世界中のサンタさんへ
コートを着てマフラーを首に巻いた子供たちが我先にと家の中から庭へと飛び出していった。
「二人とも、転ぶんじゃないぞ」
「はーい」
「はーい」
「大丈夫かな」
「では、わたしが付いてますね、武志さん」
不安そうな武志の声に、ジュリアは子供たちにすぐ手が届く距離で一緒に遊び始めた。
離れたところから見守る武志の隣に、紙袋を持った真梨子が並んだ。
「あのね、兄さん」
「ん、どうした」
「はいこれ、わたしからのクリスマス・プレゼント」
真梨子が紙袋の中から取り出したのは、端に二重線が入っただけの、シンプルなデザインの白いマフラーだった。
「頑張って作った、手編みのマフラーだよ」
「へえ、手編みか。それは嬉しいな。あ、俺からのは家の中に置いてあるから、後でな」
「うん、そっちは楽しみにしてる。兄さん、早速巻くよ」
「ああ、悪いな」
「ううん、こっちこそごめんなさい」
真梨子は手に持ったマフラーを、まるで網を投げるように武志の首にかけると、それをぐっと自分の体に引き寄せた。
「おい、真梨ーー」
驚く武志の口に、真梨子は目を閉じてキスをした。
あまりのことに何も出来ずにいると、しばらくして真梨子が離れた。慌てて振り返ると、翔と真由の目をふさいでニヤニヤとしていたジュリアと目が合った。
「どうしたのジュリア、見えないー」
「ふふっ、何でもないですよー」
妙に楽しそうな声でジュリアは応えた。
「真梨子……」
視線を戻すと、真梨子はすっきりとした、迷いを振り切った笑顔で武志に言った。
「好きです、武志さん。この気持ちが、真梨子サンタさんからのプレゼントです」
「あ、いや、えーっと……」
「プレゼントのお返事は、ずーっと待ってます。でもなるべく早めに返事をしてね」
真梨子はイタズラっぽくウィンクをしながら、武志の顔を下から見上げた。
「……おう、ま、まあ、考えとくわ」
武志は思わず赤くなりながら、目を逸らしてそう返すのが今の精一杯だった。
誰かのサンタさんになった人も そうでない人も
みんなまとめて メリークリスマス
これにて本作品は完結とします。
短い間でしたが、最後までお付き合い下さった皆様に感謝を込めて。
良いクリスマス、そして年末年始をお過ごし下さい。




