎゅっと胸に抱きしめた。
「おね、お姉ちゃん、苦しい……」
「ああ、ごめんごめん」
真梨子が真由の体を離すと、ジュリアが両手を広げて言った。
「お姉ちゃん、わたしも抱っこ」
「黙ってろ俗物が」
真梨子のガラが悪くなったら、間違いなくジュリアさんのせい。